191 モフモフ
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《レリトニール公子視点》
気になるところって言えばここかな?
めちゃくちゃ強い気力感じるもんね。きっと強ぇのがいるよ。
おお。ここはなかなか良い景色だな。
綺麗な山々に湖
空が青い
ん? あれはなんだろう?
うさぎ?
いやもっと柔らか丸いか
あ まんまるな瞳が可愛いらしいな
ごまふあざらし? いやいやそんな生物はこの世界にいなかったはず
それにこの生き物はもっと柔らかでモフモフで可愛らしい。触ってみたい!
「誰だお主、ここをどこか知ってやってきたのか?」
お、喋ってきたよ。
「人語しゃべるんだ?」
「ん? 我を知らぬのか?」
「すみません。知りません」
「土地の龍人にはそれなりに有名なはすだが、、、
見たところお主はヒューマンだな。こんな山奥まで軟弱なヒューマンがよく来れた、、、ん? 鑑定してみて分かったが、なんだ、全然ヒューマンらしく無いステータスだし。
お主、何者だ?」
「僕はレリトニール・リールセラート・テンシラーオン。ご近所さんですよ」
「ん? ご近所? ああ、リールセラートもテンシラーオンも聞いた名前だ。確か国の名前だったような。お主、王族なの?」
「いや。僕はただの人。特に特徴もなく能力も微妙なただの人ですが?」
「そんな凄いステータスなのにただの人って、、、我はこのケーセシャリー帝国の土地神様なのだ。
地味な見た目だけど
分かったら敬って奉納が欲しいんだけど?」
「へえ。土地神さまなの? 小さいけどすんごい強そうだと思ってたんだよ。奉納って何がいいの?」
「食べ物が一番ありがたい」
「そうなの。色々持ってるけど何が好き?」
「肉」
「あはは。そうなんだ。どんな肉がいいんだい?」
「たくさんたべれたら何でもいいよ」
「そう。蛇の肉は食べれるかい?」
「おお、あれは骨ごとバリバリやるのが美味しいのじゃし」
じゃし? この神様、語尾が変わっている。
「そうなんだ。少し大きいんだけど出してもいい?」
「もちろん。あそこに広場があるのでそこでだせるのじゃし」
「じぁ、これだよ」
ドドーーーン。地響きを立てて大ミズチが地面に出現した。
「ぬ。飛大蛇なのじゃし? 食べがいありそう、、、むしゃむしゃ」
お、食べ始めた。結構食べるんだ。
「凄いね。神様」
「そりゃそうじゃろう。我はこの世界ではとても古い神様なんのじゃし。天津神の主要な奴らのお爺さんのお爺さんくらいの時から土地神様だったのじゃし」
「ふーん。そんな前からこの星あったの?」
「お。お主。星なんて知ってるのじゃし?」
「まぁ、前世の記憶持ってんで」
「ほう。そいつは珍しい奴が迷い込んだのじゃし。前世ってどんなところなのじゃし?」
「カクカクシカジカだよ」
「へえ。前世の世界では神様が見えなんのじゃし?」
「そうなんだよ。物質文明って言うか、平べったい次元の世界っていうか、自由のない世界でね。神様と僕たちは結構距離感があったよ。あなたみたく話したりできないんだよ」
「それは互いに寂しいのじゃな」
「恐らく互いに干渉できなくした方が落ち着くみたいな? そんな理由かな」
「ああ。それはその通りだな。接触せねば問題も起こらぬのじゃし」
「しかしあまりにも疎遠なので僕が生まれた国なんかでは神様は架空の存在なんて言われていたよ。こっちの世界の神様とか本当に興味深かったよ」
「そうか。それは良かったな。神の存在を感じられぬ寂しい世界からようこそなのじゃし」
「その通りだね。よろしくお願いします。で、あなたはお名前とか聞かせてもらっても?」
「うーん。土地の者は『守り神』とか『鎮守様』とか『守護者様』とか呼んでいるけど名前はないかな。あまりにも昔からのそんな呼び方だったから改めて名前をつけてくれる者もいなかったからなのじゃし。
もし名前があればもう少し自由に動いたりできるんだけど。
あそうだ、ここはお主。それだけ凄いステータスなのだったら名付けてくれぬか?」
「へー。あなたみたいに古い時代の土地神様が名前も無いなんて。いいでしょう。どんな名前が好みですか?」
「うーん。よく分からない。お主はレリトニール・リールセラート・テンシラーオンって言うのだな。三つも名前があるなら一つくらい我にくれ」
「あげたいのは山々なんだけど、家名は僕の自由にできないし。そうだ。その見た目だしモーフなんてどう?」
「モーフか。それはなんか良い響きだな。ではそれで」
その時、辺りがキラキラと光輝いてその光がモーフに集まってくると、モーフは一際光輝いた。
あ、色が白くなった。なんかもっと可愛くなってんじゃないの。
俺は思わずモーフにモフモフしてしまったのだった。
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