279 良い話を聞くとなぜか風景が滲むんだよね 泣いてなんかいないんだからね
忙しくて、お昼に掲載することができず、申し訳ありませんでした。
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《レリトニール公子視点》
俺は挨拶してさっさと妖精王達の前まで飛んで行った。
「こんにちは。僕はレリトニール・テンシラーオン・リールセラートです。皆は僕の事を光公子と呼びます。よろしくお願いします」
妖精さんの王様とお妃様に挨拶した。
「あなた様が救世主でらっしゃいますか?」
妖精王オベロンが驚いて言った。
「え? 救世主なんかじゃないよ。大禍津日神様もそんな事を言ってたけど。なんな変な噂とか回ってないよね。誰だよそんなでまかせ言うのは」
俺がそう言うとなぜか妖精王は視線を避けた。
なんか皆が視線を避けるのはなぜ? 俺の話し方が悪い? あゝ、そんなことよりもメーラシアを妖精王に引き合わせないと。
「妖精王様、こちらがメーラシア嬢だよ。彼女は妖精王女なんだよ」
俺は一刻も早くメーラシア嬢を妖精王と妖精女王に引き合わせたかったので救世主云々は無視して俺の後ろに居たメーラシア嬢を妖精王の前に出るように促した。
メーラシア嬢の目にはすでに涙が溢れんばかりになっていた。決意をしたように俺に頷くとこわごわと言った頼りない感じでゆっくりと妖精王の前に近付いて行く。
俺は優しくメーラシアの背中を押して妖精王の近くにメーラシアを誘った。
「こんにちは。初めまして妖精王陛下、妖精妃殿下。メーラシア・ディーガと申します」
メーラシア嬢が礼儀正しくお辞儀をした。
妖精王が何か答えようとメーラシアに近付いたとき横から妖精女王ティターニアがススとメーラシアに近付き彼女の手を取った。
妖精女王の顔はもう涙で濡れていた。
「我が子の名前すら知らなかった。わたくしたちは伝承を伝える今日の為だけに暮らしてきたの。ごめんなさい。許して欲しい」
妖精王もメーラシアの手を取った。
「今を思えば其方の生まれた事を感じた時に使命も国も同胞も置いてソナタを探すために行動すべきだった。余も妃もソナタから拒否されたらどうしようと怖気付いていたのだと思う」
妖精王の目にも涙が光っていた。
「お父様。お母様なのですね」
メーラシア嬢は二人に抱きついて言った。
「あゝ、貴方はわたくし達をそう呼んでくれるのですね」
「お父様。お母様。謝らないといけないのはわたくしの方です。わたくしは生まれた時からお二人を感じていましたが、お二人が魂のお父様、お母様とはわかりませんでした。何しろこの感覚はうまれた時からずっと有ったので。
お二人の事を本当に感じたのはつい先程です。お二人が死を覚悟されたことが感じられた瞬間にお二人がわたくしにとって特別な存在だと分かったのです。
お二人の危機を感じて居ても立っても居られず光公子様にお願いしてやってきました。
お二人がご無事でよかった」
嬉しそうにメーラシアが言った。
「ではではあなたを放っていた勝手なわたくし達が貴方を娘と呼んでもいいのでしょうか?」
妖精女王ティターニアが震える声で尋ねた。未だ拒否される事を危惧しているのだ。
「わたくしのお父様お母様が四人もいてこんなに幸せない事はありません。世間の人達の倍幸せです。
育ててくださったお父様お母様は、もう亡くなりましたが、お二人がご無事でお会いできて本当に嬉しいですわ」
メーラシアが言った。なんていい子なの。
ふむふむ。なぜか風景が滲んで来たと。
(妖精は悪戯好きで取り替えっ子をします。メーラシアは取り替えられてしまったのです。ちなみに取り替えられた人間の方の子供は、妖精になって幸せに暮らしています)
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