035 お嬢さんもおいでよ
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《レリトニール公子の視線》
話を聞くとこの人達はどうやら相当な窮地にあるようだ。
どうしたら良いのか俺は考えていた。
メラーシアさん。とても綺麗だし、何よりも艶かしい感じがゾクゾクする。このまま連れて帰りたいって気持ちがとても強くする。
お嬢さん。俺と一緒に来ないかい。なんて格好良く言えたら良いなぁとか夢想してしまう。
そんな俺の夢想を破るかのように。
「で、サイラスさんに質問しても?」
そう質問したのは女執事リビエラ嬢だ。
「ん? すまねぇが俺は礼儀がなっちゃいねぇんで、それで良けりゃ」
なかなかこの戦闘爺やさん、渋くて格好いい。俺もこんな渋い爺さんになれたらいいのに。
女執事リビエラ嬢も爺さんの態度に好感を持ったようだ。
「はい。我らレリトニール公子様の従者は他の貴族の方々とはいささか趣きが違うので、意図的に失礼をするつもりさえなければ、普通に話して頂いても全く問題ありません。
あなたは相当な使い手のようですが、レリトニール公子様に対してのみ礼儀を持って接して頂ければおそらく大丈夫でしょう」
おい。おそらくなの? 脅し?
なにげに怖いことを言ってるような気がしたが、戦闘爺やサイラスさんは、気さくな感じで承知した。
「あなたのご主人のメラーシア嬢も、我々と同道されてはいかがですか?」
は?
いきなり、うちの女執事様は、突拍子も無いことを言い出した。俺も驚いたが戦闘爺やサイラスさんも驚いたようだ。
「ん? すまねぇが、なんでそんなことを俺に?」
「その前にわたくし達の立場を説明しておきましょうか。
わたくし達は、レリトニール公子様。つまり次期テンシラーオン公爵様の妃候補なのです」
妃候補と聞いて、サイラスさん。ピクリってした。そんな説明をして一緒に来いって、俺の妃候補になれって聞こえるよ? 爺さん顔が赤くなって怒っている。怖いよ。爆発するじゃないの?
「黙って最後まで聞いて頂けますか?」
ピシリと女執事様が言った。その勢いと効果に俺は驚いた。
驚くだけでなく身が引き締まった。
飛び上がりそうになったよ。これって強力なスキルなんじゃ無いの?
どうやら戦闘爺やサイラスさんも俺と同じだったようで、すかさず謝った。
「あ。いやすまねぇ。でもあんた達と姫が一緒にってことはそう言う意味なんだろ?」
「もちろん、世間様にはそのように見られることは間違いありませんね。
そして、それが狙いでもあります。もちろん、無理強いするようなことはテンシラーオン公爵家の誇にかけて無いので安心してください。
効果としては何よりもあなたの大切なご主人様の身が安全になると言うことです」
「よくわからないが、どうしてそこまでしてくれんだ?」
もっともなご意見である。
俺も聞きたい。
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