224 ニャーニャー(猫ではありません)
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《天の視点》
第六の塔の主人は、メデューサの女王、大魔王スシャーザンだ。
メデューサは、人でもなく魔獣でもなく妖精でも無い。石化の魔眼を持つ伝説的な生物である。
自分達は、神族であると主張するが神々からは認められていない。
しからば、神に成れば良い。その発想で神を目指し、同じ志の魔導士の集団に参加した訳だ。
第六大魔王スシャーザン達が神になる為の研究で担当したのは転移の魔法だった。
元々、石化の魔眼を持つメデューサ達は、魔法の適正が高く魔力も豊富だったし、古代魔法の使い手でもあった。
古くは神族との関係もあり、転移魔法の知識も無きにしも非ずと言うことで、その役回りを引き受けた訳だ。
集団魔法による短距離転移までは成し遂げていたが、それからどうしても先に進めないでいた。
「大魔王様。どうやら我が六大塔同盟は、不利なようです」
配下のメデューサが報告してくるまでもない。
数える事もできない軍団が間近に迫っている。
「大魔王様。今回は脅威のはずの飛竜騎もおらず、あのように集団で攻めて来るのもヒューマンの戦法ですが、ケーセシャリー帝国は、どうなったのでしょう?」
「最初に聞いていた話とは違うようだ。エグゼランスめは、ケーセシャリー帝国は瀕死の状態だと言っていたのだがな。
第三魔王の配下の剣聖の何某が滅ぼされた辺りから形勢が変わったようだ。ヒューマンのリールセラートからの支援があったのだろう」
「しかし、リールセラートは弱小の貧国。あれほどの軍団を擁するはずが?」
「ヒューマンは、神の恩恵が深いからな。どのように急変するか分からぬな」
「そろそろ。我らも戦いの渦に呑み込まれてしまうのでは?」
「我らに石化の魔眼がある以上、簡単に掛かっては来ぬだろうさ」
大魔王スシャーザンは、余裕の笑みを浮かべた。
☆
《賢聖天リビエラストの視点》
「公子様。石化についてはどのように対応されるおつもりなのです?」
わたくしは光公子様にそのようにお尋ねした。
すると光公子様は
「任せて。いい考えがあるからさ」
そうお答えになっていた。
どうするおつもりか?
もうそろそろメデューサと我軍が接敵するが大丈夫なのだろうか。
わたくしがそう考えていたら、メデューサ達の軍団の方で不自然な音がした。
見るとメデューサ軍団の上に丸い可愛らしい物体が浮かんでいる。
モフモフのモーフのようだ。
モーフは、可愛らしく鳴いているようだ。
なんだろうと思っていたら
「アイリス嬢、メデューサ軍団の上空で目眩しの閃光を光らせるので目を閉じるように全軍に通達してよ」
光公子様が剣聖天アイリス嬢に命ぜられていた。
次の瞬間アイリス嬢は、激のスキルで全軍に通達が伝達されま、わたくしの頭の中にも通達が響きわたったのでわたくしは慌てて目を閉じた。
その時、目を閉じていても眩しいと感じる光が辺りを照らした。
それと共にメデューサ軍団の方から敵ながら可哀想になるような大勢の悲鳴が聞こえた。
「光公子様。何をなされたのです?」
わたくしが質問すると
「ああ。モーフに力一杯光って来てってお願いしたんだよ。あの可愛らしい声でミャーミャー鳴かれたら見ずにはおれないだろ?
それからの閃光攻撃でメデューサの魔眼を全滅させようって作戦だよ」
聞いてみれば単純な作戦だが、よくもそんなことが考えつくものだと感心した。
「でもモーフは、石化されなかったんですか?」
「あんなに可愛い動物を石化できる女の人がいると思う?」
光公子様はそんな奴がいたら見てみたいと思っていらっしゃるのようだ。
流石に全員のメデューサの魔眼をあの閃光攻撃で潰せてはいないのではとわたくしは思ったが黙っていた。
戦いは、我が軍団が六大塔同盟に突然したためもはや佳境に入っていた。
わたくしは遠見のスキルで戦いの様子を見ていると、最も印象的だったのは、大聖女リリーアージュ様が三メートルを超えるエイシェントティターン族達を杖で殴っていく姿が最もシュールな絵面だと思った。
古代巨人族は、力の象徴だ。彼らは世界で最も強いと言われているクランを立ち上げている有名組織だ。
物理攻撃が無効なはずの巨人族をボールをかっ飛ばしているかのように杖でバンバン打ち上げている姿は何ともシュールと言わずにはおれなかった。
「大聖女様、凄い攻撃ですね」
思わずわたくしが呟くと
「あはは。あれは引くよね。でもリリーアージュ嬢はあれで治療してるんだよ。
吹き飛んでいく巨人族は気の毒だけどみんな落ちた先で全回復しているよ。ブラックホールに飲み込まれて瀕死だったからね」
と説明してくれた。
なるほど、わたくしが遠見スキルでかっ飛ばされた巨人族達の地面に激突してからの姿を見ると、巨人族達はいきなり全回復して何が起こったのか理解できぬ様子で自分の全身を見回した後、不思議そうにしてそそくさと六大塔同盟の国に戻っていく様が見えた。
さすがにもはや戦意も無くなったのだろう。
帰っていく巨人達の背中にはもうこりごりだと言う悲哀が籠っているように感じられた。
戦いの趨勢はもはや明らかだった。
六大塔同盟が誇る魔法生物達は、強化された我らの軍団によって紙切れのように切り刻まれていった。
個々の強者達も、光公子様の従者達にボコボコにされて可哀想なほどだ。
五百の聖級魔法生物も、巨大アイアンゴーレム軍も、暗黒神の加護を持っているダークエルフ軍も、古代巨人族の世界最強のクランも、勇者達の軍も、石化能力を有するメデイューサ軍も全員惨憺たる状態になってすごすごと六大都市同盟に向けて退却していったのだった。
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