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009 従者アイリスの視点

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《レリトニール公子の従者。アイリス嬢の視点》


「剣聖なんてすごいじゃないか」


 レリトニール公子様がそう感嘆するように言われた。


 この方こそテンシラーオン公爵家令息レリトニール様。わたくしの尊崇する主様だ。


 わたくしは小さいころからこの方を、光の公子様と密かに呼んでいた。後でほとんどの人が同じように呼んでいることを知ってわたくしの発明でもなんでも無い普通の感想だったのだと分かり愕然としたのはわたくしの黒歴史だ。誰にも自慢しなくて本当に良かった。


 公子様のその美貌。叡智。溢れる才能。(おご)らぬ気性。全てがわたくしの理想そのものだった。


 それに国王よりも権力者と言われるテンシラーオン大公爵様の公子としてお生まれになった。やはり神々に愛されておられるのだろう。更には我が家は、テンシラーオン大公爵様の直臣(寄子)の子爵家だったのだ。この奇跡を有効に活用しないなんてあり得ないではないか。


 いくつもの奇跡と幸運によってわたくしは憧れのレリトニール公子様の従者に選ばれた。


 光の公子様に相応しい従者とは、美の体現者にして剣の達人にして魔導の支配者で無ければならなかった。故にわたくしは、子供の時から1秒すら無駄にせずに鍛錬してきた。


 それでも、完璧な公子様に程遠く、鍛錬も努力も才能も神々からの恩寵さえも遥かに劣る自分が悔しくてならなかった。


 そんな真面目な自分に対して公子様は、ご自身の聖人様と言う稀代の称号に比べたら掃いて捨てるほどに存在する剣聖の称号如きで誉めそやす。その寛容な言葉に心が震えた。


 それしてもこの方は、ほんとうに凄い。

 聞いたこともないモブと言う不思議な響きの誰にも読めない天職を授けられ、国家から英雄認定された。もし自分なら有頂天にもなり、少しは驕りもするだろう。ところが公子様は、晴れのパレードでは自らの不明を恥じて顔を引き攣らせておられた。なんとも信じられない程の謙虚さである。


 しかも、聞いた事もないスキルを授かり気配を消して見せたり、群衆の中で消えてみせたりと著しい異能を発揮された。


 これほどの存在感と美しさを持たれておられる公子様だ。服装だけでも光り物が無数に付いている。あまりにも眩しくて目を背けたくなるほどに光り輝く存在であるのに、一瞬にして群衆の中に姿を消して見せた。なんとも想像を絶したスキルだ。


 ご本人は、「泣けてくるほどショボいスキルだろ?」とか言っておられたが、スキルの価値とは生ずる現象に比例するのは自明な事だ。どんなに注意して見ていても一瞬で姿を消してみせるスキルがどれほど有効かは考えるまでもない凄いスキルである。


 そんなに凄いスキルを授かるってことは元の職業が凄いからだと言うのは自明の理だ。


 驕らず謙虚の塊。さらに凄まじいほどの向上心を持ち続けられる。


 本当。どれほどの向上心をお持ちなのか、さらなるスキルの探求を続けられ、遂にはサブ職のシステムを解明してみせたのだ。


 信じられない偉業である。


 まさに、神々から愛される方は想像を絶する人生を歩まれる。そう運命付けられていらっしゃるのだ。


 神々もそれをお認めになられ、真の聖人の称号が授けられた。本物の伝説の聖人になられたのである。


 いつの時代でも各国に数人は実在する剣聖との価値は比較にもならない。


 なんと凄い方か。


 そんな方が、本心から剣聖の称号を凄いと褒めてくださる。


 ありがたい事だ、、、、

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