表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/312

020 我が家の甘々体質について

ブックマーク、高評価、いいねお願いします。

 久しぶりに我が家、テンシラーオン公爵家に帰ってきた。


 何しろテンシラーオン公爵領は、王都の隣の国の中央部に近いところにあり、高ランクダンジョンなど存在しない。


 遠く離れた辺境での修行は、余り目立たないと言う利点もあったので俺は泣く泣く実家から離れて修行をしていたのだ。


 そして入学前となり、実家に帰ってきた訳だ。今、俺の目の前には俺のパパ様とママ様がとてもにこやかな顔で立っていた。


「レルトニール。修行の様子はアイリス嬢より受けているよ。良く頑張ったね」


 サインシース・テンシラーオン公爵が甘々な声で言った。


 いつまでも子供扱いである。

 

「パパ様。勝手して申し訳ありませんでした。しかし、なかなか手応えも無く、明日の入試ですがご期待に添えないと思います。公爵家に恥をかかせる事は本当に申し訳なく思っているんですが」


 俺は、心から謝罪した。何しろ明日は運命の入学式だ。入学試験は超簡単だと言う。


 古代のアーティファクト魔法具で本当の実力を確認するだけだそうだ。


 古代のアーティファクト魔法具なんてなんともロマンいっぱいだ。


 でもそんな最終兵器を投入されたら俺がモブだってバレバレだ。英雄からモブへの転落は流石に避けたい。明日は俺が最底辺のモブよりは少しマシな努力型モブと認定してもらい、英雄を剥奪されてしまうちょっとだけ不名誉な日となる予定だ。


 俺は目の前の偉丈夫であるパパ様をこころの底から尊敬している。何しろこの人は世界の本物の英雄である。


 身長は二メートルを軽く超え、体重は良く知らないががっちりとした体格で筋肉ではち切れそうな体格をしている。


 天職は、超レア職の『聖竜騎士』だ。レベルも伝説の勇者と遜色ないほどに高レベルだとの噂である。


 筋肉もりもりで二メートルを超える大男だが、渋い声のイケメンオヤジだ。髪の毛なんかもサラッさらでなぜか顔もツヤツヤで年齢を感じさせない。確か四十歳だったはず。


 俺は、こんなイケメンの巨人は、前世では映画やアニメでしか見たことがなかった。


 そんなイケメンのスーパーマンのようなパパ様だが、今は締まらない顔で、デレッデレである。この顔は、俺達家族だけに見せる顔だ。


 超厳しく厳格だと噂の公爵様も、超親バカで子供と最愛のママ様には甘々なのである。


 残念ながらテンシラーオン公爵家には男子は俺しか生まれなかった。


 それゆえ、男の子の価値が高い中世ヨーロッパ風なこの世界では、とても大切にされているのだ。


 それだけに明日の試験の結果、失望されてしまうことが本当に申し訳ないのだ。そんな俺の思いを察してか、ママ様がすかさず俺達の手を取って言った。


「レニちゃん。そんな事言わなくても大丈夫よ。たとえレニちゃんがどんな成績だって、わたくしが絶対に首席にしてみせますもの」


 ママ様のアトリアスは、パパ様に輪をかけて超甘々である。慈母神のような優しい笑顔で俺を見ている。


 ちなみにママ様アトリアスは、元第一王女様だ。黄金の髪。青い瞳。巨人兵のパパ様の横に立っても見劣りしない長身は完璧なプロポーションだ。恐らくたった今、なんの準備もしなくても普通にミスユニバースに出て普通に優勝してしまっても驚かないほど何もかも完璧な女性である。


 もちろん。年齢詐称。美魔女。なんなの美味しいの? ってレベルである。いっそプロポーズしたいほどだ。恐らく二つ返事で「はい」と言いかねない人だが。


 まぁ、こんな家系だから、俺がモブと知っても追放などしなかっただろう。


 そんな二人を見ながら、従者アイリスもニコニコ顔である。


 俺の両親にとってアイリスは娘も同然であり、彼女への愛もとても熱い。


「アイリス嬢ちゃんも、本当にすまなかったな。我が息子は、こんなに立派で良い子であるとは言え、アイリス嬢ちゃんには苦労をかける」


 言っていることがとても残念な親バカなパパ様であるが、真剣な顔になってきっちりと頭を下げた。


「本当よ。リズちゃん。ありがとう。感謝の気持ちは言葉にできないわ」


 ママ様もしっかりと頭を下げてお礼を言っていた。


 この謙虚さはこの人達の美徳だ。転生者の俺がなんの違和感もなく幸せに過ごしてこれたのはこの二人のおかげだと心の底から感謝している。


 そんな二人の謙虚な姿勢に、アイリスがしどろもどろとなっているのがほっこりだ。


「いえいえ。公爵様も奥様もどうか頭を頭を上げてください。わたくしなどにそのようなことはなさらないで!」


 アイリスは、慌てて叫んでいた。


 ほんとうに微笑ましい光景である。


「しかし、アイリス嬢も剣王の称号を授かったそうでなにより。二年も入学をずらしてとても申し訳なく思っていたが、うちのレリトニールとの修行が無駄ではなかったのだと一安心したよ。今後もよろしく頼む」


 パパ様がそんな事を言ってまたまた頭を下げてアイリスをまたまた慌てさせていた。


 なんともほっこりする光景である。


 と、ほっこりしていた俺を背中から強い衝撃が襲った。

少し長くなったので二つに割りました。12時に更新予定です。


ブックマーク、高評価、いいねお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ