061 お願いだから真面目に答えてよ
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どうやらこの娘、貴族制度と言うものを完全に理解していないに違いない。
リビエラは、目の前で自分の大切な主人を馬鹿するような発言をしたリザを決して許さないだろう。俺の前なので我慢しているだけだ。それをどうか理解して欲しい。
これ以上、この娘がふざけた態度を取り続けたらリビエラは必ずこの娘を殺すだろう。俺が見ていないところでだが。
それを、この娘に理解して欲しいのだ。
「頼むよ。リザ。素直に質問に答えてくれ。これ以上リビエラ嬢を怒らせるような真似はやめてくれ。君の不幸なんて見たくもないし、本気で怒るリビエラ嬢から君を守るなんて無理だからね。
さあ、さっさと座って、普通に会話をしよう」
これは本気で彼女のために発した言葉だった。これ以上リビエラ嬢は我慢してくれないだろう。早く話させないといつリビエラ嬢が爆発するか分からない。
リザにも俺の焦る気持ちが伝わったのだろう。震えながらも立ち上がると、ひっくり返った椅子を元に戻して、リビエラからできるかぎり距離を取って座った。
「お願い許してください。なんでも話すので本当に許してください」
「リザ。勘違いしないでよ。僕は君を怖がらせて話を聞き出そうとしている訳じゃないんだよ。だから脅されて何でも話しますみたいなのはやめてよ。
さっさと聞いた事に答えてよ」
俺はもう逆にお願いするように言った。なんだか虐待するみたいで本当に嫌だ。
「わかったわ。信じれないかもしれないけど私はモブって言葉を普通に使う別の世界から転生したのよ。
だから言葉の意味が分かったのよ」
さすがにその言葉は信じられないのだろう賢者リビエラの怒りが爆発しそうになった。
「リビエラ嬢。これはどうやら本当みたいな気がするよ。彼女の話を聞いてあげよう」
俺はすかさずリビエラ嬢をなだめた。
「しかし本当の意味を知っているからってどうしてそれを皆に知らしめる必要があるんだい?
さっき言ってたような正義の味方みたいなくだらない理由だけじゃないんだろ?」
俺の質問にリザは怯えた視線をリビエラに向けながら答えた。
「私も貴方と同じような街娘って職業を得たわ。それが悔しくって無茶苦茶レベルを上げたわ。それで念願の魔法のスキルを得たわ。
それが評判になり、私を家庭教師にとリージィー公女に雇われた。
私は魅了を使って結構やりたい放題できた。順風満帆だったわ。つい昨日まではね。
貴方のことはパレードで知ったわ。モブの癖に偉い公子様だった。モブなのにパレード? 貴方の自信溢れる顔を見ていたら私は貴方は絶対に転生者じゃないって思ったわ。
その時たまたま一緒にいたペーターにモブの意味を言ってみたんだけど全然取り合ってもくれなかった。
悔しかった。
同じ世界に生まれて、私のような転生者で、前世の記憶を持っているけどそんな記憶なんて何の役にも立たないの。
悔しかった。みんな身分がいけないのよ。
私はただの町娘なのに貴方はモブの癖にお偉い公子様って身分に生まれただけで英雄とか騒がれてんのよ。笑っちゃうわ。この差は何?
悔しかった。
貴方とは一生関わる事もないと思っていたわ。それなのに貴方と同じ寮に寝泊まりする羽目になるなんて運命の皮肉としか言えなかった。そしてさっき貴方の顔を見た瞬間にあのパレードの時に感じた悔しさを思い出して悔しくて許せなかったの。絶対に貴方を信じて貶めてやりたかった。
ごめんなさい。ただの逆恨み。自分の惨めな身分をこそ恨むべきなのに」
リザはほとんど泣きながら独白したのであった。
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