206 それは、公子様ですから
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《レリトニール公子視点》
「公子様。六大塔で動きが有りました」
暗殺王エーメラルダ嬢が耳打ちしてくれた。
彼女は、六大塔に分身を置いて来たそうだ。
分身は一週間。自律して動くそうでAIみたいに勝手に判断して勝手に色々してくれるらしい。
そのスキル欲しいなぁって本当に思った。
その分身から入って来た情報によると、六大塔の本当の主力が遂に攻めてくるらしい。
攻めてくる内容を聞いて驚いた。
聖級戦士が五百とか、神殺しの魔剣を武装させた超巨大アイアンゴーレム(ロボットだよね?)とか、神から恩恵を貰った高位司祭だったりとか、高レベルのダンジョン踏破者達だったりとか、勇者の集団とか、メデューサの集団とか?
なんかめちゃくちゃな集団が攻めてくるらしい。
しかし、そんな凄いのが攻めてくるのに暗殺王は平然としているようだ。
「それで分身は何て言ってるの?」
「公子様なら瞬殺だろうって言ってます」
「え? どうしてそうなるの?」
「だって、公子様なら普通の人たちでも簡単に王級にしてしまいますよね」
暗殺王エーメラルダ嬢は自分自身を指差しながら指摘した。
「次に神殺しですよね」
俺の作った腰に挿している聖剣を指差しながら言った。
「剣王アイリス様はレベル800を超えてらっしゃいますよね」
まぁその通りのようだ。本当のレベルは知らないが。ちなみに俺は屈辱の250で頭打ちだ。モブである事が痛い。
「ここにいる人達は皆、超難関のダンジョン攻略者で、神の恩恵なんてザックザックですよね」
あ、全員を指したな。
「殺しても死にませんよね」
あ、遂に俺を指差してきた。なんか拳銃で撃たれたような気分になる。
あ、死んでしまうぅーー
「勇者認定されてますよね」
あれ? 俺はモブだよ。その指は俺を通り越しているのかな?
「偉業を達成されて『聖人様』になられていますよね」
あ、また俺を指差した。その指から光線が出ているのか?
死ぬーー!
「瞬間移動しますよね」
ああーーーー。止めの一発だ。またまた俺を指差したぞ。
「六大塔の大魔王が千年かかって達成できなかった難題を公子様はいとも簡単に成し遂げられてますよね?」
え? そうなの? なんの難題? 知らなかった。
「そんなことないよ。モブは何度も言うけど勇者や英雄なんかとは似ても似つかい庶民の最底辺て意味だし、俺が倒した剣神様はただの人形だよ?
それに暗殺王が王級になれたのはエーメラルダ嬢が凄かっただけで僕にはなんの関係もないよね?
転移だってできるけどそれが何か? って感じでしょ。大魔王が目指している転移はもっと凄いに違いないよ。
それになんだっけ?」
「死にませんよね」
「そんな訳ないよ。ん? あれ? ステータスに不死ってあるね。いつの間に? これって殺しても死なないってこと?」
「え? 公子様不死属性なんてあるのですか? わたくしは公子様の硬さの話をしていたのですが」
「硬いってなんか鉄みたいじゃない。柔らかだよ」
俺は自分のほっぺたをプニプニしつつ言った。
「もう。公子様。反則な行為はおやめになってください!」
え? プニプニしたらダメらしい。賢王リビエラ嬢に叱られてしまった。周りを見ると女性陣がなんか怖い感じで睨んできてるし、男性陣は生暖かい視線を送ってきている。
ほっぺプニプニはしてはダメらしい。
「硬いってこと証明しましょうか?」
暗殺王が言った。
「え? どうするの?」
「これで力一杯叩きます」
暗殺王が鉄の盾を魔法バックから取り出して言った。
「そんな酷いよ」
「ふ。公子様がこの程度の鉄で叩かれて痛いって感じると思いますか?」
「それは痛いでしょ! それになんか怖いよ」
「良いから、叩かせてください」
「え? 嫌だよ」
「行きますよ」
「や、やめてよ!」
俺の静止も聞かず暗殺王エーメラルダ嬢は、盾を力いっぱい俺に叩きつけ? あれ? どうしてそんなにゆっくりと動かすの?
ゆっくり、ゆっくり盾が俺の頬を撫でた。
(戦闘モードになるとレリトニール公子の俊敏値の高さにより周りの動作がとても遅く感じます)
ガン!
もの凄い音が部屋中に響き渡った。
「ほら。みてください。硬いでしょう?」
エーメラルダ嬢は、くしゃりとひん曲がった盾を指差しながら得意げに言った。
なんかそれって紙でできてたのと違う? って聞いてみたくなるような柔らかさだった。
なんか周りの皆がうんうん頷いて暗殺王エーメラルダ嬢の発言に納得しているのが納得できない!
「なんでみんな納得するの? 僕は納得できない!」
「それは、「「「「「「「「公子様ですから」」」」」」」」」
エーメラルダ嬢の『それは』に合わせて皆で合唱するのはやめて!
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