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神がモブ認定しているのに皆が俺を光の公子様と崇め奉り困ってます  作者: seisei


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093 はあゝ 美しい

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《聖女リリーアージュ視点》


 あゝ。皆で一緒に行動するのは憂鬱。それにレリトニール公子様もいらっしゃらないならお断りすれば良かったかしら。


 でも今日は賢者様とのデートを邪魔してはダメって言われているし。


 でも公子様がいないと目のやり場には困らない。普通にしていられるからいい。


 あゝ。公子様。わたくしの愛しい人。どうしてそんなにイケメンなの。目が。鼻が。口が。全てが奇跡。


 神様。あんな綺麗な人を作ってくれてありがとう。


「聖女様。そんなに前に行かないでください。これはスタンピードに違いありません。剣王様も皆を伴って直ぐに帰ってくるでしょうから。

 そんなにご心配なさらないで?」


 ん? スタンピード?


 なるほど。それでこんなに魔物が多かったの。


「ん」


 あまり無愛想なのはいけないからちゃんと返事したわ。わたくし偉い。


 でもわたくし。魔物を倒している方が気が紛れて好き。


「聖女様。無理なさらないで」


 女忍エーメラルダ様がわたくしの前に立ちはだかって言った。


 あの。邪魔です。魔物が見えません。


 わたくしはエーメラルダ様に抗議をしたが言葉にはならなかったから分からなかったかも。


「これ以上は危険です。聖女様に何かあったらお国のラリー公国の皆様に申し訳が立ちません。あなた様は特別な方なのですから無理なさらないで」


 やっぱりわたくしの抗議は伝わら無かったわ。本当に人間関係は難しいの。どうすれば分かって貰えるの?


 残念だけど仕方がない。


 しょんぼりしてベールを深々と被って頷いた。


「ん」


 無愛想と思われては嫌なのでちゃんと返事をした。わたくし偉い。でも恥ずかしいから下しか見れない。


「リリー嬢。頑張ってたね」


 その時、わたくしの愛する方の優しい声が聞こえた。


 わたくしは邪魔なベールを跳ね除けて公子様を視野に入れた。


 せっかくの機会だから目に焼き付けないと。勿体無いもの。


 あゝ。入ってくる。入ってくる。公子様の美しさがわたくしの中に。


 はあゝ。美しい。このお方の笑顔さえ見れるなら後は何もいらないわ。

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