0話 人生の抱負「ラブコメ主人公になる」
俺は昔からラブコメが好きだった。
息の合った夫婦漫才。
現実ではありえないテンプレ。
やかましいくらい熱い恋。
好きと言うより、憧れ。
魔法や剣で無双するより。
頭脳で他を圧倒する良り。
やれやれと言ってなんでも出ちゃうクールより。
ラブコメにあこがれていた。
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転生したと分かったのは俺がうんこを無意識にぶっぱなした時だった。
ろくに目も開けられないし、勝手に多足が動いたりするし。
寝ている間に植物状態にでもなったかと思ったが、
しばらくして目を開けられるようになってから、洋風なベッドや壁、知らない言語、西洋人しか居ないことを見るに本腰を入れて転生したと分かった。
今はただのおっぱい吸いまくってうんこして泣いてるだけだ。
泣いてる俺をあやしたり、母乳を与えているのは母親じゃないってのは何となくわかった。
英語の成績はいかんせんよろしく無かったので何とも言えないが、ここは英語圏ではないだろう。
アイアムとかユーアーとか、ワットなんてのは聞こえないから。
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1か月がたった。
今気づいたのだが、俺は双子だった。
言語はあやふやだが、俺の名前は「アスト」と言うらしい。
時々メイドさんが「マルト」なんて言ったりしていたのが気になっていたのが、双子だったとは…
「おい、マルト。お前、ここがどこだかわかるか?」
「あうあうぅ~~~」
日本語で喋りかけたが返事はなかった。
「今、しゃべりました。」
メイドさんが俺のことを抱き上げる。
「奥様~~!!アスト様が喋りました~~!!!」
ま、まずい。
異端児扱いされて、一生牢屋生活なんてまっぴらだ。
「ば、ばぶばぶばぶぅぅ~~!!」
これでいけるか…?
「うちの子が全員優秀だからって、もう喋れるわけないじゃない!」
意外にいけた?
「も、申し訳ございません…ですが、先ほどはマルト様のお名前を…」
「もう、冗談はほどほどにしてちょうだい!」
このメイドさんには申し訳ないことをしたな…
その後も、マルトに英語や中国語、イタリア語など(ハローとかニーハオくらい)喋りかけたのだが。
「あうぅ~」としか返さずに、キャッキャ笑っているので。
おそらく生まれ変わりではないのだろう。
ここはいったいどこなんだ?
みた感じはヨーロッパだが、そこまで発展しているよ言うにも思えない。
もしかして過去か?
ヨーロッパってたしか、革命とか起きてたよな…
巻き込まれるのだけはまじで勘弁だぞ。
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3か月がたった。
いい加減ネットが恋しい。
メイドさんがいない時にこそっと自分の部屋を散策しては見たが、コンセントやテレビなんてのはなかった。
やっぱり過去にタイムリープしてしまったか。
「なあマルト、ほんとに中世ヨーロッパきちゃったなぁ…」
「あうあう~~」
(「ブリブリブリブリブリ!!!」)
こいつ、今うんこしただろ…
しかたねぇ…穴拭いてやるか…
その時、俺は驚愕した。
俺はてっきりピラミッドのようなドリルシャウエッセンがピロンとコンニチハすると思ったんだ。
でも、実際出てきたのは線。ー
線と言うよりーー。
裂け目、それはすべての空間を断ち切り、時空を歪ます存在ーー。
俺は慌てて服を着せる。
あぶねええ!!女の子だったのか!!
児童ポルノで捕まるとこだった!!!
いや、待てよ?俺は今子供だし、まったく問題ないんじゃないか?
じゃあ、遠慮なく。
「アスト様~マルト様~お風呂のお時間で…」
「あ」
「奥様~~~!!!アスト様が!アスト様がマルト様のおしめをぉ!!!!」
さすがにもう喋れるってのはおかしいか。
よし、前回みたく「ばぶばぶ」作戦で行こう!
「ば、ばぶばぶ!!ばぶばぶばぶ!!!!」
イケるか?
「奥様、アスト様はもうすでに言葉を話せます!なぜか隠しているのです!」
無理かぁ…!
「そんなわけないでちゅよねぇ~??」
「ば、ばぶばぶ!!」
「ほら、話せないじゃない」
いけたぁーーー!!!
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半年がたった。
俺もようやくハイハイを辞め、仁王立ちで歩くようにした。
そして言語も軽くではあるが、喋るのを解禁した。
「マルト、遊ぼうぜぇ~」
「んんあぁ…」
マルトはまだ少ししか喋れない。
と言うか、女の子にマルトって名前つけるのはかなりどうかしてると思う。
まあ中世ヨーロッパのことなんて、わからないのだが。
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一歳になった
「アスト様、お背中失礼します。」
体温計みたいだな…
背中に当てて何をしてるんだ?
「オリベアさん、これは何してるの?」
「これはですね、溜まった魔力を吐き出させているんですよ」
「魔力!?!?」
「…どうされました?」
魔力…
そうか魔力か!
なんで俺は自分の世界だけに絞っていたんだ。
間違いない。
ここは剣と魔法の世界だ。
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そんなわけで5歳になりました。
正確には来週で5歳。
分かったことは、俺はかなりイケメンだってこと。
親は社会的地位が高いこと。
生まれつき貴族は魔力量が多いということ。
だいたいこの辺だ。
7歳から魔法を学び、10歳から剣を学ぶ。
学校という仕組みはあるものの、義務教育という制度はないため、
貴族のほとんどは家庭内で教育をするそうだ。
せっかくイケメンだってのに、学校にいけないというのは残念だ。
「ねぇあすと!たんじょーび、なにもらうの?」
「僕は紙とペンを頼んだよ」
「なにそれしらない!まるとはねーー」
こんなかわいい喋り方をするのは、双子の妹?なのか。
マルトだ。マルトもめちゃくちゃ可愛い。
まあ愛嬌で言ったら俺の次だろうがな。
「おーーーい!!!アストォォォ!!!マルトォォォ!!」
げ。来た。
「元気してたかぁ!?!?!」
「三日ぶりですね…姉さん…」
「あいかわらず口が達者だなぁ!!」
俺らに突進したのちに、抱き着いて来たのはアイラ。
銀髪ロングで俺らのことを溺愛してる。
この人、こんな感じで実はドラゴン退治を専門とする優秀な人らしくて、
「氷結のアイラ」なんて異名があるくらい冷徹なんだとか。
まあ俺らの前ではそんな素振り一切ないが。
「うぅ苦しいです…」
「く、くるち…」
「おぉ!すまんな!」
まあ見た目はかなり可愛いので、最初は好きだったのだが、
俺らのことを溺愛しすぎている節があるので、隅にはおけない。
「そういえばアスト!言われた魔導書を通り持ってきたぞ!!」
おお!!
これが魔導書か!!
「本当ですか!?ありがとうございます姉さま!大好きです!!」
「あはー!!」
大好きと言っただけで鼻血による貧血でぶっ倒れそなこの人が、本当に騎士なのか。
「で、では私はこのあとギルドへ行かなければいけないから!」
やっと行ったか。
俺は火や水を出す魔法に興味があるわけじゃない。
洗脳や服従の魔法があるか確認しときたいのだ。
「あすと、なによんでるの?」
「チート持ちになるための第一歩なんだよ」
「ちーともちってなあに?」
特にそういうたぐいの魔法はなかった。
残念。。。
俺の心の中に一つの疑問がわいた、
せっかくこんなイケメンの顔があるのに、ラブコメをやらなくてどうする。と、
ラブコメに必要なのは。
・可愛い妹
・ツンデレヒロイン
・幼馴染
・負けヒロイン
・質のいい後輩
幼馴染を負けヒロインにはしたくないので、俺は今のうちに布石を打っておこう。
第一章は幼馴染探しだぜ!
「オリベアさん。」
「何でございましょうかアスト様。」
「僕、しもじもがどういう暮らしをしているか気になる…」
「でしたら、私が紙芝居形式で…」
「いく!そといく!!」