281 修行の同義語は?
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《レリトニール公子視点》
セレスの最上階にある操縦室では、俺たち主要な者達がスクリーンを前にして座っていた。
スクリーンには月が大きく映し出されていた。現在の月は、前世の月より余程美しい。
青々とした表面は、豊かな海原の存在を思わせる。もちろん陸地もある。
「光公子様。偵察隊を出します?」
リビエラ嬢が尋ねた。
「いや。セレスには何らかの方法があるはずだよ。それを試してみるのが安全で効率的だと思うよ」
俺がそう言うと
「はいマスター。私には偵察機が多数搭載されています。偵察機は無人で情報の収集を行なうことが可能です」
セレスが答えてくれた。セレスはこの短期間で世界語をマスターしたようで世界語を話していた。
「セレス。ジャストフットの文明レベルはどれくらいに見える?」
「はい。都市の文明レベルは地球と同等のようです」
「そう。ジャストフットの文明も大した事がないってことだよね。どうして文明が発達してないんだい?」
「現在、月に生存する知性体はとても優秀で高度な文明を発達させる必要性なかったためでしょう」
なるほど。確かに現世のヒューマンですら魔法を使えるため、前世のような科学文明の必要性は高くなかったと言える。
ましてや全能にも見える神々なら文明など全く不用だろう。天津神を圧倒するジャストフットやイネルバ、更にはアウターと言う異界の神々には文明は無いと考えた方が良いだろう。
「セレスの戦力でここを制圧できそう?」
「制圧できる可能性は25%です。これは核融合兵器による衛星の破壊によりジャストフットを殲滅させる方法です」
なるほど。絶対ダメな奴な上にたったの25%って。何よりも月を太陽にしてどうするよ。
「それ以外では?」
「恐らく小規模核融合兵器にて個別攻撃した場合、ジャストフットを討伐できる確率は相当低くなるでしょう。ジャストフットは惑星級の神と互角以上に戦うほどの戦力を持つと想定されています。
わたしの最大兵器は大規模核融合兵器ですがこれでは影響が大き過ぎてマスターのご希望に添えないと推定されます」
まぁ、そうだね。
うーん。分かった。
「よし! じぁあ、セレスは偵察機を多数出して情報収集ね。敵を知りだね。そして俺たちは修行だな! 己を知りだよ」
「ちょ、ちょっと待ってください」
美の女神アルテミスが割って入った。
「ん? どうしたんだい?」
俺は想像外の人からの発言に戸惑って聞いた。
「あの修行を我々にもですね?」
「もちろんさ。だってジャストフットの方が強いんでしょ。
もちろん我々にはアイリスを初めとする強力な戦士がいるにはいるよ。もちろん僕も非力ながら戦わせてもらうけど皆も頑張って貰わないと。核融合なんて使えないじゃない」
俺がそう言うとアルテミス様の元気が途端に無くなった。あれ? 皆も元気ない?
その様子を見ていた他の天津神達が不審そうにしていた。
もちろん、俺も大いに不審だよ。皆何を心配してるの?
あ、そうだ。セレスに僕たちが修行している間のことをお願いしないといけないよね。
「あゝ、それとセレスは宇宙空間に出てきて攻撃してきたアホはバンバン核融合兵器を使っちゃって。一番暑いので良いからね」
「マスター。小規模激烈兵器なら量子崩壊兵器を推奨します」
「なにそれ?」
「量子兵器は、小規模なビッグバンを発生させる兵器です」
「影響は?」
「エネルギー総量は極小なため量子崩壊は限定的ですので瞬間的に激烈なエネルギー放出を行うだけで大丈夫です」
激烈とかなんか嫌な言葉だ。なんか怪しい。セレスにマッドサイエンティストの匂いがするぞ。
「実証実験はしているよね」
「いえ。全て理論による推測と様々な実験室での擬似実験による論理検証のみしかされておりません」
やっぱりだ。
「はい。アウト。絶対使わないでよ。新しい宇宙とかできたらどうすんだよ。プラズマ砲とか無いの?」
「気体を電離分解した状態にして宇宙に放出することは効率を無視していると結論します」
「はいはい。分かったから。セレスが相手を殲滅するのに最も適していると思われる攻撃で影響が少なくて、実証検証が確実に済んでいる攻撃に限定してやっちゃってよ。
もしそれでも危なそうな惑星級の神様が出てきたら一旦はさっさと逃げようか。それでも無理そうな場合か情報分析ができたら呼んでね。皆行こうか?」
俺の呼びかけに皆がなぜか死んだ魚のような目になっているのはなぜなのだろうか?
修行だよ?
レベルが上がって強くなるんだよ?
あんなに楽しいことってある?
(レリトニールは修行と言う言葉をゲームと読みます。馬鹿なの?)
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