186 いまさら
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《神々の世界》
「おおアルテミス見てみよ。あの小僧。こんどは龍と洞窟に入ってるぞ。そんなことをしてもレベルあげてあげないんだからね」
「お父様。もうあの子達はレベルなんて関係ないほど強いですよ。あの剣士の女の子も充分神級の実力がありますもの。ほら水神サーシャさんのが贔屓にしている聖女もそろそろ神級に到達しそうですね」
「何を馬鹿な。レベル800などにそうそうなれる者などがいるものか。なに? レベル777だと。大聖女とか変な称号を与えるから生意気な。水神が余計な恩恵を与えるからだ。
剣神も剣神だ。あの剣士の娘はレベル900だと言うではないか。もう中級神程度の強さがあるんじゃないか?」
八百は、『たくさん』を万は『多種』を表す。二つが合わさって万物の自然、つまり神を表す。
八百は、神に至るための大切な数なのだ。
神々に至る為に人間が越えなければいけないレベルでもある。
「剣神ユーリプスの後、神成りの試練に挑戦したのは六人の魔導士どもだけだった。今では大魔王などと勝手に称号を使う馬鹿者に成り下がって、神成りの挑戦をする気力も無くしてしまった軟弱者ばかりが。
この千年間は退屈ではあるが静かだった。ここにきて鬱陶しい転生者が余計な知恵を振り撒いてワシに挑戦してこようとしておる。
これはどのような卑怯な手を使っても排除せねばな。あの馬鹿な六人の馬鹿魔王達を昇神させてでもな」
「お父様。あのような馬鹿達に天界を汚されるのでしたらわたくしも考えがあります。
わたくしの可愛いレリトニールちゃんを天界に招致しますわよ」
「や、やめろ。ワシがあれだけ排除しようとしていたことがバレて牙を向いてきたら面倒だろう。六人の馬鹿は放っておくからつまらぬ手出しはするな」
「は? つまらぬ手出しをしているのはお父様でしょう。最初にモブなんてつまらない称号を与えるからあの子はあんに激しい修行をしたのだし、レベル上昇をストップなんてするからサブ職業の付け替えなんて非効率極まりないやり方でステータスを上げたのでしょう?
もし、最初から剣士程度の職業を与えていたら剣聖程度で終わったでしょうに」
「アルテミスの言う通りだが、ワシの意地悪のおかげで強くなってよかったねなんて言ったとして仲良くなれるはずもなかろう」
「しかし、下手にあの子を刺激すればするほど逆効果だとお父様も既に気付いているのでしょ。だったら何もせずに見守っていてくださいな」
「アルテミスが恩恵や称号を授けたのも原因なんだぞ」
「努力した者はそれだけ強くなる。それがお父様の作った世界の理念ですよね。
貢物で職業を選択するのはまぁ仕方がないとして、努力した者には新たな職業や称号を与えて調整するのですよね。
転生者は生まれながらに知識を持っていて普通より早く努力したがる。だからレベルが上がりやすく恩恵を受けやすい。
それを毛嫌いしたお父様は天職祭を作り子供の時の努力を無とした。それは皆が平等にとのお考えで為されたことですよね」
「しかし、奴はその理を覆えすほどに努力し、レベルリセットによって努力が無になるわけではない事に気付いてしまったのだな。
奴の凄いのはワシらが与えている恩恵に頼らず己が努力だけでどんどん強くなれることだ。
恐らく気付いておらんだろうが、転職によるスキル獲得のメリットなど等の昔に外しておるが、奴の転生の才能なのだろう。転職するとどんどんその職業のスキルを修得するのに驚いたものだ。慌ててスキルのレベルにも抑制を掛けたが、あんな抑制など奴の能力を抑えるためにはなんの抑止力にもなっておらんようだ」
「ふふふ。お父様もあの子の才能を認めてらっしゃっるのですね。ならばお父様からご褒美を与えてあげたらいかがなのです?」
「いまさらな。なによりワシの代わりにお前が色々褒美を与えているではないか」
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