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294 光公子様の爆弾発言が止まる事を知りません。誰か止めてください

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《リビエラストの視点》



 突然、異空間から何者かが現れた。


 一人は貴族風の冴えないどこにでもいそうな男で、もう一人は、緑色の髪の毛と同じ色の瞳が特徴的な美少女だった。


 わたくしはその美少女を一目見て、これはまた光公子様に纏わりつきそうな女の子だと直感で悟った。


 彼らが突然現れたのは光公子様が『真理の書替』の権能が使われたこのであらかじめ予期していた事なので驚きはしなかった。


 さて、どうなるのかと思っていたら突然、冴えない方の男があり得ない暴言を吐き出した。


「下等なる蛆虫うじむしのようなガイアの民よ。余は上帝ダイハール様の重臣のノアである。

 余の前にひれ伏すが良い」


 一瞬、目の前が真っ白になった。こんなにあからさまな侮蔑を吐くなどどのような存在であろうと許せない。


 わたくしは、なんの躊躇いもなく最大級の『真理の書替』によってこの許せない男を即座に蛆虫に変えた。


 しかし、わたくしの予想に反してこの男には何事も起こらなかった。未だに『真理の書替』の権能を使うことに慣れていないからなのか、、、


 しかし次の瞬間、男は絶叫してみるみるうちに小さくなって行くと塵となって消えてしまった。あまりにも呆気ない最後にわたくしは唖然としつつもそんな事を誰がしたのか確認するために、わたくしは後を振り返った。


「わたくしは、蛆虫にしてやろうとしたのに誰です?」


 わたくしは皆さんに尋ねた。


「すまん。カチンと来たからやっちまったが俺も蛆虫にしてやろうとしただけなんだわ」


 そう言ったのは武聖天のサイラスだった。メーラシア女王の護衛として我々と行動を共にしているちょいワル親父だが、見た目よりも気が長かったはずなのこんなに短気だったかしらと思っていると。


「ごめなさい。わたくしかもしれません。でもわたくしは小鳥にしようとしたのですが、、、」


 アイリス嬢が申し訳無さそうに言った。確かにあんな信じられない暴言などアイリス嬢なら絶対にゆるせなかったろうし、何よりも彼女は誰よりも素早く攻撃する事ができる。


「いや、これは私のせいかもしれないな」


 槍のシュレディーがアイリス嬢を庇うように言った。


 その後、皆が皆、自分のせいだと主張し始めた。全員攻撃してたかのかよ! とかツッコミを心の中だけ叫んでいると光公子様が笑いながら仰った。


「あはは。皆が一緒にやっちゃったんだったら誰がしたか分からないね。でも皆はあそこまでやろうとしてなかったのに塵になっちゃったね」


 光公子様が皆を取りなすように言った。


「ごめんね。彼があんまり失礼だったから皆が怒っちゃったみたいだよ。皆が一度に権能を使っちゃたから変な事になったようだね。可哀想だから元に戻してあげよう」


 俺はそう言うと『真理の書替』を発動した。しかし、どうも皆の権能の効果が干渉してうまく働かないようだ。


「あれ? うまくいかないね。なかなか難しいね」


 俺がそう言うと


「光公子様。権能は掛けるのは簡単だけど権能を取り消すのは難しいのじゃし。その辺を考えてやってみるのが良いのじゃし。しかしあまり大きな変化はやめておいた方が良いのじゃし。

 恐らく、ノアとやらには様々な権能の効果が複雑に絡みあっていたようなのじゃし。なので予想に反した効果が発動したのじゃろう」


 モーフが説明してくれた。なるほどと思って権能を発動した。


 可能な限り元に戻るようにと願って


 すると、どうだろう。ノアは小さな緑色の妖精のような生き物になった。


「あ、ジャストエレメンタル」


 緑色の髪の毛美少女が驚いて叫んだ。


「ジャストエレメンタル?」


 俺は聞き慣れない言葉に聞き返した。


「はい。伝説上の幸せを運ぶ妖精です」


 緑色の髪の毛美少女がそう説明すると、ジャストエレメンタルになったノアはペコリとお辞儀をするとスッと消えたしまった。


「あれ? また消えたよ」


「いえ。ジャストエレメンタルは故郷に帰ったのです。伝説では神々の天国のような場所だとされています」


 緑色の髪の毛美少女は驚きで目を丸くして言った。


「うーん。それが彼に取って幸せだったか分からないけど、ごめんよ。これが精一杯だったよ。もう彼には権能を掛けることはできないみたいた」


 光公子様が優しく緑色の髪の毛の美少女に言った。


 美少女は光公子様に話しかけられてようやく我に返ったようだった。


「いえ。ノアはこの星系のジャストフットの最高司令官でしたが、皆さんにいきなりあのような暴言を吐き出すとは思いませんでした。

 品位を疑います。

 わたくしはジャストフットの司令官の秘書のサンと申します」


 緑色の髪の毛美少女がそう自己紹介した。


「あゝ。僕はガイアの代表みたいな感じをしているレリトニール・テーシラーオン・リールセラートと言います。皆は僕を光公子って呼んでいるよ。

 よろしくお願いします」


 あゝ、光公子様は本当にいつもと変わらない。誰にも丁寧な挨拶をされる。


「代表と言うとあなたがこの星系の天主なのですか?」


「天主?」


「あゝ、失礼しました。我らの最高神は皆から天主と尊称されています」


「そうなの。まぁ、僕はそんなに偉くはないよ。元々は神様ですら無かったただの人間だからね。あの星の一番偉い神様のガイア、今はモーフって言うだけどこの子の名付けをしたから今は僕が代表になっちゃったんだよ」


 光公子様がご自身に対する誤った認識の通りに説明された。


「サン様。わたくしは光公子様の秘書をしております。お立場がサン様と近いのでわたくしが光公子様の言葉を分かりやすく説明させて頂きます」


 わたくしが申し出るとサンと名乗った美少女はわたくしを一瞬眩しそうに見てから


「お願いするわ。わたくしには光公子様の仰ることがさっぱり分からなかったところなの」


 予想していた通りだ。


「はいでは。

 わたくし達は、あの星を治める光公子様を守護をしているものです。

 光公子様は、月に掛けられている貴方達が『定理の強制』と言う権能の効果を打ち消すために貴方達を召喚いたしました。貴方達は、ご自身の意思で来られたと思っていらっしゃるでしょうが、これは光公子様の『定理の強制』の権能による効果です。

 目的は、月の司令官ノアを消滅させてしまったので先程達成したのかもしれませんが、月に掛けられている『定理の強制』について、悪影響が起こらないように排除することでした。

 しかし、もしあなたも滅ぼさないと月の『定理の強制』が排除できないと言うならそうするつもりですが、いかがされますか?」


 わたくしはできるだけ分かりやすく説明した。できるならこの可愛らしい少女までノアの二の舞いにしたく無いのだ。


「丁寧な説明ありがとうございます。わたくしは、ジャストフットの国守りをしているミノア家の娘。サンと申します。

 司令官ノアは、あゝ見えても、ジャストフットの貴族の端くれです。ジャストフットの更なる高位の神の守護を受けていたはず。少なくともレベル6以上の『定理の強制』が無くては彼を消滅させることはできなかったはずです。

 皆さんはそれほど偉大な権能をお持ちなのですね。でもわたくしは本国では相当に身分の高い家の出身なので天主様直々に加護を頂いておりレベル9でなければ滅せまぬがそれでも月の加護を破れるとおっしゃいますか?」


 少女サンが緑色の瞳を鋭く見開いて挑戦するように言った。


 わたくしはなるほどと感心してサンを見た。彼女の言っていることが本当なら光公子様でも彼女に影響を与えることができないと言う事だ。しかし自分の世界の最高神がどれほど強いのかなんてこんなに簡単に話すはずがない。恐らくハッタリと我々の力を測る目的で言っているのだろう。


 そんな事を思いがらわたくしは光公子様を振り返ってしまった。どうしましょう?


 ところが光公子様は予期せぬことを仰ったのだった。


「あ、どうして分かったの? さっきレベル9になったよ。皆もレベルを見てご覧よ。レベル8にしておいたから」


 またしても光公子様の爆弾発言によりわたくしはひっくり返りそうになったのだった。


 慌ててわたくしは自分のステータスボートを確認した。すると光公子様の仰る通り『真理の書替』のスキルがレベル8になっていた。こんな短期間でレベルが二つも上がっているのだ。驚かないわけにもいかない。


 でもわたくしはさっきまでレベル6で権能を分与してくださった光公子様はレベル8だった。わたくしは光公子様のスキルでは光公子様の二つ下のレベルの『真理の書替』の権能しか分与できないのだと思っていた。


 わたくしの疑問が顔に出ていたのだろう。


「あゝ。ごめんごめんややこしいよね。僕のスキルなんだけと『真理の書替』のレベルは9だよ。でも『権能の分与』のレベルはMAXになったんだよ。だから自分の一つ下までは分与できるようになったんだよ」


 光公子様の爆弾発言は止まる事を知らないようだ。敵のジャストフットが目の前にいると言うのにこんな重要な事を喋って大丈夫なんですか? 誰か光公子様の爆弾発言を止めてください!


 ほら、サン様が目を丸くして今にも気を失いそうな顔色ですわよ!

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