056 寮の仲間3
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俺の目の前の席の女性が次に自己紹介してくれる人だ。
銀紫と呼ばれる光の加減では紫にも見える髪は彼女が高貴な身分で有ることを示していた。
「わたくしはリージィー・ヤーフィルカート。ヤーフィルカート公爵家の第三公女です。ご高名な大公爵家公子様や名だたる方々とご一緒させて頂けて本当に光栄です」
先先代の王弟殿下の孫にあたる人だとリビエラが耳打ちしてくれる。今日招待した客の中で一番上位の客となる。
男女混合の寮なの?
俺は美しい公女の顔を見ながら思った。
ちなみに彼女の父は先代の王の弟君である。王弟殿下の子供まではプリンスと名乗る。つまり王族の身分だ。三代目は公爵位扱いとなる。
ちなみに、我がテンシラーオン家は普通の公爵家ではなく家格が一段上の大公爵、グレートデューク家であり、身分は王族扱いと同等であり、領地も公国と呼ばれることもある。
そして尊称はプリンスと呼ばれる。
俺も世継ぎであるからプリンスと呼ばれることもあり格式は彼女よりも多少上である。
(いえいえ。ずっと上ですよ)
ちなみに彼女もヤーフィルカート家の魔女とか言われてなかったっけ?
「魔法の才能の豊かな人で、ヤーフィルカート家の魔女との異名で呼ばれることもある才女です。特に火属性がお得意で火神イーディン様の恩恵をお持ちだと言われています」
優秀なリビエラが耳打ちしてくれた。俺はなるほどと頷いた。
「ちなみに、お母様のアトリアス殿下より嫁候補なので優しくするようにとのご伝言を預かっております」
は?
突然の爆弾発言に心の中で俺は叫んだのだった。
そんなに嫁候補を増やしてどうするの?
その後は、魔女リージィー公女の従者達が自己紹介していった。
「公子様。お気に召した方がおられたら教えてくださいね」
とまたまた爆弾発言をする賢者リビエラだ。
そんなの言う訳ないじゃん!
と心の中で叫んだ。
「これはこれはモブ公子様。わたくしは、天才魔法使いリィージー公女様の魔法の教師をしておりますリザと申します。
よろしくお願いします」
最後に苗字を名乗らない女の子がいた。違和感を感じて顔を見た。なかなかの美人だが、目に険があるのは気のせいか? それに他の皆はモブの発音が変なハププみたいな言い方なのにこの女の子うまくモブって発音してる。
しかもなんだか少し馬鹿にしている感じもするし。変な子だと感じた。
しかもリィージー公女をわざわざ天才と言い、自分がその教師と言う。なかなか言いたいことを言う女性である。少し感じ悪いかも。
こんな席に平民で出席するだけでなくこの発言。勇気があるなぁと俺はそんな感想を抱いた。
「リージィー公女様。リザ様はどちらのお家のご息女で?」
早速、賢者リビエラの追求が始まった。俺は慌てて。
「リザ嬢、うちの食事を楽しんで貰えれば嬉しい。学園では実家のしがらみを外したところで良き友と巡り会えたらと思っている」
俺はリビエラの言葉を遮ってそう言った。元日本人として、こんなところで身分差別なんてやめて欲しい。
「平民の娘を連れて来てリージィー公女の感性もどうか」などとリビエラは聞こえよがしに言ったりしている。少し怖い。
しかし、リージィー嬢は見るからに聡明そうで俺に顰蹙を買うようなことをするような非常識な娘には見えない。
何よりもママ様のお眼鏡にかなった嫁候補である彼女がそんな人だとの情報をあのママ様が知らないなんてあるのだろうか?
不思議な違和感を拭えなかった。
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