291 ジャストフット
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《レリトニール公子視点》
「きゃっほー!」
「きゃほーきゃほー」
「きゃほきょほ」
様々なきゃっほーがあるもんだ。しかし俺のイメージとは全く違う。可愛い過ぎる。
ノイツ君などは少し嫌そうな恥ずかしそうな感じで可愛く言ったりしている。もはやこれは全く違う方法にまっしぐら中だ。
まぁ、楽しかったらそれで良いか。
ジャストフットの神様達は、何が起こったのかとギョッとして俺達を見た後、何だみたいな呆れた仕草をしてからガン無視した。
ふふふ。後悔させてやる!
と言う事で、爆裂魔法を辺りにばら撒いた。
さすが上位の神様種族なだけあって、俺の投げた爆裂魔法を何でも無いみたいに避けもしない。
派手な爆発とは裏腹に皆、全く無事で何これ美味しいの状態だ。
ちくしょう。
と思っていたらアイリス嬢が居合い抜きで目の前のジャストフットを真っ二つにした。
真っ二つになったが、それでも退治できなかったようで、二つの身体で器用に俺たちに手を振ってきた。
何これ?
二つに分かれたジャストフットは、お互いで抱き合うみたいな仕草をすると元に戻ってしまった。
どう言うことか?
しかも、ジャストフット達は、俺たちに声援まで送ってくるのだ。
「おお! 凄いじゃ無いか。俺はここに何度も来ているが、こんな派手なアトラクションは初めてだ。もっとやれ!」
ん?
アトラクションだと?
俺の疑問もだんだん大きくなっていく。
そもそも言葉が分かるのが不思議だ。だって異世界の神様だそ。なんで言葉が分かるんだ?
続いてリビエラ嬢が極大魔法を何重にも練り上げた特殊魔法、煉獄炎鎖を発動した。煉獄炎鎖は、真っ赤に赤熱した無数の鎖を生じさせる魔法だ。
その溶鉱炉ような熱気をどう言う訳なのだろう、ジャストフット達は全く気にもしていないようだ。
それどころか派手な見た目に対してやんやと声援を送ってくれているのだ。
極大魔法が効かないとなるとリビエラ嬢は意地になって更に魔法を高めた超極大の魔法を作り上げた。さすが魔法の得意なリビエラ嬢だ。
もはや炎の鎖ではなく炎の巨大な無数の龍のようになって周りのジャストフット達をぐるぐる巻きにした。
しかしその結果は芳しくなかった。逆にその無数の龍の炎があまりにも熱いため、我々の方まで熱せられて少しダメージを負ってしまっただけでジャストフット達は全く被害を受けていないようだった。
「光公子様。これはさすがにおかしいですか? いくらなんでも全く効果が無いなんて、、、」
リビエラ嬢はそこまで言うと魔力が枯渇したため魔法を放棄していた。
相当苦しいようだ。それほどの魔力を込めて放った天才魔術師リビエラ嬢の渾身の魔法なのに、相手は恐らくジャストフットの中でも下級神であるはずの群衆なのに全く影響を与えられなかったのだった。
「光公子様。これは『真理の書替』が発動されているのじゃし。通常の魔法をいくら使っても無効とされているのじゃし」
モーフが俺に耳打ちしてくれた。
なるほどそう言うことか。
そうとなるとこちらも『真理の書替』をして相手の行ったであろう書替の効果をなんとしても無効にしなければならないだろう。
「皆、一旦ここから退去する。転移するぞ」
俺はそう言うと皆の返事も待たずに今一度、ハリボテの建物の中に転移した。
悔しいがジャストフット達は全く無傷でやんやと声援している。馬鹿にされた気がして悔しさが湧いてくる。
リビエラ嬢やアイリス嬢も得意の攻撃が全く効かなかったので意気消沈しているようだ。
「皆、すまなかった。どうやら月では『真理の書替』によってジャストフットにいくら攻撃しても全く効果がないみたいだ」
俺はモーフから聞いた事を説明した。
「なるほど。真理の書替とはこれほど効果があるもんなんですね」
疾風ドリューが感心したように言った。さすがの精悍なアドリュー卿が正気のない顔色になっていた。
「アドリュー卿。俺も驚いているよ。これほどの効果があるなんて驚きだよ」
「あれはどのような書替なんでしょうか?」
リージィー公女がトレードマークの燃えるような真っ赤な髪の毛をかきあげながら尋ねた。
「そうじゃな。我にもこれほどまでの書替は知らぬのだが、恐らくジャストフットの高位の存在が月全体にジャストフットへの攻撃を無効化するような書替をしたのであろう。
たしかジャストフットはこれを定理の強制と呼ぶのじゃな。
この書替はあまりにも効果が高くて下手に上書きすると月そのものが崩壊する恐れがあるぞ」
「どうすれば良いんだい?」
「そうじゃな。この書替をした本人と戦って滅ぼすのが一番手っ取り早いじゃろうな」
「早くしないと本隊が救出活動を始めちゃうよ。
でもその相手をどうやって探せばいいのか、、、」
俺は嘆息しつつ呟いた。
「簡単なことじゃし。そいつと出会うように真理を書き換えてしまえばよいのじゃし。光公子様なら容易いだろうし、そいつと出会うことぐらいの書替なら問題も無いじゃろ」
と言うと俺は真理の書替を発動したのだった。
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