005 お宝? ゴミではありません。
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どうしてこうなった。
世の中には、嘘のような本当の話がある物だ。
俺の目の前には、山のように宝珠が積まれていた。
誰かが(恐らく俺の能天気パパ様か、お姉様のようなママ様かはたまた本物の姉達か妹の仕業だろう。何しろ俺には甘々な両親姉妹達だから)俺が宝珠に興味を持っていると噂を流したのだろうとは想像がつく。
「これって伝説の宝物なんでしょ?」
「宝珠そのものは、少し珍しいぐらいの物なのでそれほどの価値があるわけではないそうです。昔、聖人様がすごいスキルを授かったとの伝説の宝物なので宝珠なのですが、魔物を倒すと結構な確率で落とすとか」
「でも伝説の宝珠なんでしょ?」
「はい。この宝珠からどのようにしてスキルを得たのかは不明なのです。誰一人、それを成し遂げた者はいないそうです。そう言う意味で伝説なのです」
「でも聖人様が、、、」
「でもその聖人様が誰かも分かりませんし」
「はは。だから伝説ね」
俺は納得して苦笑した。
山のように積まれた木箱の一つを手に取り、中から宝珠を取り出して眺めた。
見るからに宝石のように美しい。
「おそらくその箱の方が高いかもです」
アイリス嬢の説明が痛い。
「飲み込むのもなぁ」
俺は宝珠の大きさを見ながら呟いた。
「飲み込んだ人もおられるようですね。飲んだ人はそれを体外に出すのに死ぬような思いをして中には亡くなった者もいるようですよ」
眉を顰めて説明するアイリス嬢を見て、慌てて俺は宝珠を箱にしまった。
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