288 おい、不謹慎だぞ
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《レリトニール公子視点》
「ゼリューシュ様。皆の修行の結果はどうでしたか?」
トーナメントはアクシデントで中途半端な終わり方をした。改めて俺が尋ねるとゼリューシュ様は、大きく頷いた。
「アルテミスから耳がタコになるほど光公子様の修行の事は聞いていましたが、なるほど聞きしに勝る効果ですね。
アルテミスの言うことが本当なら効果が高すぎるのではと半信半疑でしたが、あれなら効果が出て当然なのだと納得しました」
「うん。修行楽しいよね」
「楽しい? あれが?」
「え? 楽しく無かったかな。もっと凄いのを期待した?」
「いえいえ。滅相もない。あれは本当にすごく良かったです。あれよりも凄いのは全然必要ないほど楽しかったです」
「うん。みんなそう答えてくれるんだ。良かった」
(お前の聞き方が悪い)
「ところで話は変わりますが今後はどのように?」
慌てたように話を変えるべくゼリューシュは言った。
どうしようか?
(考えてねぇのかよ)
そうだ。
「セレスが月の情報収集してたはずなのでまずそれを聞いてみましょうか」
☆
と言うことで主要な神々をセレスの司令室に集まって貰った。
神々は司令室の巨大なスクリーンに映るセレスを見ていた。
「セレス。月はどうなっているの?」
「月は現在、ジャストフットのテーマパークになっているのではと推察いたします」
「テーマパーク?」
「はい。月は見た目がほぼ地球と同じ状態ですがこれは環境的に不自然です。
膨大なエネルギーを消費してそのような環境になるように改変されています」
「大規模魔術ってわけね」
リビエラ嬢が尋ねた。
「ジャストフットは定理の強制と呼んでいるようですが原理は同じでしょう。
量子改変素粒子による物質化現象、重力素粒子による物理化現象、、、」
「セレス。魔法の説明はいいよ。それよりも月の女神様たちはどうなったの? それとテーマパークって具体的になぜそう推察したの?」
俺がそれを聞くと肩の上のモーフが身じろぎしてスクリーンを見上げたのが分かった。
「月の首都エムスキャラにある月の塔に幽閉されています。彼女達はジャストフットの見せ物として生かされているようです」
セレスがそう言うと肩の上のモーフが身体を震わせた。俺はモーフを肩から下ろして膝に乗せるとそっとなでなでした。セレスはそんなモーフに構うことなく月の説明を淡々と続けた。
「月はジャストフットによってほぼ地球と同じ状態を保たれています。月の神々にもジャストフットにも不要なのにそのような無駄なことをするのは地球を擬似的に作りだそうとしているからです。
このような大規模改変が可能な彼らでありながら彼らが地球と月を現状の姿に止めているのは単にアミューズメントとして残していたのだとする仮説が最も可能性として高いと考えます」
なんと月はセレスを作った人達がテラフォーミングしたのでは無くジャストフットがそうしているらしい。
「地球が攻撃されなかったのはセレスの存在が大きかったからではないんだね」
俺はそう考えてんだけど。
「ジャストフットには科学と言うものは存在せず。わたくしをガイアの守護神と呼んでそれなりの神として認識しているものの畏れているわけでも警戒するわけでもなかったようです。わたくしがこうして月を周回していても特に反応を示さなかったのはこの行動がわたくしの気ままによりなされたものと認識してるようです。つまり格下のわたくしが何をしても気にもしていないと言うことでしょう。
地球は水が凍りも気化もせずに存在する希少な惑星です。その景観が彼らを楽しませているようです。
地球がジャストフットの侵略を受けなかったのは地球の景観が一番の理由だったのではと推察いたします」
なんと衝撃の事実だった。月はジャストフットが気まぐれで地球に似せていただけで、地球は綺麗だから侵略しなかったと言うのだ。
「セレスから見て彼らの強さはどう?」
俺は次の重要な質問をした。
「月に滞在するジャストフットの中でマスターほどの力を持つものは存在しないと推察します。
マスターの影響力は修行の効果に使われているように見えます。これはアスラ様ほかマスターの周囲の方の成長の著しから明らかです」
「ええ? その推察は信じられないね。僕なんか強くもなんでも無いよ。もし僕がそれほど強いなら僕よりも強いアイリス嬢やリビエラ嬢が創造神なれんじゃない?」
「それは他人の成長はよく見えるのでそのように感じるのだと推察します」
「うーん。納得できないけど。そりゃ修行してるだから多少僕も強くてならないと」
ゲームにならないじゃん。
(おい、不謹慎だぞ)
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