276 妖精王女の想い
本日2話目です。
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《天の視点》
いきなり天界が鳴動したため、十神とモーフは話し合いを止めることにした。
「この鳴動は光公子様の仕業なのじゃし」
モーフが説明した。
「光公子様が?」
「そうじゃし。この天界を生き返らせたらしい」
「魔法『てくのろじー』ですか?」
剣神ユーリプスが目をキラキラさせて尋ねた。剣神はどこか子供ぽさがある。
「そのなのじゃし。さすが光公子様じゃし。我の想像を遥かに超えたことをなされるのじゃし」
その時だった。須弥山の天帝から連絡が入ったとの知らせが入った。
もちろん大急ぎで通信用の神器が部屋に運び込まれた。
神器には既に天帝が映っていた。天帝は十神全員が集まっているのを見て少し驚いていた。
「どうしたのじゃ」
主神ゼリューシュが神器に映る天帝に尋ねた。
「緊急事態です。世界中から国津神が参っております。須弥山の周りでは神々が相手構わず争い合って大変なことになっています」
天帝が報告した。
「どうしたものか。同じ世界の神々で争っている時ではあるまいに」
ゼリューシュがポツリと呟いた。
「とにかく、光公子様と合流して今後のことを話し合おう。ルナのことはしばらく諦めるしかないのじゃし。十神の皆はルナのことを色々話してくれてありがたかったのじゃし」
モーフが皆に礼を言った。
「いえ。ガイア様の妹君を助けられず放置していたことこそ本当に申し訳なく思っております」
「うむ。じゃあ、光公子様のところに転移するのじゃし」
そう言うとモーフは十神と共にレリトニール達がいる艦橋まで転移したのだった。
☆
《メーラシア女王視点》
光公子様が凄すぎる。天界を支配下に置かれたらしい。
光公子様がモーフ様と十神様達を呼んだため、皆さんが転移してこられた。
「レリトニールちゃん。こんどは何をしたの?」
アルテミス様が光公子様に飛びつこうとされたのでアイリス様とリリーアージュ様が間に入って阻止していらっしゃる。
アルテミス様は流石に天津神様の十神様だ。とても力が強い。我が嫁部隊の最強のアイリス様とリリーアージュ様のお二人でなければとてもお止めできないのだ。なんてお力たろう。
十神のうちの男神様達は全く役立たずでした。アルテミス様の身体に触ったら後でどんな酷い目にあわされるか分からないと仰って見ているだけ。
そしてこんな時の光公子様は、全く無抵抗なのでご自身のお力で避けることは望めない。だからこそわたくし達も気が気でないのだ。
だと言うのに光公子様はいつもと変わらない。
「いやぁ。天界がなんか勝手に動き出しちゃってさ」
光公子様が言い訳のように、皆さんに言っているがリビエラ様の制止を無視して動かしてしまわれたのは光公子様ですし。
都合が悪いとあんな風に誤魔化すのが光公子様のいつものあるあるです。
わたくし達嫁部隊と従者の皆さんはそんな光公子様の言葉を生暖かい目をしていつものように聞き流した。薬神シェーハ様達も同じ目をして聞き流されていた。皆さん適応がお早いですわ。
その時、わたくしの脳裏に浮かんだのは知らない方からの緊急の救援のメッセージだった。妖精王オベロン様? 妖精女王ティターニア様?
怖い神様が妖精の皆様に迫ってらっしゃる。こ、怖い! 鮮烈なイメージが頭の中に流れた。
「光公子様。緊急のメッセージがあります」
わたくしは皆さんの話を遮って光公子様に向けて叫んだ。
わたくしの剣幕に驚いたのか、何が話そうとされているのを止めて光公子様がわたくしに優しく聞いてくださった。
「どうしたのメーラシア女王陛下?」
ああ、その陛下とかやめてくださいまし。あゝそれはまた後でお願いするとして。
「はい。妖精王オベロン様と妖精女王ティターニア様と妖精達が窮地に陥りそうなのです。助けてくださいまし」
わたくしは前後の見境もなく助けを求めるために叫んでいた。
「え? 妖精王と妖精女王? そういえばメーラシア女王陛下って妖精王女だっけ?」
「はい。恐らくその称号のせいでしょうか。わたくしにはお二人と妖精達の窮地が感じられるのです」
「それでお二人と妖精達はどこにおられるの? 大切なメーラシア女王陛下のためならすぐに駆けつけて助けよう」
「はい。イメージでは須弥山の七号目辺りにおられるようです」
「よし。ではセレス。須弥山まで出発進行!」
威勢良く光公子様がお命じになられたけど転移で行ってくださったほうが早いような、、、
何よりもこんな巨大な天界で本当に行くんですか?
わたくしの懸念など気にもせず物事が進んで行きます。
《はいマスター。最大戦速にて須弥山に向かいます》
セレス様の思念が、、、
なんか天界全体に凄い音やら振動やらが響き始め、その音や振動は次第に相当に大きくなった。なんだか怖いんだけど?
見るとセレス様が映っていたスクリーンとやらの画像が変わり、下界が映し出された。その下界の風景は明らかにどんどん近い来たいるのが分かった。
何が起こってるの? 本当に大丈夫なの?
目が回りそうですわ、、、、
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