229 レオン王子の獣王国への凱旋
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《拳聖天レオン王子の視点》
光公子様のおかげで一千名もの精鋭を率いて国に凱旋できることになった。
なんとも晴々しいことだ。
獣王国からは、拳王になったころから頻繁に帰ってくるようにとの誘いが入るようになった。次期国王にとの話もあるほどだ。
第一王子のザーラックなどはさぞヤキモキしているのだろうと、昔のザーラックの冷たい態度を思い出しながら少し溜飲の下がる思いはあった。
それから、北方のセミーツ王国といざこざが絶えないと言う知らせがどうやら戦争になりそうだとの知らせになってからは、国からの情報をこちらから探るようになった。
獣王国は、リールセラートの後ろ盾を得たが、皮肉な事にそれがセミーツの危機感を煽ってしまったようで、結果的に好戦派の勢力を伸ばす方向へと動いてしまったらしい。
遂にはセミーツ王国からは激しい嫌がらせや小競り合いが続き、ついには紛争に発展してまったようだ。
全く馬鹿な話でセミーツ王国は、超大国の首領となられた我が光公子様と交戦したくなければ大人しくしておけば良いのに、逆に獣王国と戦うと言う真逆の行動に走ってしまったわけだ。
世の中と言うものはうまくいかない物だと思う。さぞセミーツ王国の穏健派の者達もヤキモキしているだろうと思う。
しかし、相手の心配をしているどころではない。国力で言えば獣王国はセミーツ王国の半分も無いのだ。
更に悪いことには獣王国では、リールセラートに飲み込まれることを忌避した貴族派の勢力が高まっているようで、光公子様に援助を請わないと言う馬鹿な選択を取ってしまったようだ。
本当にセミーツ王国も獣王国も自ら墓穴を掘るのも大概にしてもらいたいものだ。
しかし愚痴を言っていてもキリがない。
祖国の危機とあれば帰らざるを得ないではないか。
光公子様の従者にしてもらった俺の我儘を光公子様は、快く承知してくれ、それどころか千名もの精鋭を部下としてくださると言う破格の待遇に思わず涙が流れた。
光公子様のお許しが頂けたので30万人の兵隊の中から精鋭を選びたい放題だった。何しろ光公子様は「せっかくなんだから一番強い人達を連れて行ったらいいよ」なんて言ってくれたりしたのだ。
まさかと思っていたら本気みたいで「全員聖級にする?」なんて聞いてきて本当に驚いた。
流石にそれはと遠慮して、聖級の騎士を十名選び、百人隊長とし豪級の者十名を副隊長とし、熟練級と達人級の者千人を選んだ。
なんとも贅沢な部隊だとため息しかではかった。
しかも騎竜を中心とした部隊となった。
光公子様の発案で土竜を騎馬の代わりに使った騎竜部隊が作られていたのだ。
飛べる龍種は上位種の龍であり数は限られていた。中でも人をたくさん乗せて飛べるような最上位のドラゴンなどは僅かな数しか存在しない。
そのようなドラゴンとドラゴンライダーこそ本来の騎龍部隊であるが、六大塔同盟との戦いで壊滅的な被害を出してしまっていた。
龍の里に生息する龍種のほとんどはドラクルと呼ばれる亜竜種なのだ。守護龍ゴーダガルーズがそんな龍種を見て小さく愚かになったと嘆いていたのはこれらの亜竜種を見てのことだ。
龍の里には、馬を一回り大きくした程度の亜竜種ならたくさん生息していたのだ。
光公子様の考案したのはそのような亜竜種の一つである土竜を騎竜として使うと言うものだった。
土竜は、亜竜種の中では頑丈な外殻を持った龍種で頭も良く、人語を解する。炎のブレスを吐くこともできる中位の龍種だ。
龍と呼ぶレベルには満たない亜竜であり、守護龍ゴーダガルーズにすると小さく愚かな竜でしか無い存在だが騎馬と比べると確かな戦力だった。
その土竜に達人級以上の精鋭が騎乗した騎竜部隊は実に精悍で立派に見えた。
それらの騎竜が三百、熟練級の騎兵が七百の精鋭部隊だった。
さて用意は整った。いざ我が祖国ディートラ獣王国へ!
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