027 疑惑
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《レリトニール公子視線》
「なるほど。背中を誰かに」
俺は少女の話を聞きながら、これには何か裏があると感じていた。
「それで、ミーチャちゃんはここには一人で来たの?」
俺はできるだけ優しい感じの笑顔を心がけながら尋ねた。
「うん。一人だよ」
「偉いね。一人で来れるなんて。ミーチャちゃんのお父さんとお母さんは?」
「うん。お母さんもお父さんもいないよ。でもねもう直ぐお母さんが迎えにきてくれるって。だから今日もお母さんが来ないか見に来たの」
どう言う意味だろうか。両親とも不在なのか。母親を迎えに来た? にしては表現がおかしいな。
「お母さんはどこかで働いているの?」
「ううん。お母さんは、お空の上に行っちゃったんだよ」
! なんとそう言う意味か。しかし死んだ母親が迎えにくる。そんなことを吹き込んだ奴は誰だよ。
「そうか。お空の上のお母さんが来るのを探してたんだね。お母さんが来るってミーチャちゃんは誰から聞いたの?」
「うん。怖いおじさん達が大人の人には内緒だよって。でもお兄ちゃんは、まだ大人じゃ無いから言っても大丈夫でしょ」
「そうだね。お兄ちゃんは、まだ子供と大人の真ん中だからね。大人への秘密でも話しても大丈夫だよ」
「うん。分かった。怖いおじさん達は、顔は怖いけど親切なんだって。でも、リュキちゃんを虐めるからワタシ嫌い。リュキちゃんとっても可愛いんだよ。リュキちゃん。どうしてだか怖いおじさん達が来るといっぱい吠えるんだよ。おかしいね」
俺は、その話を聞いてこの子が俺の馬車に飛び込まされたのだと確信した。
「ミーチャちゃん。お父さんは?」
「ううん。お父さん知らない」
なんと、みなしごのようだ。しかし、身なりはそれなりなんだよな。
「そうか。ミーチャちゃんの服はとっても可愛いんだけど誰に着せて貰ったの?」
「メーラさん。お母さんのお友達なの。いつも怒ってるんだよ。でも優しんだよ。お母さんみたいなの」
それを聞いて初めてホッとする。この子の母親のお友達がこの子を養うだけでなく、愛情と必要な躾をしてくれているようだ。
「そっか。いつも怒ってるのに優しいんだ。ミーチャちゃん。お兄ちゃんがミーチャちゃんをメーラさんのところまで送っていっても良いかな?」
「うん。お兄ちゃんは、カッコいいからミーチャ。お兄ちゃんのお嫁さんになってあげてもいいんだよ」
何なのこの可愛い生き物。
「え? それは嬉しいな。でもお兄ちゃんのお父さんは、とても優しいんだけど怖いんだよ。そのお父さんがお嫁さんを決める時は相談しなさいって、とっても怖い顔で命令するんだよ。だから勝手に決められないんだ。ミーチャちゃんはお兄ちゃんのお嫁さんになるんだったら、お父さんに会ってくれる?」
あんまり可愛いので光源氏計画でこのまま連れて行っちゃおうか。
「うーん。会うのなしでお嫁さんはなれないかなぁ?」
やはりか。仕方がない。うちのパパ様は本当に怖いからね。
「ごめんね。お父さんは、とても優しいけど怖いんだ。無理かな」
ごめん。ミーチャちゃん。お兄ちゃんは、断腸の思いでミーチャちゃんとの婚約を諦めます。
「うん。分かった。じゃあ、お友達になってあげる」
お、お。そうくるか。なんて可愛い生き物なの。嬉しい。
「嬉しいな。じゃもうお友達だね」
俺はそう言いながら、ミーチャちゃんを抱き上げた。
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