021 甘々家族2
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ほっこりしていた俺を背中から強い衝撃が襲った。
気配からそんなことになるのは承知していたし、元々たいした体当たりではなかったから軽く受けた止めたが、衝撃の正体は、一番上の姉のセシーリアである。
ほとんどダイビングのようにして俺に抱きついてきたのだ。
「シリーねぇ様。そんな勢いで飛びついたら怪我しますよ」
そんな俺の言葉など無視して長姉セシーリアは泣きながら俺にキスの雨を降らせて。
「あゝ。レトちゃん。レトちゃん。レトちゃんの匂いよ。あゝ」
もうはちゃめちゃである。
「シリーねぇ。レニちゃんを独り占めにしないで離して」
次姉のシルビアーナが俺の左腕を掴んで、長姉セシーリアを引き離そうと躍起になっていた。
長姉のセシーリアは、俺のことをレトちゃんと呼び、次姉のシルビアーナはママ様と同じ呼び方でレニちゃんと呼ぶ。いささかややこしいのである。好きに呼べばいいが。
「ああ。シルフィーお姉様も、息災で良かったです」
ちなみに俺は次姉のシルビアーナをシルフィーと呼んでいる。
「まぁ、レニちゃんたら大人ぶって可愛いったら無いわ」
次姉シルビアーナまでもキスの雨を降らせ始めた。流石に辟易する俺だったが、これで終わるテンシラーオン家ではない。
「レト兄様。ミリを可愛がってくださらないと死んじゃいますぅ」
シルビアーナとは逆の右腕に捕まっているのは、俺の最愛の妹マリーである。
どうにか、姉二人を俺の身体から引き離して、妹マリーアナの方を向いた。
こんどは俺の顔がフニャフニャに崩れている事だろう。マリーを抱き寄せると柔らかい頬にキスをした。
10歳のマリーが頬を赤くしている姿は何と可愛らしいことか。
久しぶりの家族との再会は、いつものように甘々、ベタベタである。こんな貴族あるの? 前世のイメージからの逸脱は激しいのだった。
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