037 まぁ、そんな感じなんで一緒に学園生活を楽しみません?
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「見たところ、あなたのご主人様は、かなりお綺麗です。我がレリトニール公子様と多少は釣り合いが取れると思います。その意味ではわたくしよりも妃候補として相応しいとも言えます。
そして、血筋的にも問題はありません。
だからこそ、世間はあなたのご主人様がわたくし達と同行していれば妃候補とみなしてくれるはずです。
しかし、わたくし達の目的はあくまでもリールセラートの領する旧ディーガ王国の領土が目的です。彼の地は、面積は小さいとは言え、豊かな穀倉地帯であるばかりでなく、我国には無い良港が存在します。
それにレリトニール公子様は、一国の公爵様で収まるような小さな器のお方では、、、」
ん? 最後に不穏なことを言った気がしたが、良く聞き取れなかった。
「はい。リビエラ様の仰る通り。ディーガは我が主の物に」
ん? 今、諜報員のエーメラルダも何か呟いてように聞こえたが気のせいか。
周りを見ても特に反応が無くスルーしている。やはりただの耳鳴りか。
「それは理解したが、俺としちゃ、姫様をあんた達の野望に巻き込んで危険に晒したんじゃ本末転倒だ」
ギロリと音が聞こえそうな感じで戦闘爺やサイラスが女執事リビエラを睨み付けた。
戦闘爺やサイラスは相当な達人だ。そこいらの痩せこけた爺さんとは違う。そんなサイラスのギロリは相当な迫力だが我がリビエラ嬢はビクともしない。
「もともとあなたの大切なお姫様は、窮地どころか死地にいたんじゃ無い?」
「何を!」
「あなたは、今回、ミーティアちゃんが行列に飛び込むのを阻止できた?
あなたが少々強くても、たくさんの諜報員達の悪意を全て凌げるなんて甘い考えは持たないことね。
何よりも我々には戦力も知恵も権力もあなたとは比ぶべくもないわ。違ってる?」
女執事リビエラはそこまで冷たく言った後、暫く黙って戦闘爺やサイラスの言葉を待っていた。
「ぐぬぬ」
お。 そんなこと本当に口で言う人初めて見た。
俺はサイラスの口元に注目した。
「お嬢ちゃんは、可愛らしい顔をして随分と毒舌だな。しかし、言っていることは分かった。俺たちは選択できるほど恵まれてねぇって言いてぇんだよな。悔しいが仰せの通りだ。
しかし、それでも姫様の安全も幸せも取りこぼしたくねぇんだよ。俺のわがままでしかねぇが。せめて姫様には幸せになって欲しいんだ」
戦闘爺やは、悔しさのあまり身体震わせて目には涙が光っている。
それでもリビエラ嬢の口調は、なかなかきついままだ。俺に対するお淑やかな雰囲気との差にめまいがしそうだ。
「勘違いなさらないでくださいますか?
一度、テンシラーオン家で引き取った女性を不幸せなまま放っておくほど、レリトニール公子様は薄情な方ではありません」
頼もしい。やんや、やんや!
俺は感心してリビエラ嬢の顔を見た。
「出しゃばりすぎました。公子様も一言お願いします」
急にしおらしくなって女執事リビエラは言ったがもう遅い。こんなに怖い女秘書官だったとは。
戦闘爺やも亡国のお姫様もリビエラをマジマジと見つめており、リビエラの頼もしさに心酔してしまったのは明らかであった。
「あ? まぁ、そんな感じなんで。一緒に学園に入ってみる?」
俺はリビエラに促されるまま、そう言うしかなかった。
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すみません。予約掲載がうまくいかず遅くなりました。ごめんなさい。
次回は、18時に掲載します。