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286 そこまで言うなら好きすれば良い

ごめんなさい。いつもと同じ時間に掲載したつもりになってました。

今、続きを掲載しようとして気付きました。ごめんなさい。

《天の視点》


 第一試合は、黄帝vsアスラの試合だ。


 黄帝こうていは、7神の一人であり方位神とも呼ばれる有名な神だ。


 臣下には七万の天兵を従える強力な神である。


 土の属性を支配する属性神でもある。


 しかし、黄帝は国津神の中でも最も神格が高い正一位であるだけでなく、神々の上位に立つ上帝じょうていと言う位を有する神だった。


 上帝と言う位は、天津神より直属の神々7神に与えられた特別な格だ。


 天津神にはガイアから『真理の書替』の権能の能力の一部が与えられていた。


 このため天津神から位を与えられた黄帝などの7神がその影響を受けて他の国津神よりも強くなったのは必然だった。


 ちなみにレリトニール公子もアルテミスから様々な恩恵を授けられた。ゼリューシュが全く与えない以上に多大な恩恵を授けたわけだ。『真理の書替』の権能はゼリューシュに与えられたがアルテミスも間接的に使える。『真理の書替』の権能は神々の全てが大なり小なり有するとも言えるのだ。


 もちろんアルテミスがレリトニール公子に一目惚れしてしまい、ストーカーとなったことが直接の原因である。


 アルテミスの偏愛とレリトニール公子の転生者と言う特殊性と異常なまでの修行好きなどが相まってレリトニール公子と言う存在ができあがったわけだ。


 もちろん今では本物の主神であるガイアから『真理の書替』の権能はレリトニール公子に移っている。


 『真理の書替』は魔法の強化版と理解すると分かりやすいだろう。曖昧だがなんでもありの能力だ。何でもできる。全能と言えば分かり易いだろうか。


 とは言え全能にも限界が存在する。別の全能と衝突したときに歪曲されてしまうのだ。


 例えば、神々は全能の主神により姿や能力が授けられる訳だが、仮に主神が変わり、新しい神が『真理の書替』の権能を持てば古い神々は存在が消えるか歪曲されてクトゥルフのような存在になってしまうと言う訳だ。


 話を戻す。上帝の位を有する正一位の神である黄帝が他の神々よりも優遇されて強い。


 対戦相手の正二位の大神でしか無いアスラには荷が重いと言わざるを得ないと大方は予想した。


 とは言え、先の準々決勝に於いて正一位のロキ神を下しているのだからアスラの勝利の可能性もありえるのかと観衆の興味は尽きなかった。


「アスラよ。お主は長年に亘り我らと戦ってきたがお主をシャチー様の父親と思い手心を加えてきたのは存じておろう。

 しかしこの戦いは別である。互いの名誉をかけて勝負だ」


 黄帝がアスラに言った。


「黄帝様。そのような慈悲を掛けて頂いていたとは申し訳無い。今回はその恩義に報いることはできぬが、いつか借りは返させて頂こう」


「そうか。楽しみしておこう」


 それだけ話すと二人は戦いに入った。


 黄帝の得物は金属の太い棒だ。縦横無尽に振り回される金属の棒は、剣などよりも危険な武器だ。


 一度、命中すると何もかもを破砕してしまう威力を持つだけでなく、この神器の成分もただの金属な訳もなく防御力は剣など追随をするさ無いほどの強さを誇っていた。


 一方のアスラは、伝統的なインダスの曲刀である。作はもちろんレリトニール公子とエカテリーナ嬢の合作であり鈍刀では無い。


 戦いは壮絶を極め観衆の興奮は頂点に達した。


 アスラと黄帝の戦いは、大方の予想を裏切りアスラが大勝したのであった。


 盛り上がる神々。


 準々決勝の第二試合。アイリス嬢vs女媧の試合だ。


 女媧じょかは中国の創造神だ。蛇の身体に美女の顔がある。伏羲ふっきとは夫婦とも兄妹とも言われている。


 巨大な身体は異次元にまで広がり神としての能力は他の追随を許さない。



伏羲ふっきよ。わらははあの子娘を見ていたら身の毛がよだつのじゃ。恐らく異質な神の力があの子娘をあのように存在させているからだろう。お願いじゃから殺させておくれ」


 女媧がヒソヒソ声で言った。


「よかろう。この修行は脅威だ。放置しておけば我らアウターの世界にも脅威となろう。馬鹿な奴らめ。我々も同時に強くしてくれるとはな。そもそも格の高いアウターたる我らを強くして奴らに勝てる道理があるか? こやつらは我らが滅ぼしてやろうぞ」


 伏羲ふっきが馬鹿にするように周りの神々を見ながら言った。


伏羲ふっき殿、女媧じょか殿よ。ワシはあのレリトニールと言う小僧の実力が良く分からないのだ。様子を見るわけには行かぬのか?

 仮にあのレリトニールとやらが強かったらジャストフットの勢力を削いでくれるだけだろう? ワシらアウターとしてはどちらが被害を受けても良いではないか? これほど長きにわたり潜んできた我らがこんなことで正体を表すのか?」


 三皇の最後の一人、農神のうじんが二人を制止するように言った。農神の言っていることが正論であると女媧も伏羲も理解したが正論には反発したくなるものだ。


「ふん。農神のうじん殿は慎重なのだな。ソルの神々などに怖気付いたのか? ワシは新たな地球の神が現れた今こそ好機だと思うが?」


 伏羲が揶揄するように言った。


「ふむ。そうまで言われては仕方ないが、しかし噂ではレリトニールの小僧は修行前とは言え、先程の黄帝を含めた7神を吹き飛ばした言うでないか?」


「やはり怖気付いているのか? 噂は噂でしかない。あんな影の薄い奴に何ができる。肩に乗っているガイアが裏で全てを仕切っておるのだろうよ」


 伏犧はどこまでも地球の神々を見下さずにはいられないようだ。


「国津神共も同じようなことを申している者がいたが、最後のエキシビションで実力は分かるのでは無いか?」


 農神はなかなか納得しきれない。


「所詮奴らは奴らの好きな風に物事を進めていくさ。そうではないか? エキシビションなど所詮エキシビションだ。小僧の実力が強くても弱くても本当の実力など分からぬ仕舞いだろう? 結果など信じられるものか。そもそも我らだけで早々にこの世界を滅ぼしてしまえと言っていたのは農神殿よソナタだぞ」


 伏羲ふっきが吐き捨てるように言った。


「ん? それはそうだが。それはあくまでも新たな地球の神が生まれるまでの話で、しかもこれほど神々が集う場所ですることかと言いたいが?」


「ふん。これだけの実力が付いたのだもはや誰にも負ける気がしない。これも修行のおかげだが、惜しかったのは光公子グループとやらからの修行を受けることができなかったことだ。

 アスラめ、変に感の鋭い奴だ。我らアウターの勢力は誰もレリトニールの一派の修行に参加できなかったがそれはアスラの采配らしいな」


「それも懸念材料ではないか?」


 農神はどこまでも慎重だった。


「農神殿。理屈は良い。妾はコヤツらを見ているだけで身の毛がよだつのじゃ。妾と伏羲でソルの神々は滅ぼす。ソナタは影で隠れておれ」


「そこまで言うなら好きにすれば良い」


「ふふふ。まずは小娘を血祭りにあげてあの小僧は妾の贄するぞ。良いな」


「女媧よ。ソナタ。あの小僧が欲しいのでないのか?」


 伏羲が鋭い目付きで尋ねた。


「妬くな。痛ぶって食うだけじゃ」


「兄妹喧嘩までするなよ。ややこしい奴らだ」


 呆れた農神が吐き捨てるように言うとその場を離れて行った。何かが怒れば逃げる気だ。


 情報をアウターの本国に届けるのが最も重要な事だと知る女媧伏羲は黙って農神の所作を見ていた。

ブックマーク。高評価。いいね。よろしくお願いします。


次回は少し間を置いて今日中に掲載予定です。ご迷惑をかけてすみません。

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