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《レリトニール公子視点》


 俺たちは、『神実の門』の試練を無事終えて、講堂のような大部屋にやってきていた。講堂の二階席にしつらえられた半個室の貴賓席に案内されている。


 賢者リビエラ嬢、剣王アイリス嬢、亡国の姫メラーシア嬢、女情報員(インテリジェンス)エーメラルダ嬢。少し長いな。じゃこれからエーメラルダを女忍と呼ぼう。では改めまして女忍エーメラルダ嬢、そして豪商サスティナ嬢。さらに最後が聖女リリーだ。


 リリー。ラリー公国の人でバーリカルラー騎士爵家の娘さんだ。リリアージュ・バーリカルラーが彼女の氏名だ。


 彼女は他国まで名を馳せた美少女だった。その噂がママ様の耳に入り、俺の嫁にと呼び寄せ見事お眼鏡にかない嫁候補となった女の子だ。


 何よりも聖女と言う称号を得たため、様々な教会や王国が彼女を手に入れようと画策し始めるのを察知した我がママ様が他の組織に先んじて彼女を囲い込むと同時に保護したと言うのが実際だ。


 さすが我がママ様。元王女様。超優秀だ。


 リリー嬢は、女神官と言うレアな職業を有しており、水の女神サーシャの恩恵3まで持っている。超優秀な女の子だ。


 俺は、最初彼女を見たときにこれほど美しい人がいるのかと思った。


 暫く見惚れてぼーとしていたくらいだ。


 もちろんエルフの血が混ざっている剣王アイリスも同等の超絶美少女である。彼女を始め俺の嫁候補は皆さん甲乙を付け難い美しい女性ばかりで目移りしてしまう。


 そして同じような美しさの中にそれぞれ個性がある。リビエラ嬢は、賢そうな感じで美人。剣王アイリスは、ツンデレタイプの美人だ。女忍エーメラルダは、真面目そうな美人で、亡国のお姫様メーラシア嬢は上品な美人と言えるだろうか。


 そして、美少女リリーは美少女らしい美少女だ。


 個性が浮き出ている他の嫁候補達と比べて個性が小さいのか個性を消し去るほどに美しすぎるのか。


 大抵の男なら一目で惚れ込んでしまうタイプの美人だろう。


 もちろんおれも一目惚れした。


 ただ、彼女は極度のコミュ障だ。俺が話しかけるとにこやかに答えてくれるが自分から話しかけてくることはない。超無口だ。


「嫌なら国に帰っても良いんだよ」


 ある日そう言ったことがあったが、その時彼女は驚いた顔をして首を振って否定していたが、本心はよく分からなかった。


 残念ながら他の女の子達と違って距離を感じている。


 本日拾って俺の連れとなったメーラシア嬢の方がよほど話しやすい。


 とは言え、可憐で可愛いものは可愛い。俺の嫁候補達は,言ってみれば実力者ばかりでリリーのように引き篭もりタイプと違う者が多いためか、彼女のような大人しい系の可憐な女性を俺は苦手としているのかもしれない。


「リリー。疲れたかい?」


 彼女は引込みじあんなので自ら意見を言うことがない時々気を利かせて聞いてあげないと可哀想なことになる。


「いいえ。ですが皆様、本当に凄いんですね。こんな中にわたくしがいるのはやはりとても不釣り合いな気がしてなりません」


「そんなことは無いよ。リリーは聖女様じゃない。しかも大抵の女性よりも美しんだから自信を持てば良いんだよ」


「そんなこと。公子様までわたくしをからかって」


 そう言うとリリーは少し拗ねたように頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。


 あれ? もしかしてこの子。自分が可愛いいってこと分かってないの?


 それは天啓のようにそう悟った。


 或いは美的感覚が少しズレているとか?


 そこで俺は質問してみた。


「この中で一番、綺麗な人は誰と思ってるの?」


 するとこの質問の何が刺さったのかいきなり普段見せたこともない勢いでリリーが語り始めた。


「それは公子様に決まっています。公子様にくらべられるような方がいるなら見てみたいくらいです。

 そんな人はどこを探してもいるわけがないんです」


 ふんす。


 そんな感じで話した。彼女のこんな姿を見るのは初めてだ。


 俺は彼女の精一杯のお追従を横にそっと置いた。別名をスルーと言う。


「鏡を見てごらん。俺なんかよりも何百倍も美しい人がきっと君を見つめてるよ」


 きゃー


 自分で言って気持ち悪いわ!


 あら。


 リリーちゃんもうつ伏してしまった。


 苦しんでるしぃ、、、、


 ごめん


 ゆるして


 俺は助けを求めて横を見た。


 女執事リビエラが呆れた顔で俺を見つめていた。


 だからごめん。


 周りを見ると女子の非難するようなたくさんの視線が目に刺さる。


 その時、天の助けが。


「では、筆記試験を始めます」


 良かった。


 これ以上話さなくて済んだよ。

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