032 亡国
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《レリトニール公子の視線》
「それはそれはミーティアを助けてくださり本当にありがとうございます」
女の人は、やはりメーラさんだった。
俺がここエベンガルトの領主テンシラーオン公爵家の一人息子レルトニールと知るとメーラさんと、サイラスと名乗った爺さん二人は、顔を青くして平伏してしまった。
その後、ここに来ることになった経緯を話したところ、更に恐縮していた。
前世の記憶のある俺には、貴族制とも権力とも無縁だったし、この世界でも魔物と戦う事はあっても人と争うこともなかった俺は、貴族の権威などはよくわからない。日本人風で十分である。
しきりに感謝と謝罪の言葉を繰り返すので、きりがない。
「気にすることはないよ。それよりも、どうやらミーチャちゃんは、後ろから押されみたいなんだけど心当たりは無いかな?」
俺は、話題を変えるべく質問した。
「はい。御城主様の御曹司様の行列と知ってそのようなことをしたのは、恐らくわたくしをこの街から追い出したかったからだと思います」
メーラさんが答えた。
「もう少し詳しく話してみてくれる?」
「はい。わたくしは、今は亡きディーガ王国国王の一人娘、メーラシアでございます。国を直接滅ぼしたリールセラート王国より逃れてここエベンガルトで生き恥を晒しております。
しかし、最近リールセラート王国にわたくしの生存を知られてしまったようで既に何度目かの襲撃を受けているのです。
しかし、このサイラスは、齢は六十になりますが武王の称号を持つ猛者なのです。この者のおかげでわたくしのような者が、未だに生きられているのです。
リールセラートの者達は、さすがに剛を煮やしたのでしょう。わたくしとサイラス共々、このエバンガルトから追放されるようにし向けたかったのではと思います。
公子様の行列に飛び込んで亡くなった娘の保護者とあってはこのエベンガルトで御厄介になっている訳にいきませんから。彼らはわたくし達がエベンガルトから出れば大手を振って大規模な襲撃を仕掛けられるとでも考えたのではないかと思います」
なるほど。
そう言うことかと俺は思った。
「なに。友好国と偽りリールセラートの奴らは公子様にそのようなことを仕掛けたと」
そう発言したのは、エデンバーク子爵家の娘、エーメラルダ嬢だった。
すみません。
少し遅くの投稿になります。明日からは、二話更新予定です。
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