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238 我は一番偉い神様なのじゃし

誤字脱字本当にごめんなさい。

いつも誤字報告してくださる方。本当に感謝しております。

暖かい目で見て頂けると助かります。


ブックマーク。高評価。いいね。よろしくお願いします。

《レリトニール公子視点》



「大変だったんですよ!」


 開口一番、叫んだのはエーメラルダ嬢だった。


 俺が皆の側に転移で現れてみると、そこは獣王の謁見の広場だった。


 聞けば皆と別れた後、獣王国でも異変が起こったらしい。空全体が炎で覆いつくされたそうだ。


 皆から大体の話を聞き終わって、俺は大きなため息をついた。本当に皆が無事でよかったよ。


「でも君たちほどの人達が揃っていてそれでも危険だったったなんて、その九尾の大狐ってどんだけ強いの?」


 俺が顔を引き攣らせて言うと、横からモーフが俺の頭のところにやって来た。


「九尾の大狐は、国津神の中でも上位の神じゃし」


 なんだかとても誇らしそうに説明した。


「そんな強い奴に一人で戦いを挑むなんて無茶だよ」


 俺はモーフに言った。


「うむ。我にも少しばかり油断があったのじゃし。最初は小さな土地神と感じたので懲らしめようとしただけのことじゃ。

 奴は突然転移魔法で現れたのじゃな。意表をつかれる? そんな感じだったのじゃし。

 九尾の狐は、確か神階が従四位(じゅしい)

 品位は権現

 名は九尾

 あざなは大狐

 上位の神様なんじゃよ」


「神階? 品位? あざな?」


「由緒ある神に贈られた階級のことじゃ。

 1番上が正一位(しょういちい)、2番目が従一位(じゅいちい)、3番目が正二位(しょうにい)って言うのじゃし。

 九尾狐の従四位(じゅしい)は八番目の位じゃし。従六位までの12階級があるのじゃし。

 品位と言うのは神の格式じゃし。神格とも

言うの。上位から

 大御神 おおみかみ

 大神  おおかみ

 明神  みょうじん

 権現  ごんげん

 式神  しきがみ

 妖   あやかし

 の六つの品格があるのじゃし。

 ちなみにワシはこれらの全ての神々を統べる大神御神おおみわみかみという神格じゃし」


 なんかモーフがとても偉そうに説明してるよ。それにこんなややこしいのなかなか覚えられないよ。おおみわみかみ? なんだそれ?


「モーフ。じゃあモーフは一番上の神様なのに八番目の神様に負けちゃったってわけ?」


 生暖かい目で見ながら尋ねた。


「そうなのじゃし。九尾狐はなかなか野生味のある奴じゃった」


 モーフの良く分からない言い訳に対してもう一度生暖かい視線を向けた。そんな言い訳じみた説明をされるとやっぱりモーフの話が怪しく感じられる。とは言え、そんな偉い神様と言うのが本当だったら、聞いておかねばならないだろう。


「神様の強さなんて分からないけど、モーフはそんなに偉い神様だったの?」


「我は言うなれば偉い神様の化身という感じなのかもしれん。本体は大地そのものなのじゃし。

 さっきの話も大地から流れ込んだ情報なのじゃし」

 

 モーフがそんなことを言っている。俺にはモーフがそんなに偉い神様にはどうしても思えないが、もしそうならそんな偉い神様を眷属にするなてダメなんじゃないだろうか?


 何となく躊躇われるけど聞かないとダメだろう。


「そう。なら僕の眷属から外れた方がいい?」


 恐る恐る俺がそう尋ねると、モーフは空中でピタリと停止すると、全身を使って左右にフルフルした。


「絶対に嫌なのじゃ。我は光公子様の眷属がいいのじゃ」


 モーフのイヤイヤのポーズが可愛い過ぎる。


「分かった、分かったよ」


 余りにも可愛いので俺はイヤイヤをしているモーフをぐいとつかむと胸に抱いて思わず頬ずりしてしまった。


 こんなに可愛い子が神様を統べる大神御神(おおみわみかみ)だなんてやっぱり信じられなかった。


 とって付けたようにじゃし、じゃしって言うのも自分を高位の神様って見せたいんだと思う。


 なんだか変な喋り方だと思っていたがそれもとても可愛い。


 モフモフで目が大きくて丸くって真っ白で声が細くって元気いっぱいのモーフは本当に可愛い。


 あ、モーフが攫われた。


 あんまりにも可愛いからエーメラルダ嬢が俺の胸の中のモーフをひったくるように引っ掴むとモフモフし始めた。


「光公子様。ごめん遊ばしませ」


 上品な感じでそう言いながらエーメラルダは目をハートにしてモフモフしている。


 この殺人級に可愛いモーフを見てメロメロにならない人はいないと思う。


 直ぐに我慢しきれなくなったアイリス嬢がモーフを横取りしてモフモフし始めた。


「あ、剣聖天様。ダメです」


 エーメラルダ嬢が非難した。


「何だか身体が勝手に動いてしまうのです。モーフ様が可愛い過ぎるのがいけないのです」


 アイリス嬢が理由にもなっていない言い訳をする。


 そんな二人を見ていると、誰かが僕の頭を触って来た。


 だれ?


 後ろを振り向くと、俺の頭を撫で撫でしてくれているのは大聖女リリーアージュだった。


「何? リリー」


「光公子様がなんだか可哀想で。頑張ってモーフ様に眷属をやめるって良く聞いてあげましたのでご褒美に撫で撫でです」


 大聖女リリーアージュ嬢は時々直情的な行動をして俺を驚かせる。


 超恥ずかしいがり屋さんだから普段は俺から離れて他の女の子達の背中の後ろから俺を伺っているような彼女が自らそんなことをしてくれるってちょっと新鮮だった。


 そしてさすがに大聖女様だ、実はモーフに聞くのがとても怖かったのだ。眷属をやめて出ていくって言われたら泣いちゃうぞ。リリーアージュ嬢は俺のことを良く見ているなぁと感心した。


 なによりも大聖女リリーアージュは、俺が話しかけたりすると誰かの背中に隠れたりするので俺のことが嫌いなのかもと心配していたからなんか嬉しい。


「ありがとうリリー。お返しだよ」


 俺は、お返しにリリーアージュのベールをたくしあげて彼女の可愛らしい顔を出すと彼女の頭を撫で撫でした。


「なんと、素敵で可愛らしい絵姿でしょう」


 なんかリビエラ嬢が目をハート型にして俺たち二人のやり取りを見ている。


 彼女から見ると俺やリリーアージュ嬢はまだまだ少年少女で可愛らしいの範疇なのだろう。


 あ、リリーアージュ嬢の顔が真っ赤になった。あ、またまたやっちゃった?


 ニコニコしつつ俺たち皆の様子を見ているサスティナ嬢に目で合図を送り助けを求めた。


「光公子様。大聖女様は恥ずかしがりやさんですから急にそんな羨ましいことしたらダメですよ」


 サスティナ嬢が言葉の中によく聞こえ無い言葉を混ぜつつ言いながらやってくると、リリーアージュのベールをそっと元に戻して彼女を連れて行ってしまった。


 リリーアージュはギクシャクと人形のような変な動きで俺から遠ざかると賢聖天リビエラ嬢の背中の後ろにピタリと張り付いてしまった。少し寂しい。

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