212 嬉し涙はなかなか止められない
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《ディーガ王国メラーシア女王の視点》
「どうしたの? 武王」
「なんか来ますな」
武王の言った通り、わたくしの横に突然、公子様が現れた。
これは転移の魔法ですか?
「武王、突然攻撃してきたら痛いよ」
武王の蹴撃を軽く避けた公子様が言った。
「は? 公子様ですか? 今度は転移ですかい? 突然現れたりしたら事故の元ですぜ」
武王が呆れたように言った。
「ははは。驚かしてやろうって思ってね」
公子様らしい屈託のない明るさで笑いながら答えていた。
あゝ、公子様だ!
何度お目にかかってもお美しい。
あれ?
思わず抱きついていたわ
「ああ、ごめんなさい。突然なので、驚いてしまいましたの」
「ごめん。泣かないで。そんなに驚かしたかい?」
公子様が心配した顔で尋ねられた。
「いえ。嬉しかったのです。もう離れません」
わたくしは強く言った。
「はあ。そうなるんじゃ無いかと思ってましたよ」
武王サイラスも、そんな風に言っていながらとても嬉しそうじゃないの。
「公子様。どうかうちの姫様をもう離さないでやってください。ディーガはもう、公子様の傘下で良いって皆の了承も取り付けてきましたから」
「ええ? メラーシア女王陛下と一緒なのは嬉しいけど、国は要らないかな。
武王サイラス卿がディーガを仕切ってよ」
「はあ。仕方ねぇですね。そんなことになるんじゃ無いかと」
これで、公子様といつも一緒でいられるとわたくしはまたまた涙が止まらないのだった。
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