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290 書替と強制

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《レリトニール公子視点》


(時間は囮隊の皆が月の首都であるエムスキャラに来て直ぐに遡る)


 俺はハリボテの建物の中から外を覗いて見ていた。


 うーん。あれはなんだろう?  巨大な二本足と長い髪の毛の気持ち悪い生き物だ。俺の神眼君はあれがジャストフットの民達だと解説してくれている。


 その化け物達の間にヒューマンに近い姿の者達が少数混じっている感じだ。


 神眼君はそのヒューマンみたないかのがジャストフットの貴族って解説してくれている。


 貴族達は『定理の強制』って権能で姿を変えているようだ。


 俺たちは人目につかない建物の中に転移して外の様子を伺っているところだ。


 月は確か重力が6分の1ほどだったはずだが、なぜか身体が重い。


「光公子様。ジャストフットの世界に合わせているのでしょうか? 身体が重たいです」


 リビエラ嬢が紅銀こうぎんと呼ばれる美しい銀髪をかき揚げながら動きにくそうに言った。


(紅銀は銀色と紅色が複雑なグラデーションを見せるベルベットの輝きのような特殊な色)


 先程ジャストフットの貴族が『定理の強制』って能力で姿を変えていたが、月の重力も同じ能力で変化させているとしたら同系統の『真理の書替』の権能でしか対応できなかったはずだ。


「あゝ、そうだ。なんか知らないけど最近スキルを覚えてね。変てこな名前なんだけど便利なんだよ」


 俺は最近得たスキルが使えそうだと思って言った。


「え? どんなスキルなんです?」


 なぜかちゃっかりと俺の囮隊に入っているアスラ様が尋ねた。まぁアスラ様も強いから良いか。強くて凄くイケメンだから嫁候補達が目移りしないか心配だ。


(自分の強さもイケメンさも分かっていない)


「スキルの名前は『権能の分与』って言うんだよ」


「権能とはガイア様の持たれたていた権能のことですか?」


 アスラ様が少し興奮気味に尋ねてきた。


「そうそう。『真理の書替』の権能ってやつだよ。僕のスキルは少し変わっててね、なんでも眷属に分けて使えるようにするそうだよ。

 この権能を使ったら身体が軽くなるはずだよ」


「え? そんな凄いことができるのですか?」


 アスラ様が凄く興奮している。


「はいはい。アスラ様にも分与するから焦らないでね。

 じゃあ皆さんに分与するよ、、、、はい。ステータスを確認してみて?」


「はい。スキルが芽生えました。ありがとうございます」


 サスティナ嬢が彼女のお金持ちさを強調するような金髪と金色の瞳をキラキラさせながら言った。


「この能力を敵が持っていたらこの能力でしか対応できないらしいからさ。みんなも持つことができて一安心だよ。僕を守ってね」


「「「「「「「「もちろんです」」」」」」」」」


 なぜなんだろう? 皆がとても嬉しそうに答えた。


 嫁候補達はそもそも俺の護衛みたいな人が多いし、槍のシュレディー、疾風アドリュー、近衛ノイツ、第一騎士団イールド、獣王子レオンなどは完全に俺の護衛みたいなものだからだろうか?


 四字熟語で言えば異口同音って言えばいいのか。仲のよろしいことで。


(公子が先走らないか心配してるんだよ)


「あのぉ」


 わお! 驚いた。リリーアージュ嬢か。突然背後から出てきたから腰が抜けるほど驚いたよ。どうした俺の気配察知スキル君は。


「何? リリーアージュ嬢」


「はい。光公子様。わたくしのスキルには権能の横に数字が書いてあるのですが、これはなにを表すのでしょうか?」


 珍しくベールをあげている(うっかりあげたままにしている)ため、彼女の恐ろしいほどの美貌が良く見えている。紫色の髪の毛と紫色の瞳がマッチしていて神秘的なまでに美しい。


「あゝ。それね。それは権能の強さのゲージだよ。MAXは10らしいけど僕は8だったよ。皆には僕が分与できる最大の6を付けたからね。スキルに気付いて直ぐにスキルのレベルを上げようと訓練しているから間ものなくレベルが上がるだろうからあがったら皆のスキルレベルも上げるから楽しみにしておいてね」


 俺がそう言うとアスラ様がなんか怖い顔をして俺の方に近寄ってきた。


「光公子様。真理の書替の権能は凄い能力なんですよ。それにMAXってそれは全能って意味でしょ。そんなの簡単に取得できるはずもありませんよ。

 ちなみにモーフ様はガイア様の時にどれほどの能力を持たれていたのです?」


 いつもクールガイなアスラ様たが内面の本来の熱い面が出てるのかとても興奮している。


「我か? 我はレベル3だったのじゃし」


 俺の肩の上のモーフが答えた。


「はい? それじゃレベル6と言ってももとんでもなく高いレベルじゃないですか!」


 アスラ様の興奮は更に高まっているようだ。


「そうじゃし。我も驚いているのじゃし。眷属になったはずなのに逆に力が何百倍にも膨れ上がっておるからな。もうどうなるか我にもさっぱわからん。さすが光公子様様じゃし。想像を遥かに超えていらっしゃる」


 モーフも可愛くコテってしていったがこれは俺を持ち上げすぎだろ。


「モーフったら大袈裟に言い過ぎだよ。たまたま。スキルとの相性が良かったんだよ。スキルレベルなんて普通直ぐにMAXになるたろ?」


 だって他のスキルなんて芽生えたら直ぐにMAXなるよね。


(修行厨のレリトニールは修行のし過ぎであらゆるスキルがMAXですがそれが当たり前と思っている)


「相性でどうにかなるスキルじゃないのじゃし」


 モーフが呆れたように言った。


「まぁ、モーフは俺のことだけはいつも大袈裟だからな。そんなに褒めても何にもあげないぞ」


 俺はモーフをモフモフしつつ言った。


 モーフは仕方ないみたいなポーズを取ってから皆に言った。


「光公子様は放っておいて、我から皆にこの権能についていくつか話しておくことがあるのじゃし。

 良いかな?」


「「「「お願いします」」」」


 皆がモーフを見ながら答えた。女性達はモーフを見るとモフモフしたくなるのだろう、瞳がハート型に変化している。我慢しきれなくなったリビエラ嬢がモーフの首筋を撫でている。


「こらこら。お願いしますと言いながら首をコソコソするのは止めるのじゃし。

 よし。じゃあ教えてしんぜよう。

 まず第一に、『真理の書替』とは信じた世界を具現化する能力なのじゃし。イメージを本当にする力だな。

 二つ目だが使い方は簡単じゃし。真理が初めからそうであったと思うだけで権能が発動するんじゃし。

 簡単じゃろ」


 ん? 簡単かな? 言っている内容は簡単だが実際にするとなると難しそうだ。恐らくモーフはずっと使っていたから簡単に感じるんじゃないだろうか?


 モーフの説明は続く


「最後に注意しておくのじゃし。真理を変えるので、時としてどのような影響が出るか分からないからあまり大きな変化は慎むべきじゃし。使い始めは特に注意するのじゃし。

 光公子様のようにこんな強力な権能をホイホイ与えるもんじゃないのだし」


 怒られちゃった テヘペロ


 もう。話はそれぐらいにして狩だよ。異界の神って倒したらどんだけ経験値なるのかな? 楽しみだ。


 外にはジャストフットが大量にぞわぞわしている。これはダメな奴だ。


 神眼君の説明を見るとジャストフットの民達は異種族達を殺して食べてしまう排他的で凶暴な種族だと説明している。こいつらダメな奴のようだ。


(貴族達はスマートな種族のフリをするが本質は同じ獰猛な種族です。現在月ではヒューマンの貴族の姿をするのがブームだったりする。宇宙でも獰猛な種族が覇権をにぎるのは同じようです)


 これは躊躇なく派手に暴れられそうだ。こんな絶好の機会はないだろう。


(皆の背中に隠れて戦うつもりのレリトニールはいつまでもゲーム感覚がぬけきれない)


 じゃあ行くよ!


「キャホー」


 俺は叫びながら飛び出したのだった。


「あ、光公子様! 真っ先に出てっちゃダメじゃないですか!」


(リビエラストの制止の声は届かない。有頂天なったレリトニールは皆の背中に隠れるとか言いながら真っ先に飛び出していった。いつものことだ)

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