263 空へ
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《リビエラ嬢視点》
どうして、光公子様はこうも厄介事を呼び込むのだろう。
あゝ、四神なんて伝説上の神獣じゃ無いの。
それがあのモーフと同じような可愛らしいペットのよう。あれじゃ、亀、小鳥、トカゲ、子猫じゃないの。
しかも南方の超大国であるインダスの神々を傅かせてしまった。
ラクシュミー様も、サラスバティー様ももう光公子様の虜じゃない。もちろんわたくしたちもだけど。
光公子様は、どんどん強くなられる。もう異常なくらいだ。しかし強くなったのは光公子様だけでは無い。わたくしたちも同様に恐ろしく強くなった。
こんなに短期間にこれほど強くなれたのは恐らくガイア様がモーフと合体した時に、わたくしたちを光公子様の眷属にしたからだとわたくしは思っている。
昨日までの修行の効果も凄かったが、恐らくそれにも増して光公子様の眷属になった事の方が大きな意味があったように感じているがどうだろう?
ところで、四神達と言い、インダスの神々と言い。どうしたものだろう。
「アスラ様。神様の事はよく分からないからさ。アスラ様が面倒見てあげてよ」
また光公子様から爆弾発言が飛び出した。
インダスの神々と四神達は光公子様の傘下に入りたいと申し出たのだ。
しかし光公子様は、仲を取り持ったアスラ様に丸投げてしまったのだ。
「光公子様。インダスの神々が光公子様の傘下に入りたいと仰っているのですよ」
わたくしが必死になって止めようとしたが光公子様の興味はもう別のところにあるようだった。
「アスラ様。僕はアルテミス様との約束があるからさ、7神のところに行かないと行けないんだよ。後は頼んだよ。
じゃあ皆んな行くよ」
光公子様はそれだけ言うとさっさと南西の方に向かって飛翔して行ってしまった。
どうしてこうも衝動的に行動してしまうのだろう。
確かにここに来るのがイレギュラーで当初は7神の所に行くことになっていた。それはそうだが、なんか違うような気がする。
でも、恐らく光公子様の行動は全てを理解した上で我々などには想像もできない思慮の元に下されているに違いないとわたくしは確信している。
「あ、待ってください。光公子様。私は娘との事があるので天帝のところに行くなら私も連れて行ってください」
慌ててアスラ様が光公子様の後を追うように飛び立った。
「あゝ。光公子様! お待ちください!」
更に叫びながら後を追ったのはインダスの女神ラクシュミー様とサラスバティー様だった。
「おい。アスラ、ラクシュミー、サラスバティー。余を置いて行くな」
シヴァ神も後を追って飛び立った。するとインダスの神々だけでなく四神達も後を追って行くようだ。
「皆さん。光公子様が逃げましたよ。このままではわたくしたちは置いて行かれますよ。
転移します。わたくしに捕まって」
「「「「「「はい」」」」」」」
皆さんが同時に答えるとわたくしが差し出した手に手を重ねて行った。
転移!
わたくしは光公子様の存在を感じ取るとその横に転移した。
「遅いよ。アルテミス様のお願いをかねえる為に須弥山に行くよ」
「光公子様。どうして逃げるんです?」
「え? あんなにたくさんの不満を抱えた神様のお守りなんてやってらんないでしょ?」
光公子様があっけらかんと答えられた。
そう言われればそんな気もする。
「でもせっかくあれほどの神々が傘下に付くと言ってくれているのに。
ガイア様のお話では神々を糾合して外の神々と戦うのではないのですか?」
わたくしは光公子様に最も大事な事を言った。
「そんなの、敵が現れたら皆んな放っておいても協力するでしょ。
自分たちの境遇が気に入らないとか愚痴みたいことを言っている神々なんて放っておこうよ。そんなの本人たちの好きにさせておいたらいいのさ」
光公子様はやはりいつもの通り変わらない様子だ。本当に何を考えられてのことか。まさか何も考えて無いとか、逃げているのかじゃないと思うけど。
(正解です)
「しかし、アスラ様も必死で付いて来られますよ」
振り向くと必死の形相のアスラ様が飛んで来られている。
その後ろからインダスの神々、四神達が続いている。
「アスラ様は、光公子様が仰るような浮かれた思いで戦われていたのでは無いのでは?」
アスラ様が娘さんを助ける為に戦い続けていたと光公子様から聞き、あんなに必死になって追ってきているのではと思い尋ねた。
「あ、そうだね。忘れてたよ。娘さんのことも天帝様に聞かないとね」
光公子様はそう言ったが待つつもりは無いようだ。
暫くしてアスラ様が追いつかれた。シヴァ神、ラクシュミー様、サラスバティー様も一緒だった。
「酷いですよ。置いて行かないでくださいよ」
「あははは」
光公子様はただ笑われていた。
本日は2話投稿予定です。次話はお昼過ぎに投稿予定です。
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