025ー2 やってしまった、、、
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《従者アイリスの視点》
わたくしは、公子様が「止まれ!」と叫ばれた直後に、馬車の前に何者かが飛び出しできたのを察知した。
レリトニール公子様は、急停止する馬車の中でもバランスを崩すことなくドアを蹴破る動作に入られていた。
わたくしは、あいにく左右をララミューゼ様とサスティナ様に塞がれていたので、公子様のようにドアを蹴破ることはできなかった。
かと言って急ブレーキ中の混乱する皆様を押しのける訳にも行かず初動が遅れてしまった。
一瞬、皆様のことが安否が気になったがこの馬車に乗っている従者の皆様は、レリトニール公子様の嫁候補となることができるほどの逸材達ぞろいである。
突然の公子様の行動に驚いてはいるが皆様ご自分の身は守れる方々なので申し訳ないがわたくしも公子様の後を追うことした。
狭い馬車の中では剣を振るうには無理がある。そこで迷わずナイフを引き抜くと、スキル『居合切り』を発動した。切るのは天井である。
気合を込めてナイフを一閃させ天井を切り開き、すかさずわたくしは、外に飛び出した。
わたくしが飛び出したのはレリトニール公子様がドアを蹴破った直後だ。それほどタイムラグは無かったはずだ。
しかし、レリトニール公子様は、既に馬車を引く六頭立ての馬達の一番前まで移動されていた
見ると最前列の馬の下に自ら身を入れられ、右腕で女の子をかばいつつ驚いて暴れだした馬を取り押さえつつ、腕の女の子にもお声を掛けておられる様子だった。
普通なら馬に足蹴にされて公子様も女の子も大怪我をしているだろう。
わたくしは、あんまりな状況に絶句した。
飛び出してきたのは公子様が抱える女の子だったのだろう。まさかの早技で救ったのだ。
我が身を挺して女の子を守る公子様を見ていて気が遠くなりそうになった。
剣王と呼ばれている自分の何とも情け無い様か。
痛恨の極み!
わたくしが公子様の直ぐそばまでやってきた時には、公子様はなんでも無かったかのように、振り返られた。
わたくしの顔を見て何かに驚いた顔をされていたが、わたくしは構わず、自分の不明を詫びてお手打ちにして欲しいと叫んでいた。
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