未来も過去も消えた世界で、俺だけがカップラーメンを作れる件
時間は線ではない。
定まらぬ円環のなか、名もなき私がじわりと溶けてゆく。
指先をすり抜けるものたち、
掴めたはずの温度も、声も、すべてが遠ざかる。
そして、消えることのないナイフで綴った傷に、
あの人の涙が、静かに染み込んでいく。
残響のような言葉は、やがて記憶の底で泡となり、
過去と未来は、互いを忘れながら崩れていった。
ただ今だけが、冷たい膜のように残される。
そこに私は横たわる。
意味もなく、輪郭もなく、
なのに、妙に落ち着くこの静寂に、
帰属の気配を感じている。
我ながら良いタイトルだ…