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269 ルナとセレス

本日1話目です。本日中に少なくとも後1話は掲載予定です。

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《レリトニール公子視点》


「あ、あれは何?」


 俺は皆に指差して示した。


 消えた天兵軍の先の方から一人の神がフラフラと飛んでくるようだ。


「じゃあ。僕はそろそろ行こうかな。あ」


 リビエラ嬢に首根っこを掴まれた。


(逃げ遅れました)


「あははは」


 ここは笑って誤魔化す。


「あれは天帝ですね」


 アスラ様が説明してくれた。すぐに天帝は俺たちの方に飛んで来た。


「そこの偉大なる神よ」


 ん? 誰の事を呼んでるのか?


 俺は背後を振り向いた。


「偉大なる神よ。どうか話させてください」


 足元で声が聞こえた。


「うわ!」


 前を向いて驚いた。天帝が俺の前で頭を下げてかしずいていたからだ。アイリス嬢の剣気とか俺の従者達があんまり立派なのでこの神様は勘違いしているのだろう。


「何してるの?」


 俺はリビエラ嬢に尋ねた。


「光公子様とお話しさせて欲しいと願ってらっしゃるのです。あんな派手に暴れておいて今更何を言ってらっしらるのです?」


 リビエラ嬢が呆れたように答えた。


「いやいや。僕と話したかったら普通に立って話してよ」


 何で天帝なんて偉い神様がそんな事をしてんのか理解できない。なんか怖い。


 俺の話を聞いていたのだろう。天帝はスッと立ち上がると(と言っても皆空中の上に浮いているのだが)恭しく何度もお辞儀して見せた。


 やっぱりこの人、勘違いしているよ。


(勘違いしているのはお前だよ)


「偉大なる神レリトニール光公子様。私は帝釈天の主人で天帝と申します」


「あ。はい。よろしくお願いします」


「こちらこそ。光公子様のことはアルテミス様より承っております。粗雑に扱うことの無いようにと。天兵達が失礼を働いたようでどうかお許しください」


 あれれ。もう少し我慢したら上手く行ってたんだと、後悔するが後の祭りだ。


「なんかごめん。天兵達を投げ飛ばしちゃったみたいで」


「あれは天兵達の方がどう見ても悪いと言わざるを得ません。白旗を掲げているのに攻撃したのですから、反撃されても仕方がないでしょう。

 アルテミス様も我々から攻撃しなければレリトニール光公子様から攻撃する事は無いと仰っていましたのにこちらから攻撃するとは。

 もし、よろしければ天兵達がどうなったのか教えて頂いても?」


 分からないと答えたら怒るよな。うーん。どうしたんだっけ?


 魔力で包んで投げ飛ばしたんだよな。あっちに。


「天帝様。あっちのずっと先に何があるか知ってますか?」


「うむ。あちらには天界がございますな。昼なので見えませぬが朝夕などには見える時もあります」


 天帝の話で思い出した。朝夕にだけ空に月よりも大きなものが浮いて見えるのだ。


 月と違うのは位置が常に変わらない事だ。


「ああ。セレスですか?」


「そうです。余り公にされていませんがセレスは天界なのです。遥か太古に古代人が作ったと言われています。

 今は天津神達が降臨されて住まわれています」


 それで俺は一つの疑問を解消することができた。


 この世界の空には月が二つあったのだ。ルナとセレスだ。


 地球なら月は一つだが。ガイアの説明では前世から今では時がかなり進んでいるとのことだったから月が二つになってもおかしくは無いのだが、何よりもセレスが空の同じ場所にあり動かないことだ。なるほどこの地域からならセレスはあっちの方に見えるんだね。


 朝夕見えるセレスは球体ではない。


 どう見ても人工物にしか見えない外観だった。俺は神々が魔法で作った物だと勝手に思い込んでいた。


 セレスを作ったと言う古代人とは前世の俺達の事だろう。セレスは科学の進歩した地球において人類が作り上げたものだとしたら天帝の話と辻褄があう。


 ちなみについでにもう一つ疑問がある。月はこの世界でルナと呼ばれている。ルナはラテン語で月を表しているはずだ。その偶然の一致に感動したこともある。


 ここが地球なら月をルナと呼んでもおかしくはないし偶然の一致でもない。神々の名前までもが一緒だったのは全て当たり前だ。


 しかし月の表情は俺の知っている物とは全く異なっていた、あのうさぎがきねをついている姿ではないのだ。


 これにも考えられる答えがある。古代人が月をテラホーミングして現在見える風景にしたのか、または空気の無い月は常に隕石の脅威に晒されており表面のクレーターに変化があったのかもしれないと言う二つの仮説だ。


 恐らく答えは前者だ。なぜなら月は前世のように白色(黄色と言う人もいるかもだが)では無いからだ。


 青いのだ。あれはどう見てもテラホーミングされているように感じる。月は地球のように海と陸地が見える天体になっていたのだ。


 転移して行ってみたいと常々思っていたが空気がなかったら? 毒があったら? 転移であそこまで飛べる保証がない。 月の公転周期の速度をどう相殺する? などなどの理由により転移を断念していたのだ。


 話が随分それてしまった。


 さて、天兵達のことだ。確かにあっちに飛ばしてしまった。


「ちなみに天界には空気あるよね?」


 俺は天帝に尋ねていた。


「もちろんです。ちょうど反対側からこちらを見上げるようにしてこちらの世界が見えています」


「あそこにはどうやって行くのです?」


「強い神なら転移でいけるはずです。天津神様なら可能ですが」


「光公子様なら簡単に転移できるよ」


 肩の上のモーフが耳元で囁いて教えてくれた。


「実は天兵達は天界に向けて投げ飛ばしちゃったんだよね。ちょっと行って天兵達がどうなったのか見てくるよ」


「ああ、光公子様。一人で転移しないでくださいよ。皆も連れて行ってください」


「あ、そうだね。それに天帝様。ここの守りは大丈夫ですか?」


「まだ守りの天兵は残っています。しかし大禍津日神(おおまがつひのかみ)や三皇などの強力な神が攻撃してきたら危ういかもしれません」


「ならアスラ様。シヴァ様。四神の皆さん。ここの守りをの願いします。四神の皆さんは大禍津日神(おおまがつひのかみ)様や三皇様が来られたら攻撃をやめるように説得してくださいよ」


「光公子様のご命令とあれば。承知しました」


 とシヴァが答えた。


「我らに任せよ」


 四神の一人白虎が答えた。


「あゝ。天帝様。アスラ様が娘さんのシャチーさんの事をとても心配してんだけど天帝様のお嫁さんにして大事にしてあげてるだよね」


 一番大事な事を思い出した。アスラ様の問題をちゃんと解決しないと。


「はい。そうです。アスラ様にはその事を伝えたかったのですがずっと戦いになっていましたから」


 天帝が悲痛な表情になって言った。


「光公子様から聞いていた。シャチーと話させてくれるか?」


 アスラ様が天帝に頭を下げて頼んでいた。頑固爺が折れた瞬間みたいだ。


 感動。


 めでたし。めでたし。


 と、言う事で、後のことはアスラ様達に任せて俺達は天界に向けて転移する事にした。


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