188 神殺し
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《賢王リビエラストの視点》
「私は武聖スギルガ・ヘッジス。陸軍大臣です」
大きな角が生えているので龍種なのだろう。
「私は龍聖セカンディアル・ラーダ。騎龍軍大臣です」
二人の軍事のトップが改めて自己紹介してくれた。
「わたくしは、リールセラート大公様の執事。賢王リビエラスト・リューペンスです。
こちらは火聖リージィー・ヤーフィルカート公女。先先代のラシッート国王の孫にあたる公女様です。そしてこちらは鍛治の国サファイアの鍛治聖エカテリーナ・ベーベンダール公女です」
二人は恭しく挨拶してくれた。
「さっそくですが、剣王アイリス様の戦力はどれほどでしょうか?」
武聖スギルガ陸軍大臣が尋ねてきた。軍属の彼としてはそこが一番聞きたいところだろう。
「そうですね。彼女はもう人間を止めているほど強いです。レリトニール公子様、すみません。今しばらくは大公様ではなく公子様と呼称させていただきます。
恐らく大公様と言う呼称も既に適切な呼称ではありませんから。
剣王アイリス嬢は、レリトニール公子様の配下の中では実力は一番です。神々の禁忌の森を守護している亜神のガーディーサマルウンツ様を倒した実績を持ちます。
六大魔王がどれほどの実力を有するか不明ですが負けることはないでしょう」
わたくしは自信を持って答えた。
「本当にそれほどお強いのでしょうか?」
龍聖セカンディアルが勢い込んで尋ねた。
「単純な事です。称号は実力を反映します。剣王になってからも壮絶な修行を続けた彼女は、もはや王級の実力を超えていると思います。
亜神を倒した実績からも彼女が既に神々に挑戦する実力を持っているのは間違いありません。
一方の六大魔王は、神々への試練を超える事ができていないと言う事ですから」
「では、なぜ剣王様は神成りの儀式に挑戦なさらないのでしょう?」
尋ねたのは武聖だ。
「我々、ヒューマンはそもそも神に挑戦するほど強くなることなどありませんでした。それゆえに神々に挑戦すると言う気持ちはまだ剣王の中になかったのでしょうか。
なによりも彼女はレリトニール公子様を置いて自分が先に神に挑戦するなど考えられなかったのでしょう。
剣神ユーリプス様から挑戦を強要されたのに頑なに断っていました」
「ではレリトニール大公様は、亜神を倒した剣王よりもお強いと?」
「それは間違いありません。剣王アイリス嬢によれば、実力は巨人とアリほどの差があるとのことです。
これは非公式にしていますが、レリトニール公子様は剣神ユーリプス様と戦い倒しています。
ご本人は、主神ゼリューシュ様から剣神ユーリプス様ではなく人形だったとの神託を受けたと仰っていますがあれは剣神ユーリプス様に間違いありませんでした。何かお考えあってのことと思いますが、レリトニール公子様は自身の能力を大変過小評価される癖がありそれゆえなのか。あるいは我が国で、神殺し大公などと恐れられているのを気にしてなのか」
「神殺し大公様。そのように恐ろしいお方だったのですか、、、」
武聖スギルガが震える声で呟いた。顔が真っ青だ。
「はい。つまらないプライドで公子様を侮辱することなど無いように、国民の隅々にまで徹底させてくださいね」
(この日、『神殺し』と言う不名誉な噂がケーセシャリー帝国を席巻したとかしなかったとか)
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