048 恥ずかりやさんの聖女様。ベールの美少女は思う
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《聖女リリーの回想》
あー。辛い。引き篭もりたい。
わたくしのような無能な田舎娘が皆様とご一緒するのはやはり場違いだ。
でも公子様もいつも見ていたいし。
どうすればいいの?
「リリー。疲れたかい?」
きゃー公子様が、公子様が話しかけられた!
なんか答えなきゃ。あ、それと聖女様笑い。聖女様笑い。
「いいえ。ですが皆様、本当に凄いんですね。こんな中にわたくしがいるのはやはりとても不釣り合いな気がしてなりません」
あ、上品に話すのに気が取られて本音いっちゃた。うう、、、
慌てたらダメよ。
「そんなことは無いよ。リリーは聖女様じゃない。しかも大抵の女性よりも美しんだから自信を持てば良いんだよ」
はーー。
きたー! きたわ。
これが公子様の無意識爆弾発言なのね。
噂には聞いていたし、さっきから可哀想なメラーシア姫様のお姿を見ていても思ったけど。
公子様って本当に鈍感。公子様にあんなにしてもらって、一緒においでよなんて言われたらもう空飛ぶわよ。
平気で優しい言葉をかけてくる。罪よ。罪、罪。罪よ!
やめて!
誤解しちゃう。好きになっちゃうわ。
こんな皆さんの中でわたくしなんかが選ばれるはずないんだもの。だから、わたしなんかには期待を持たせないでください。きっと生きて行けないもの。
「公子様がお優しい言葉をかけてきてもそれを真に受けてはダメよ。それは公子様がただお優しいだけなの。他の男のような下心なんて微塵も無い崇高な方なのだから」
そう教えてくださったのは女執事リビエラスト様だ。賢者の職業をお持ちの天才。
わたくしなんて、本当に信じられないほど野暮ったいだけのただの田舎娘。都会の洗練された皆様の中に入ってしまって怖くて怖くて。
ああ。引き篭もりたい。
公子様もきっと芋臭いって心の底では哀れんでらっしゃるのだわ。
あ、ベールがずれてたわ。顔を隠さないと。
もう。公子様がお優しい言葉なんかかけてくださるからよ。
「そんなこと。公子様までわたくしをからかって」
わたくしは更にベールを引っ張って公子様の視線から逃れるように下を向いた。
「この中で一番、綺麗な人は誰と思ってるの?」
公子様がそんな質問をしてくださった。
そんなの公子様に決まってんじゃないの。
「それは公子様に決まっています。公子様にくらべられるような方がいるなら見てみたいくらいです。
そんな人はどこを探してもいるわけがないんです」
あれ?
どうしてこんなに叫ぶような言い方してるの?
わたし変よ。頭がクラクラしているわ。
公子様の鈍感。
もう放っておいて。
無理。これ以上は無理。
「鏡を見てごらん。俺なんかよりも何百倍も美しい人がきっと君を見つめてるよ」
なに? 何を仰ったの?
いつもは僕って仰るのに、俺とか言ってるし。
もうダメ。目が回る。
頭が爆発しそう。顔が火のように暑い。
公子様は言葉で人を殺せるの?
死んじゃう!
誤字報告ありがとうございます。助かります。
できるだけ誤字が無いように何度も見直していますが、書いて直ぐに投稿すると思い込みがあるのかどうしても誤字が有ります。許してください。
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