088 究極の匠は何を作ろうと企む?
《鍛治公女エカテリーナ嬢の視点》
え?
ファイアードラゴン?
まさかたったの十階層で?
十階層のボス部屋にいたのはファイアードラゴンだった。信じられない。
わたくしは目を見張ってその巨大な魔物を見た。
大きい。
「ふん。小者のトカゲの分際で偉そうに威嚇してくれる」
は? わたくしは、剣王様の発言に思わず叫んでしまいそうになった。
小者?
こんなに強大で威厳に満ち溢れた存在を小者って。
「剣王様。逃げましょう。いくらなんでもあれには敵いません」
「エカテリーナ様。逃げるってあなた、腰が引けてますわよ」
ヤーフィルカート公家の魔女公女リージィー様。何かと食ってかかってくるうざい女。自分こそ足がプルプル震えているじゃない。
「二人ともわたくしの後ろに」
亡国のお姫様メーラシア様がわたくし達を庇って前に出られた。
あの強大な魔物を前に勇気があると感心した。
メーラシア姫は、先程も魔女っ公女リージィー様が言っていたけど最近公子様の従者に加われたお方だが、さすがに大公爵家に拾われただけの器をお持ちだ。
ただの可愛いだけのお姫様では無かったのだ。
亡国ディーガの領土を狙って囲い込んだとの我が家の分析だっけどそれだけではない。実際にお会いするのは大切だと本当に思った。
わたくしはわたくしの子供に公子様の血を分けて欲しいだけ。きっととびきり可愛らしい子供が生まれること間違いないもの。これこそ究極の匠ですよね。お母様。
本日三つ目です。
あゝ、我が手が!!!
疲れました。




