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230 英雄は英雄を知る

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《レリトニール公子視点》


 なるほど、ライオンマンだ。レオン王子と比べると体格で二回りほども大きく威圧感がぱない。


「よくぞ参られた。レリトニール大聖天様」


 レギオール獣王は気さくな感じで挨拶した。


「いやぁ。急に来てしまってすみませんでした」


 俺が素直に謝るとレギオール獣王は首を横に振って


「いやいや。大聖天様ならいつでも大歓迎です」


 レギオール獣王は、笑いながら言った。


 なるほど、この方は王だ。


 恐らく俺のことは最も警戒すべき人物と考えているに違いない。


 獣王からすると俺は拡大政策をバリバリに進める危険な国のリーダーでしかないはずだ。


 俺にはそんな意図は全くないが外見的に俺のしていることは転生前の中国やロシアの為政者が真っ青になるような超拡大政策を行っているのと結果は変わらない。


 瞬く間に版図を拡大する超超大国に過ぎない。


 そんな国と接してしまっている獣王国が警戒しても仕方ないのだ。


 しかし、レギオール獣王の態度には、そんなことはおくびにも出ておらずとても友好的な物だった。


 国のリーダーとしては完璧な対応と言って良いだろう。


「ありがとうございます。寛大なる獣王陛下のお言葉。大変嬉しく思います」


「して、レリトニール大聖天様には、どのようなご用で来られたのでしょうか?」


 獣王レギオールの質問に、俺は一瞬だけどう答えるか考えた。


「レオン殿下から貴国とセミーツ王国との関係悪化の話を聞きまして、様子を見に来たのです。

 我がラッシート王国並びにディーガ王国、ケーセシャリー帝国、六大塔同盟の各国は貴国への支援の用意があります」


 結局、俺は正直に答える事にした。


 俺の言葉にレギオール獣王は、表情を全く変化させることなく答えた。


「それは有り難き申し出です。

 ですが、我がディートラ王国は、自力で対応することが可能なので安心してください」


 この答えは予測していた。俺に恩を売るつもりも見返りを求める気もないが、そんなことは信じられないのが普通だ。


「レギオール獣王陛下。お気持ちは分かりますが、貴国とセミーツ王国との紛争をリールセラートとしても何もせずに見ていることはできませんよ。

 ディートラ獣王国の独力でセミーツ王国を跳ね返すお力をお持ちなのは承知していますが、我々は、早期の安定を望んでいます」


 やんわりと支援させろと言う。レギオール獣王がどんな誤解をしているのか分からないが、そんなことに構っていて不測のことが起きないとは限らないのだ。さっさと支援して見返りを求めなければそれで終わりだ。


 恩の押し売りと重々承知の発言である。


 レギオール獣王は、俺のこの言葉を聞き、余計なお世話だと感情を露わにするかもと俺は少し不安があったがそんなことは無かった。


「レリトニール大聖天様のお気持ちは分かりました。

 我々は早期に紛争を解決するように努力いたします」


 レギオール獣王は力無くそう言うと頭を下げた。


 これは俺の申し出を受けると言うことを示しているのだろう。


 謙虚な態度だし、全面的に降参するって感じなのは少し申し訳無くなった。


「レギオール獣王陛下。頭を上げてください。わたしは獣王国を傘下にしようなんて申しているわけではありませんから。

 セミーツ王国には獣王国に手を出したらリールセラートに手を出した事だと通告しますね。

 それで紛争が収まるようなら直ぐに帰ります」


 だが俺のその通告はセミーツに届くことは無かった。


 獣王レギオールは、俺の予想を遥かに上回る知的な人物だった。





《レギオール獣王の視点》



 噂には聞いていたが一目でこのお方に逆らってはダメだと分かった。


 余の直感は、全力で警笛を鳴らし続けている。


 もし立場が許されるならこの方の足元に身を投げ出して床に頭を擦り付けて許しを乞いたくなる。


 何よりもレリトニール大聖天様の従者の皆様から受ける威圧感がはんぱなかった。


 いっそ、レリトニール大聖天様からは穏やかで優しい慈悲さえ感じる一方、従者の皆様からは容赦のない威圧感を感じさせられる。お立場の違いの現れであろうがレリトニール大聖天様の本当のお力は我々の想像を遥かに超えるていことは彼女達従者の皆様のお力を拝するだけで十分すぎる。


 己が力を穏やかに覆い隠して慈悲を露わにされるレリトニール大聖天様の様子に余はもうさっさと敗北を認めるしか無かった。


 今回の突然の訪問にどう対応するか、余が様々に考えていたことを全て投げ捨てるしかなかった。


 あれだけ気炎を上げていた貴族派の小僧達もこの方々を一目見るなり、尻尾を丸めて身を縮こませている。そんな姿を見ると、なんとも言えない気持ちになる。


 レオン王子からはこの方にさからってはダメだと数々の例を上げて警告されていたが、余はレオン王子の言葉を全く信じていなかったとさえ言える。


 これほど世の中が広く感じられ、自身の力が小さいと感じたのは初めてだった。


 こうして訪問してくださったことで、直にご本人にお会いできて本当に良かったとしか言えない。




《レオン王子の視点》


 おお!


 ようやくケーセシャリー帝国を抜けて、リールセラートに入れた。


 急ぐぞ!

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