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025 獣人の女の子

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 俺は、サッと立ち上がると、馬車のドアを蹴破って表に飛び出していた。


 外に飛び出した瞬間、まだ地面に届く前に俺の身体を馬達の前へ移動させるため、片手の手のひらを反対方向に向けると無詠唱で爆発を起こし、その突風の威力を全身で受けた反動で身体を馬達の前まで飛ばした。


 更に何度もの微小爆発を繰り返して自分の速度と方向を微調整しつつ、まさに俺の馬車の馬が、足蹴にしようとしている少女のところまで吹っ飛んでいき、片手で少女を抱えると逆の手で馬の前足を優しく受け止めた。


 この勢いでは下手をすると馬の足が折れかねないからだ。


 一連の動作はコンマ何秒かの一瞬の出来事である。


 さすがにこれほどの速度制御を行うためには、時間魔法を使う必要があったのだが考えてみれば瞬間移動を使えば良かった。


 突然、自分が見も知らぬ男に抱き抱えられたためか、唖然と俺の顔を見ていた少女がはにかんだような笑顔になった。可愛い。


 助けられたと理解したのだろう。


 5歳程度の女の子だ。この辺では珍しい獣人の可愛らしい女の子のようだ。猫耳がなんとも可愛い。


「お嬢ちゃん。大丈夫かい?」


 俺は優しく尋ねた。


「はい。なんて綺麗な人。女神様?」


 少女は、夢現ゆめうつつのようなぼんやりとした顔で言った。よほど恐ろしかったのだろう。まだ、意識が、混沌としているのだろうか。


「ん? 女神様? 誰のこと?」


 俺の従者の誰かを見て少女がそう言ったのだろうと、後を振り返って見た。


「お!」


 目の前に恐ろしい般若の仮面、もとい! かなり怒った様子のアイリス嬢の顔があった。


「公子様。すみません。わたくしが身を挺して公子様をお守りしなければならないのに、公子様に手を煩わせてしまいました。

 不明のわたくしをどうかお手打ちにしてくださいまし」


 お手打ちって、時代劇じゃあるまいし。


「アイリス。それよりこの娘の面倒を見てやってくれ。驚きのせいか女神がどうのと、うわ言を言ってるのだ。

 この様子では、僕が助ける前にどこかを打ったのかもしれない。聖騎士のジョブを持つアイリスか賢者のリビエラが回復魔法を掛けてやって」


「は! ではわたくしよりもリビエラ様の方が適任でしょう。リビエラ様、聞いておられましたか?」


 アイリスが直ぐ後ろに立っていたリビエラに言った。


「もちろんです」


 リビエラは、そう言うとすかさず癒しの魔法の詠唱を始めた。彼女ほどの才能があれば、無詠唱でも充分に発動できるのであろうが、やり効果が高いはずの詠唱を選んだのだろう。


 まばゆい聖魔法の魔力が満ち魔法光が辺りを取り囲み、聖魔法が発動され少女を包み込んだ。


 それを見て俺は一安心した。

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