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神がモブ認定しているのに皆が俺を光の公子様と崇め奉り困ってます  作者: seisei


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287 あらぁ。消滅って。

ブックマーク。高評価。いいね。よろしくお願いします。

《アイリス視点》


 ようやく決勝に辿り着いた。今回の目標は優勝することでは無い。エキシビションで自分の実力が光公子様にどれほど通用するかを試したいのだ。


 恐らく小指で一捻りされるのであろうがそれでも構わない。


 光公子様と修行を一緒にした者なら疑うはずも無いが光公子様からの直接教示を受けていない者には光公子様がどれほど偉大かまだ分かっていないところがあるので、その者達にも光公子様の偉大さを示すこともできるだろう。


 女媧様には申し訳ないがさっさと終わらせてエキシビションに入りたい。


 女媧様は胸から先だけが布団から出てきたような姿をした神様だ。身体の大部分は異次元にあるそうで、その巨体は世界と同じ大きさなのだそうだ。


 身じろぎするだけで大地震が起きるとも言われている。その力が想像できると言うものだ。


 女媧様は、わたくしに嫌悪の籠った鋭い視線を向けてきた。


「ヒューマンの小娘。今までお主達が見みていた妾は本物では無い。わらわは、この世界の神でなくアウターの神なのである」


 女媧はそう宣言するように言った。


 急に何を言い出すのだろうと返す言葉が無い。


「ヒューマンの小娘よ。妾は修行で更に強くなった。そもそもソナタらよりも大変優れているアウター神である妾が修行でさらに強くなったのだ。もはや妾に勝てるものなどいるものか」


 ん? この蛇女は馬鹿なのか。そもそも光公子様の恩恵で強くなったのだとどうして理解できないのだろう?


 この世界の外にはジャストフット、イネルバー、アウターと言う強力な異界の神々が存在すると光公子様様から聞いていたが、この蛇女は、アウターの手先だったらしい。


「お前がアウターの回し者だったのは分かった。しかしお前は馬鹿か? 黙って不意打ちをすれば良かったのでは?」


 わたくしがそう言うと、女媧はしまったと言う顔をしてから


「妾はそんな卑怯な手を使わなくてもお前のような小娘など幾らでも倒して見せよう。その後はレリトニールの小僧を思う存分痛ぶってやる」


 女媧がよだれを垂らすような顔をして言った。なんとも百面相のような女神もあったものだ。しかし光公子様を悪様あしざまに言うのは許せない。


「わたくしのことなら幾らでも好きに言えば良い。しかし光公子様のことを悪く言う者を許しておけぬ。さっさとかかってこい蛇ばばぁ」


ばばあだと? ゆるさぬ」


 女媧は異次元に隠していた巨大な本体の尾をわたくしに向けて打ち下ろしてきた。


 わたくしは咄嗟に剣を抜き次元切りを発動した。次元切りは次元を操作する技だ。切るだけでなく受けでも使えるのだ。


 わたくしの剣尖が女媧の山のような尾を派手に弾き返した。轟音と振動がセレスを揺るがした。


 第二撃を放とうした時、横から伏羲ふっきがわたくしに飛び掛かるところだった。


 あっと思ったが、次の瞬間には伏羲はなぜか地面に叩きつけられていた。信じられないほどの轟音と振動にセレスが分解するのではと心配になる程だった。


 なぜ? と思い後ろを振り向くと光公子様が手をぱたぱたと叩ていらっしゃる。光公子様の仕業らしい。


「光公子様。ありがとうございます」


「ああ。ごめんごめん。変なのが乱入してきたらつい」


 なぜか光公子様は頭をかきながら武闘場から出て行く。


 女媧との勝負はそのままわたくしに任せると言うことなのだろう。


 伏羲ふっきは、意識を無くし天津神様達に囚われていた。


 見ると女媧は驚きのあまり口を大きく開いていた。


 それほど光公子様の攻撃に驚いたのだろう。


「アウターの犬。いくぞ」


 わたくしは宣言してから必殺の斬撃を打ち込んだ。光公子様に先日教えて頂いた唐竹割りと言う技だ。


 本来こんな試合如きで出して良い技ではないが女媧には使っても良いと考えたのだ。


 この攻撃は、次元切りの応用技で量子切りなのだとか。良く分からないが光公子様が絶対なんでも切れると仰っていた。


 そしてそのお言葉通り、わたくしの斬撃は見事に女媧を真っ二つにしていた。


 あまりの見事な切れ味に観衆から怒涛の声援が送られた。


「あ、話が聞きたいから女媧さんを復活させるよ」


 慌てたように走り込んで気た光公子様が、そんな言葉を言い訳のように言いながら女媧を復活させていた。


「な? なにが起こった? 妾は死んだのか?」


 恐らく死亡ペナルティにより相当なレベル後退と身体的なスキルの減少が起こっているだろう。意識も朦朧としているに違いない。


「あ、伏羲は?」


「あゝ。囚えているぞ」


 光公子様が答えた。


「お前。伏羲をよくも殺してくれたな」


「え? 殺してないけど?」


「そうか。ならば良い。神農はどうした?」


「神農ならセレスから出て行ったよ、、、」


「お前、どうして視線を避けるんだ?」


「さあ」




《時間は少し遡る。宇宙空間にして、天の視点》


「なんとも、えげつない強さだった。あの小僧の動きは全く見えなかったぞ。あれはアウターの大神に匹敵するかもしれん。さっさと逃げてきて良かった。あんな奴に捕まったら逃げられるとは思えん。しかし今回のソルの神は侮れん。あの修行と言い、さっさと帰って報告せねば、、、」


 神農が宇宙空間を全速力で飛びながら一人呟いていた。


 ん? 何かが光ったので農神は後ろを振り向いたがそれが彼の意識の最後だった。



《更に少し前。農神が脱出した直後。レリトニール公子視点》


 セレスから思念が飛ばされてきた。


《マスター。許可なく船外に出た者がいますが如何いたしましょうか?》


《あ、神農だよ。アウターだそうだから。止めることはできる?》


《やってみます》


 その直後、セレスのエンジン音が一際激しく鳴り響いた。セレスがなんか頑張っているようだ。


 次にセレス全体が大きく揺らいだ。


《な、何。何したのセレス》


《はい。小規模激烈量子崩壊兵器を使用してみました》


 あ、ダメな奴を使ったらしい。確かに神農ほどの神格では核融合兵器程度ではやっつけられなかったはず。


《大丈夫なの? 太陽系が消滅したりしてない?》


 俺は慌てて尋ねた。


《はい。理論より少し威力があり過ぎたようですが神農の消滅を確認しました》


 あらあ、消滅って。

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