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280 鬼が出るか蛇が出るか?

本日3話目です。

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《レリトニール公子視点》


 聞けば、国津神様達は皆、セレスに乗りたいらしい。それが夢だと聞けば乗せてあげないのは意地悪だよね。


「じぁ、皆んな来る?」


「何処へですか?」


 リビエラ嬢が俺の言葉を遮って尋ねた。決まってるよね。


「ルナだよ。ルナね」


「え? ルナは行く事ができるのでしょうか?」


 アイリス嬢が目を輝かせて尋ねた。


「もちろん大丈夫さ。セレスは何処にでも飛んでいけるよ」


 俺もアイリス嬢の可愛らしい笑顔に影響されてニコニコして言った。


「少しお待ちを」


 リビエラ嬢が慌てて俺の言葉をもう一度遮った。


「どうしたの?」


「いえ。光公子様は今度は何をなさろうとしているのです?

 突然、思いついたように動かれる前に意図を説明して頂けると胃の調子がとても良くなると思うのです?」


「え? リビエラ嬢、胃が悪いの? ダメだよ。大切な身体なんだか大事にしないと」


「いえ。どのお口が申されるのかなととても不思議です。光公子様がじっとしていたらしたらとても調子が良くなると思います」


「うーーーーーーん。できるかな?」


「「「「「「「「無理でしょ」」」」」」」」」


 嫁候補と従者だけでなく天津神様まで揃って突っ込んできた。なんでだよ。


「頑張っても無理かな?」


「「「「「「「「「はい。無理です」」」」」」」」


 めちゃくちゃ力入れて皆で決めつけてくるし、、、


 皆は俺のことをどう思っているのだろう。


(あんたの胸に手を当てて考えてみろ)


 考えても分からないな。じゃあここにいても仕方がない。


「じあ、行こうか」


「言ってる尻から、もう行くんですか?」


「だってじっとしてらんないじゃん」


「なんで月に行くのをそんなピクニックに行くみたいに仰るのです?

 それになんのために行くか教えて頂いてませんよ」


 リビエラ嬢が叫んだ。なぜか皆がしきりに首を縦に振っている。皆んな首でも痛いの?


「いやぁ、無理して来なくても良いんだよ。気楽に旅行気分で楽しく行こうよ」


 俺は皆が楽しくなるように盛り上げるようとして言った。何事も楽しいのが一番だ。


 クヨクヨ考えていたらそれこそ胃が痛くなる。


「モーフ。ルナ様を助けような」


 俺は肩に乗るモーフに小さく呟いた。


 モーフは無言だったが小さく震えて頭を下げていた。


「ええっと。国津神の皆さん聞いてください。僕たちの庭先の月には異界の神々が居座っています。

 あの月は異界のジャストフットのものでしょうか? 我々と仲間の月の住人達の物ですか?

 そうです。あれは我々と月の住人達の物です。月を取り戻しましょう。

 賛成の方は協力するためにあれに乗ってください。反対の方はここに残ってください」


「おお! 我々は光公子様に従ってセレスに乗り込ませてもらおう」


 最初に答えたのはインダスの主神シヴァ様だった。横でラクシュミー様とサラスバティー様がシヴァ様を急かせていたのは見えなかった事にしよう。


「ありがとう。シヴァ様とインダスの神々よ。あなた達は今日から僕の盟友です」


「我々、青龍白虎朱雀玄武の四神と眷属も光公子様の傘下に入らせてもらいます」


 傘下? なんか変なことを言っているが今は良いや。


「ありがとう。じゃあ四神と眷属の皆さんも今日から友達だね」


「我らは弱き者ですが、娘と一緒させて貰っても良いですか?」


 妖精王が遠慮がちに聞きてきた。


「もちろんです。セレスは見ての通りとても巨大です。セレスの内部は何千もの層が存在します。

 一つ一つの層はおよそ大国がすっぽり入るほどの広さを有します。それが何千もの層に分かれているのです。合わせれば我々の世界よりも広いのですよ。

 皆さんはあの中に何が詰まっていると思いますか?

 答えは簡単です。セレスに乗る方々には夢と友情を捧げましょう。いざ、ルナへ!」


 俺は最後に大声で叫んだ。


 これは国津神を誘い込む為のパフォーマンスだ。


 俺の頭の中にはこれから月、そして金星、水星、火星、木星、土星、天王星、海王星、最後に冥王星を回って同胞の神々を集めた後、ジャストフットを討伐に行くつもりだ。


 見てろよ。俺たちの世界に唾したやつを絶対に後悔させてやる。モーフの妹をいじめたやつは絶対に許さない。


 俺の叫び声はプロパガンダに過ぎかないのは賢い神々にはばればれだろうが、それでも景気良く出発すれば参加者は一人でも増えてくれるだろう。


(予想に反して須弥山しゅみせんの麓にきていた全ての国津神はめちゃくちゃ楽しそうに参加することになった。彼らはレリトニールの考えるよりもずっと単純で祭り好きだ。国津神を引き込んでルナを救いに行こうとする公子の方がよほど策略家と言えよう)


「おーい。須弥山はどうするんです?」


 天帝と天兵達の他7神達までセレスに乗り込んで行ったために残された下級神の毘舍遮(ピーシャーチャ)の一人が叫んでいたが誰も振り返りもしなかった。


 それはお祭りの前夜祭のような賑わいだった。


 天津神、国津神、その他の者全てがセレスに搭乗すると、セレスは凄い加速を披露しつつ月に向けて飛んで行った。


 月まではおよそ三十万キロメートル。超科学の結晶のセレスにとってそれはほんの近所みたいな距離だった。


 果たして鬼が出るか蛇が出るか?

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