236 ずっこけた
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《レリトニール公子視点》
空の上を眺めてモーフが言っていた神狼? オオカミさん? まぁどちらでもいいけど、その神様がどこにいるのかサーチした。
あれ? 二つある?
まぁ、いっか。ほとんど同じ場所にいるし。
転移。
あ! びっくりした。
いきなり大きな狼がガシガシ攻撃してきたからだ。
「あ。ごめんごめん」
俺は謝りながら狼の攻撃を受けた。突然現れたら怒るよね。
ん? でも怒っておるわりにこの狼さん弱い? 神様だよね?
攻撃力も素早さもなんか全然だった。
ああ。分かった。恐らくこの狼さんは神狼? オオカミ? の眷属、たとえばあの可愛らしいモーフみたいな生き物に違いない。
「ああ。分かったから。じゃれるのは勘弁してよ。こうしているうちにも下の皆さんは溺れそうになってるんだよ」
俺はそう言いなが、大きな方の狼の攻撃を手でしっかり掴んで動け無くした。
「な、なんだお前は」
大きな狼さんがなんか驚きながら尋ねてきた。
やっと話す気になったようで、安心する。
「あ。こんにちは。突然ですみません。えっと、お二人はオオカミさんの神様のご関係者ですよね」
「何だ? お前。我はオオカミの中のオオカミ。フェンリルであるぞ」
「はあ。オオカミさんの関係者のフェンリルさんですね」
「何だ。フェンリル様と聞いて恐れ入ったか?」
「それは良いので。聞いてくださいね。さっさと雨を止ませてください。このままではたくさんの人が死んじゃいますから」
俺はフェンリルさんの手を離して言った。
「ん? 雨? 止めろ? そんな簡単にできるか。いちど降らせてしまった雨は我々でもそう簡単に止められないんだ。お前は自然の理もしらぬのか?」
「ああ。いいですよ。オオカミさん? 神狼さん? 狼の神様? 呼び方は存じ上げませんけど、その方が来られないと止められないんですよね。分かってます。分かっています。
なんか理由があってこんなことをしているって聞きましたがもう結構やっちゃってますよね。
もうこれくらいにしておいてくださいね。
もう僕が勝手に雨を止ませますからね。じゃあ」
一応、お断りした。なんかもう待ったりお願いしたりしている暇もない。
悪いけど、、、よっと!
あはは、晴れた晴れた。
あ、でもこれじゃ、地面の低いところに水が流れていって溺れちゃう人もいるかもね。
なんか良い方法がないか? 水を転移させると中の物やらなんやらまで転移するし溺れている人がいたらダメだし。ううーん。
なんか水だけ消せたら良いんだよ。あ、そうか、魔法なんだから何でもありだよ。水だけ転移したら良いだよね。よし!
水だけ消えろ!
あははは。消えたな。最初からこうすれば良かったんだよね。あはは。
ん? あれ? あれ? 川の水も消えちゃったかな? あっちの湖も消えたかな? あ、田んぼから水が、、、、やっちまった!
「あちゃちゃちゃ。もう少しちゃんと水の必要なところと要らないところを几帳面にやらなきゃいけなかったよ。
お二人さん。ごめんね。
後で神々の皆さんに謝って置いてね。
あ、でも一言。
今度、こんな酷いことする時は、本当に懲らしめないといけない人たちだけにしてよね。
可哀想に無関係なのに迷惑を受けた人たちもたくさんいたんだよ。
分かった?」
一応、少し強く睨んでおいた。
モーフもこうするとおとなしくなるんだよね。
あれ?
真っ青になって小さな狼さんが気を失った。大きな狼さんも身を縮まらせて震えている。
「あ、ごめんよ。そんなに弱かったんだね。神様って聞いていたから、ついうっかり強く睨んでしまったよ。ごめんね。
じゃあ、元気でね」
俺の威嚇でかなり体力が減ってしまった二人の狼さんに癒しの魔法をかけてやり。なんかパワハラぽくなってしまったので、ぺこぺこ頭を下げて謝ってから転移した。
☆
《フェンリルの視点》
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!
何だよ。
あいつ。
突然現れたかと思ったらいきなり神狼と俺様が作った結界を微塵も残さずに破壊してしまった。
あんなこと、大御柱の大神様でもできないだろう。
恐ろしやつ。
震えが止まらない。
☆
一方、レリトニールは、それからしばらくセミーツ王国の各地に飛び回って川や池に水を満たして行った。
後で獣王国に戻ってからリビエラ嬢達から酷く怒られのは言うまでもない。さらにどうして雨を降らせなかったのですかと聞かれてずっこけたのは後のことだ。
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