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228 妖狐とオオカミ

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《天の視点》


 オオカミは名が示す通り、力ある古き大いなる神の一柱だ。


 支配する領域も大きく影響力も強い。


 オオカミは獣の狼でもあり力ある神と言う意味を持つ大神でもある。


 一方、妖狐と呼ばれる彼女もオオカミに匹敵する古く強い神の一柱であった。


 妖狐とオオカミは支配する領域や能力が良く似ていいたため、他の古き神々よりもお互いの交流が深いとも言えるし、逆に対立することが多いとも言える関係にあった。


 妖狐は、ひとまず古き者たちの領域に侵入した獣王国の民を自然に返すと獣王国への処分をどのようなものにするかを考えた。


 森の矮小なる者たちは無責任に焼き払えだの滅ぼせだのと好き勝手言っているが、妖狐も好き好んで大勢の命を自然に返すことに躊躇いもある。


 オオカミは、ヒューマンの国を滅ぼすと言うが罪を背負うべきヒューマンとそうでは無いヒューマンがいるのだろうにと思う。


 一定の災いを起こすのは約束の効果を強める意味もあるのだろうが、オオカミのやり方はどうなのだろうと思うところだ。


 所詮、力の権化は知能が足りず、情緒に左右されてしまうのだろう。


 奴の逆鱗に触れて災いを受ける者たちへ憐れみを感じる妖狐であった。



《レリトニール公子視点》


「光公子様。こんなことしてレオン殿下に叱られませんか?」


 剣聖天アイリスが聞いてきた。


 そんなの怒られるに決まっている。


「あはは」


 笑って誤魔化す。


 俺たちは、レオンに先んじて獣王国ディートラにやって来ていた。まぁ、転移できるし。飛べるし。


 獣王国の首都は、一言で言えば田舎。言い方を変えると自然と融合した別次元の都市だ。


 何よりも様々な亜人が往来を行き来していて見ていて楽しい。


 虎男、レオンと同じライオン男。猫耳あり、尻尾付きありとなかなかバラエティに富んでいる。


「光公子様。アイリス嬢もそんなにキョロキョロしないでください」


 ピシッと賢聖天リビエラ嬢が言った。


「「はーい」」


 俺たち二人は首を竦めて謝った。


 あ、ベールで見えなかったが大聖女リリーアージュ嬢も俺たちと同じポーズをしているのを見ると彼女もキョロキョロしていたようだ。


 黒聖天エーメラルダ嬢と金聖天サスティナ嬢はクスクス笑っている。


 マリーシア女王とメーラシア女王の二人は置いて来た。


 二人は最後まで自分も一緒に行くと言い張ったが、さすがに他国の女王が他国に無断で入るのはダメだろうと連れてこなかったのだ。


 え? 俺? 俺はただの大公の息子に過ぎない。正式にリールセラート大公となっていないので、公式では私人だ。へへへ。


「リールセラート陛下でございますな?」


 ん? なんか熊のおじさんが話かけてきた。


 ここは驚いたフリをして。


「え? どうして気付いたの?」


「それは、皆様。入国の際に本名を名乗っておられましたし」


 まぁ、そうだ。友好国に入るのに不法入国など論外だ。だから本名で入った。入国証も本物のラッシートの物だ。


「そう。こんにちは。それでなんの用です」


「はあ」


 熊のおじさんは、少しため息をついてから


「レリトニール陛下のことはなんとお呼びして良いか分からないので、陛下と呼びますが宜しかったでしょうか?」


「配慮感謝する」


 答えたのは賢聖天リビエラ嬢だった。


 熊のおじさんは、少しホッとしたようにリビエラ嬢に頷きかけるとリビエラ嬢の方を向いて尋ねた。


「今回の急なご入国についてご説明をお願いしても?」


 貴人に直接話しかけるのは不敬とされる。誰かが間に入るのが話しやすいと言うのもあるのだろう。


「観光だよ。レオン殿下の故郷を見て見たかっただけだよ」


 俺はすかさず答えた。リビエラ嬢が要らないことを答えないためだ。そんなことは万が一も無いだろうけど。


 熊のおじさんは、もう一度ため息をついた。


「さようですか。我が主人、レギオール国王陛下がご挨拶したいと申しております。

 宮殿まで御足労頂いてもよろしいでしょうか? あるいはレギオール陛下は、ご挨拶に伺いたいとも申しておりますが」


 急にやって来た俺にそこまで言うのは相当に気遣いしてくれてのことだ。


 もちろん熊のおじさんは、リビエラ嬢に尋ねたのだが俺が答えた。


「ああ。僕の方から挨拶に行くよ。悪いけど案内してくれる?」


 俺がそう答えると熊のおじさんは心底ホッとしたようで深々と頭を下げた。


 レオンのお父さんはどんな人か? 伝説的な獣王の称号を持つ偉人である。

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