054 寮の仲間1
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《レリトニール公子視線》
「ここが寮?」
その建物を見た時、俺は思わず呟いていた。
何とも豪華な寮があったものである。
学生寮と言えば二人部屋が普通で、広くても八畳程度のはずだが、俺の寮は特別寮と言われるもので伯爵以上の大貴族が従者達と一緒に住まう広大なものとなっていた。
俺達は最上階の十二階から四階分が全て俺の寮として当てがわれた。
聞くところによると十二階だけで三十二室もあるそうだ。十一階から下はその倍もの部屋があるそうだから俺の為に百五十以上の部屋が当てがわれたと言う勘定になる。
大公爵の公子とは言え、凄い物量である。
こんなお城みたいな施設がただの学校の寮と言うことにさすがに貴族ばかりの学校とは言え、想像を絶するばかりである。
今、俺達は十二階専用の食事に会している。この食堂が目を見張るほど豪華になったのは俺達が本日持参し備え付けた家具が豪華だったためでもある。
さすがにここまでできるテンシラーオン大公爵家の財力は想像を絶するものがあり、パパ様が力んじゃって準備をしたのが分かった。あれほど豪華な行列になってしまった訳だ。
この部屋以外の各部屋にも俺の家具などが既に備えられていて俺を驚かせたのはつい先程の事だ。
なかなかハードな試験だったので全試験が終わり俺達が寮に入ったのが七時前だ。
それから身なりを整えて食事の為にここに集まった訳だ。
時刻は八時を回っており既に食事時を通り越していた。俺達は十二階の俺の居室の真反対にある食堂に集合していた。
たかが寮の食堂。しかも一人の寮生の個人用食堂がこれほどの規模とは驚きである。
さすがにご招待した他の貴族達もこの部屋の豪華さには驚いているようだった。
ちなみにこの寮の全体の構成を説明すると、1階はフロントであり寮の管理人達が居住するスペースとなっていて、2階には寮のラウンジがある。
三階からが居住スペースとなっている。
ここは特別寮なので他の寮と違い高級貴族以上の子息が入る。別にこのような特別寮が三十棟も有ると言うから学園の規模の大きさに驚きを禁じ得ない。
目の前には豪華な食事が出されている。
「公子様。本日はお疲れ様でした。食事にあたりお一言お願いします」
俺は食卓につく人達を見回した。
「うん。まず自己紹介からする必要があるよね。僕はレリトニール・テンシラーオン。テンシラーオン大公爵の公子です。
今日は、皆お疲れ様でした。恐らくここにいるほどの身分の者は受験に失敗するなんて考えられないだろうけど、明日の発表までは正式な同級生とは言えないですが。
それより今日は一緒に受験と言う試練を受けたもの達と言うことで、こうして縁あって同じ食卓を囲む間柄となったからには、仲間であり友と言って良いと思います。
これから良き関係を築くためにも今宵は楽しく談笑できたらお互いに貴重な晩餐になると思ます。よろしく頼みます。
よろしければ、僕の右隣のリビエラ嬢から自己紹介していき、一周回ってから食事をするのでどうだろうか? 皆が賛成ならそのような段取りでお願いしよう」
「どなたもご意見がないようなので、自己紹介させて頂きます。わたくしは、リビエラスト・リューペンスと申します、、、、」
リビエラが自己紹介し、次々に俺の嫁候補が自己紹介していった。
そして、ちょうど右半分を通り過ぎて食卓の向かいの席の一番右側の少年の番となった。今日ご招待した貴族の一人だ。
彼は豪華な金髪でまだあどけなさが残るもののなかなか大きな身体をした活発そうな少年だった。食卓を囲むもの達の中で一番彼の身体が大きいだろう。
「僕は、アドリュート・テンペフェレッツ。テンペフェレッツ伯爵の嫡男です。本日はお招きいただきありがとうございます。
ご高名な王子様と一緒の食卓に座ることができて、光栄です。
僕は風属性魔法が得意です。ここには公子様や賢者リビエラ様など高名な方がおられて大変喜んでいます。ぜひ僕に風魔法をご指導してください。
よろしくお願いします」
おお。彼が疾風ドリューか。西北の大領主であるテンペフェレッツ伯の一人息子で有名な武勇の人だ。
ドリューには二人の子爵家の男の子が従者として来ていた。二人を見ると伯爵家の風土が分かる。二人とも精悍なる雰囲気と元気の良い自己紹介をしていた。
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