038 でももカカシもあるもんか!
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「レリトニール公子様。リビエラ様。本当に良い話をありがとうございます。ですが、わたくしは、病床の身。
もしレリトニール公子様のお情けにすがって高貴で尊い公子様を汚してしまうようなことをしたくありません。
お言葉とは言え、お断り致したく存じます」
メーラシアは泰然とした態度を崩さずに言った。
何この人。すごい。弱々しい雰囲気とは真逆の凛とした態度が素敵すぎじゃん。
どこにこれだけの胆力をもっていたのか驚いてしまう。
「でももカカシもありませんメラーシア様。ご安心なさいませ。あなた様の目の前に居られる公子様は、聖人の称号をお持ちなのですよ。聖人様とはいかなる病をも治癒してしまうと言う伝説的な神聖魔法をお使いになられるお方を聖人様と呼ぶのです」
「え?」
リビエラの調子の良い啖呵に、メラーシアさんは目を丸くして驚いていた。
じゃねぇよ。驚いてるのは俺だよ。そんなの知らねえよ。
聖人ってそんなハードル高かったの?
どうすんだよ。治せなかったら。
「公子様。では治癒魔法を」
このいきなりな振り!
なんだよ。みんなしてなんでそんなに目をキラキラさせて俺を見るんだよ。
分かった。わかったよ。回復魔法掛ければ良いだろ。効かなくてもしらないからね。
じゃあ俺の知っている身体に良さそうな魔法を全てかけまくってやる。ついでにバフ魔法も掛けまくるぞ。
ヒール! 毒回復! 麻痺回復! 呪い回復! 熱耐性付与! 毒耐性付与! 防御力上昇! 身体強化! 自然治癒力上昇! など! など!
こんなにたくさん魔法を掛けたが残念ながらモブ職の俺の魔法のレベルは決して高く無い。それゆえに先程もミーチャちゃんの背中の怪我の治療をリビエラに任せたのだ。
しかし、病に伏している可憐な少女を見ていると少しでも良くなって欲しいと思う。
たくさんの魔法をいっぺんに使うのでさすがに詠唱はできないが、少しでも効果が高くなれとばかりに俺はできる限り魔力をたくさん込めて発動した。
さすがに大量の魔力を使って疲れた。肩で息をしつつ、魔法が発動するのを待つ。これだけの魔法をいっぺんにかけたので多少発動に時間が掛かかっているようだ。
直ぐに見たこともないぐらい大きな魔法陣が発動した。
は?
なに?
この魔法。
自分で発動しつつ驚く馬鹿な俺。
なんか、まぐれで凄そうな魔法が発動してしまったらしい。
あれれれ?
魔法陣が収縮し眩い光が部屋を満たし、亡国のお姫様メラーシアさんに集約して。
「あゝ」
メラーシアさんが艶めかしい吐息をついて、ちょっとばかりドバっとドキドキしたのは内緒だ。
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