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275 天界の降臨

本日1話目です。

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《天の視点》


「ゼウス様。須弥山しゅみせんが見えてきました。早くも戦いが始まっているようです」


 世界を圧するかのような巨大な山が聳え、その上に巨大な天界が夕日によってキラキラと輝いているのが見えていた。


 あの天界に住する。それが国津神全ての願いだ。


 あそこに登り遥かな地上界を眺める毎日。それはさぞ気分が良いだろう。


 オリュンポスの主神ゼウスはそんなことを思いながら視線を須弥山の頂上付近の空で戦う神々に向けた。


 無数の閃光があちらこちらで光っては消えていた。


 ゼウスは神の力を使い、戦っている神々を良く観察した。そして神々の中に意外な神のいることに気付いた。


「なんと、あれはオーディンか? なぜ北の端の神々が余らよりも早くに来て戦っているのだ? あの巨大なのは女媧じょか伏羲ふっきのようだ。遅れたぞ。須弥山は我らオリュンポスの神々が取る」


「待て!」


「ん? お前はブラフマンか? なぜインダスの神が?」


「お前たちは知らぬのだろうが、既にガイア様は地位を光公子様に譲られた。新たな大神御神(おおみわみかみ)様はお現れくださったのだ。

 新たな時代は始まっている。今頃のこのこやって来て美味しいところを持って行こうとしても無駄だ」


「何? 大神御神(おおみわみかみ)が現れただと? ガイア様が滅されたのか? ならばなぜ国津神はそのまま生きておるのか?」


「知るか。ごちゃごちゃ吐かすな。お前たちは帰れ」


「ヘラ、アポロン、ヘルメス。、アフロディーテ、ポセイドン行くぞ」


 ゼウスは神器雷霆ケラウノスを掲げると雷属性の攻撃魔法をブラフマンに投げつけた。


 ブラフマンの横からヴィシュヌ神が現れて魔法障壁でゼウスの作った魔法攻撃をはじき返した。


 その時、背後から別の神であるヘリオポリスの主神アトゥムが飛翔してきてゼウスを後方から蹴りあげた。


「なぜ余の背中を?」


「ゼウスか。お前、有名過ぎんだよ。むかつくんだよ」


「あ、おめっ! どこの神だっけ? エジプトだったっけ? あ、ヘリオポリスだったっけ?」


 茶化すようにゼウスは答えた。


「オメェ達もローマとギリシャでごちゃごちゃだろ。ジュピターちゃん」


「あ、余はゼウスだし、ジュピターは別の神だから」


「おお、ゼウスやってんじゃん。俺も入れてよ」


「ほらこいつがジュピターね」


 どんどん各地の主神クラスの神々が集まり須弥山の四周は大混乱に陥っていた。


 もし、これらの神々が組織だって須弥山を攻撃していたとしたら四神もシヴァもとても須弥山を守りきるのことは無理であったろう。


 しかし神々はそもそも自分が世界の主神だと主張して出会うと喧嘩ばかりしている。


 全く話し合う気などないのだ。


 遠い昔ジャストフットとの戦いの時にもガイアの呼び掛けにも応じなかった勝手な神々が彼らなのだ。





「ティターニアよ。やはり思っていた通りだった。これはガイア様の先代様から与えられた予知夢と全く同じ終末の光景だ。やはり伝承を伝える時は今日であったようだ。

 では大魔法を披露する時じゃ」


「はい。オベロン様。伝承魔法を使います。皆、命を賭けてわらわに皆の魔力を供給するのです」


「「「「「「「「はい」」」」」」」」」


 大勢の上級妖精がオベロンとティターニアの周りに集合した。


 今、ここに伝承を伝える時が来たのだ。


 天空に、オベロンの映像が映し出された。


「我は妖精王オベロンである。八百万(やおろず)の神々よ。戦いを止めくだされ」


 オベロンの声が世界に響き渡った。


 なんだ? みたいな感じで神々が戦いを止めて空を見上げた。


「私は遥かないにしえより、本日神々に伝承を伝える役割を与えられ、そのために存在してきた妖精王オベロンと申します。か弱い無価値な存在ですが、ここで皆様にお伝えせねばなりませぬ」


 そこまで言うとオベロンは深々と頭を下げた。


「伝承をお伝えします。

 我の遣わせし光の君は天磐船(セレス)にて降臨し世界を救うであろう。国津神、天津神、月の神、火の星の神、水の星の神、金の星の神、木の星の神、土の星の神、天の星の神、海の星の神、冥界の神たちよ力を合わせ戦え。

 これが託された伝承です」


 須弥山で大暴れしていた神々は、妖精王の伝承を最後まで聞いてはいたが何を戯言ざれごとをと従う気は持たなかった。


 無視してまた戦い始めた。いやこれまでよりも激しく戦い始めた。


 妖精王達の最も近くにいたのは、大禍津日神(おおまがつひのかみ)八十禍津日神(やそまがつひのかみ)などの東方の禍津神まがつかみ達だった。


 彼らは一瞬、どうするか迷っていたがスルスルと妖精達の群れに近付いて来た。


 妖精王は最後の時がきたと覚悟していた。位の高い神々の行動を邪魔したのだ。ただで済むとは思っていなかった。


「ティターニア。我らの娘が同じ空の下で別の生命に宿り生きていることを今ほど感謝したことはないな。ただ不思議なのだ。私たちの娘がなぜか天界にいるように感じられるのだ」


「オベロン様。わたくしも同じことを思っておりました。不思議なこと、え? 娘の気配が恐ろしい勢いで近付いてくるような、、、」


「オベロン様、ティターニア様。天界が燃えております」


 別の妖精が天空を指差した。


 天界が真っ赤に燃えているようだ。


「落ちて来ている?」


 オベロンが呟くように言った。


「いえ。オベロン様。光の君が降臨されるのでは? 救世主が降臨されるのです」


 ティターニア女王が胸に両手を添えて宣言するかのように言った。


 大禍津日神(おおまがつひのかみ)達は、目の前の妖精達が空を指差している様子を見て、大空を見上げた。


 そこには明らかに夕日の赤に染まったと言うには明る過ぎる天界があった。


 いや、明らかに天界は移動している。どんどん大きさを増しているではないか。

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