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071 亡国の王女様は妄想する

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《亡国の王女メーラシア嬢の視点》


 公子様が登壇されてあの憎っくきリールセラート王国をどのように滅亡させるかについてお説きになられた。


 何から何まで聞いたこともない戦略だった。


 どこまでも深くどこまでも暗く真綿で首を絞めるようなそんな戦略に背筋が凍りつく思いだった。


 世界各国の歴史はそれなりに研究したもの。間違いなくこれはリールセラート公子様の独創。敵国貨幣を利用した外征論だなんて想像もできなかった。


 この方法がどれほど有効かは今のわたくしには肌で感じてわかる。でも何事の不自由もなくぬくぬくと暮らしていたあの頃のわたくしにはこの策の本当の価値は理解できなかったでしょう。


 武王サイラス爺やはディーガ王国の通貨はとても価値が有るって言って自慢していた。滅んだ我国の通貨が今でも使えるのはとても良い貨幣だからだって。


 わたくしたちにはそんなものしか残されていなかったもの。


 でもリールセラートの人たちは、わたくし達の誇りの金貨を鋳潰して粗悪な金貨にしているって爺やはとても怒っていたわ。


 物価が上がって庶民は困っている。爺やの愚痴。


 この方はそのような事情をご存知なのだろう。


 それを悪意を以て戦略に用いると仰る。こんな方法を誰が思いつくのだろうか。


 この方は本当の天才だ。


 しかもこれだけの戦略をこの大衆の前で披露するのは本当の戦略が他にあるからに違いないわ。


 いえいえ。天才の考えることを凡人のわたくしごときが判断しても良いわけないわね。


 ここでこんな話を滔々(とうとう)とされるのはお考えのあってのことに違いないもの。


 ご覧なさいな。


 皆の目の色が変わった。だってこれほど有益な勉強ができるのだもの。


 あゝ。わたくしは幸せ。美しい愛しいこの方が優しく微笑んでくださるのが大好き。


 この方は人々に公平で全ての女性に優しいの。わたくしの自慢の大好きな方。

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