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252 シヴァ神の見たものは?

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《天の視点》


 インドラ地方を統べる大御神であるシヴァ神は、気配を察知したため、窓の外から眺めてみると、遥かな彼方から飛翔してくるラクシュミーたちを見て眉を顰めた。自身の命令を無視した行動に苛立ちが膨れ上がった。


 しかし、思い直して目に入った者達を思念で掴むと自身の前に転移させた。


「気まぐれなラクシュミー。君は今回の任務をなんと捉えていたのかな? して、サラスバティーまで一緒でいながら目的も果たさずにさっさと帰って来たのか?」


 シヴァ神の口からは怒りにより溶岩のような熱が漏れ出ていた。


 その怒りの表情を見たラクシュミーは顔を顰めて叫んだ。


「黙りなさいな。そんなに大事なら大禍津日神(おおまがつひのかみ)様たちみたいにさっさと自分で四神の元に参加すれば良かったのですわ。格好を付けて威張って座っていないで。

 わたくしとサラスバティーに丸投げしておいてどの口が仰るのですか?」


 いつにも増してご機嫌斜めのラクシュミーの怒鳴り声にさすがのシヴァ神もたじろいでサラスバティーの方を見た。


 サラスバティーは、肩をすくめて見せて。


「ガイア様がモーフ様と名を改めて、想像を絶する力を持った神に既に取り込まれておりました。ラクシュミー様がその神の怒りを買って消されかけたのですよ」


「まてまてまて。何を言っておるのか全く理解ができんぞ。ガイア様は幼体となられたのであろう?

 既に保護者が現れており、保護下にあるのだな。思ったよりも早かったな。

 してその神、ラクシュミーを消すほどなのか?」


「それは想像を超えた力を持たれた神です。ガイア様はその光公子様と呼ばれている神にモーフ様と名付けられたとか。

 天津神あまつかみのゼリューシュは、さすがですわ。アルテミスの小娘を差し出して光公子様の懐柔かいじゅうを図っているようですし」


「なんと。ワシもあまりにも古い言い伝えなので正しくは知らぬがガイア様が幼生体となられたなら助けるか弑し奉って自身の力とするかのどちらかであると聞く程度だが、名付けなど可能なのか?」


「名付けの事はガイア様より聞きました故に間違い有りませぬ。恐らくガイア様は光公子様が取り込まれたのだと思われます。

 よりにもよってあのアスラがガイア様を弑し奉ろうとして失敗し、光公子様にわたくしたちをけしかけてくれたのが事の発端です。

 さすがに敵対関係となるように図ったのではなく単なる悪ふざけに過ぎなかったもののようですが。

 ですがラクシュミー様が光公子様の眷属の一人を、、、それで光公子様の怒りを買ったと言う次第です。光公子様の怒りは凄まじくわたくし達は皆、ケシ粒のように吹き飛ばされそうになりました。

 幸い光公子様の怒りは直ぐに収まりました。一時は本当に生きた心地もしませでした。

 その後は光公子様から宴に招かれて接待を受けて円満に帰途についた次第です。

 正直にいうと逃げ帰ってきたと言うのが真実ですわ」


 サラスバティーが説明した。


「名付けなどと。するとガイア様の世界では無くなり新たな世界が生まれたと言う事なのだろうか?」


「シヴァ様でも分からぬ事をわたくしたちが分かるはずもありませぬ。四神の元には古き神々も参加されたとかシヴァ様が聞きに行きなされ」


 ラクシュミーが冷たく言い放った。


「いや。ワシが動くのは、、、」


「何を今更。さっさと光公子様の前に両膝を付いて慈悲を乞いなさいな。今度も格好を付けて日和見を決め込んで更なる亜流に成り下がるおつもりなら、わたくしはあなた様を見捨てて光公子様の元に走りますよ」


 慌てて帰って来た本来の目的を捲し立てるようにラクシュミーは言った。


「シヴァ様。ラクシュミー様は本当に恐ろしい目に遭われたのですよ。せっかく無事に帰って来たわたくしたちを叱責するお言葉以外に何か仰ることがあるのでは有りませぬか?」


 涙目のサラスバティーの顔を見てシヴァ神は顔を青ざめた。


「すまぬ。そのようなことになっていたとはさすがに思わなかったのだ。ワシが悪かった」


 シヴァ神は二人の妻の方に歩み寄ると頭を下げて謝った。


「世界は変わります。新たな神が現れました」


 ラクシュミーが感情のこもらない平坦な声で呟いた。


「ですが、新たな神はお優しい方のようです。シヴァ様。わたくしたちはその方と友好関係を持つことができたと思っています。どのような世界が出来上がるのか分かりませんが我らインダスの神々は、新しい神を支持するべきであると進言致します」


 サラスバティーは逆に生き生きとした声で宣言するように言った。普段の二人とは真逆の態度なのを見たシヴァ神は、ただならぬ二人の変化に嫌でも気つかされた。


 二人は既に新しい神の信奉者になっているようだとシヴァ神は悟った。


 シヴァ神は目を大きく見開いて窓外に広がる天を仰いだ。天空はどこまでも深く青かった。



 一方、新たな信奉者を得たレリトニール公子は、従者兼嫁候補達を伴ってケーセシャリー帝国の新都に戻っていた。


 理由は簡単だ。


 修行のためだ。


 未だ自分を弱いと信じきってしまっている勘違い野郎はひたすらに修行に明け暮れていた。


 巨大地下都市の更に深くに作った大迷宮での自主トレである。


「ん? なんでアスラ様がいるの?」


「いやいや光公子様。天帝のところに行くんでしょ。わたしも連れて行ってくださいよ」


「え? なんか起こりそうで嫌だよ」


「そう言わず。隠れて付いていくさらさ」


「アスラ様ってすぐ怒るんでしょ?」


「あっ! それ光公子様が言います?」


 なんやかんや言っとります、、、


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