176 どちら様でしょうか?
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《レリトニール公子視点》
大ミズチを全部収納庫に入れてから騎龍を追いかけた。
気配を追えば良いので特に問題はない。
驚いたのは途中、変な奴が襲ってきたこど。
空を飛んでいた時はスイスイ進めたが、地上はそう言う訳にはいかなかったようだ。
突然の魔法攻撃を仕掛けられそうになったのだ。数百メートルもの遠距離から攻撃してこようとしていたため撃ち込まれる寸前まで感知できなかった。
さすがに魔法が発射される前に感知できたので全速力で走って射撃しようとしている人? 魔獣? に言った。
「どちら様でしょうか?」
誤射ってこともあるので一応尋ねてみた。
「な、なんだ。瞬間移動? そんな魔法を?」
あたふたしている。
どうやら態度から俺を狙っていたことが明らかなので、構わずこめかみを鷲掴みにして持ち上げた。
「ぎゃー。痛い。離せ!」
なかなかうるさく吠える。
「誰か早く言ってよ」
スキル『威圧』を発動して優しく尋ねた。
「は! グビっ!」
口でグビとか言って気を失ってしまった。仕方がないのでその場に放置した。
☆
《第一の塔。エグゼランスの幹部の視点》
は?
ここは?
そうだ。あの化け物に頭を捕まれて気絶したのだ。
何なんだ。
俺は第一の塔の先行部隊長。エグゼランス様の幹部様だ。
龍帝リリーシュと龍王スーザリアンが北辺のヒューマンの国に行ってるとの情報を掴み、暗殺のために先行していたのだ。
第四龍騎士隊が迎えに行ったと言う情報を得ていたので飛大蛇の軍勢を先行させた。たった一つの龍騎士隊を相手にするには充分な戦力のはずだった。
しかし飛大蛇をどんな手段で迎撃したのか?
気配は突然無くなったので様子を見に来るとおかしな奴が凄い勢いで走って来るのに出会った。
幸いこちらは見通しの良い高台で、走ってくる奴は逃げ場所もない両側を崖に挟まれた川沿いに走ってくる。
絶好の狙撃ポイントにわざわざ入って来てくれたって感じなのだ。
俺が狙いを定めて遠距離射撃を試みた時、そいつは消えた。
気付いた時、そいつは目の前にいた。
何百メートルもの遠距離を一瞬に移動した。伝説の瞬間移動の魔法に違いない。
「どちら様でしょうか?」
そいつは、ニコニコしながら聞いてきた。
「な、なんだ。瞬間移動? そんな魔法を?」
俺はあたふたとそれだけ言うのがやっとだった。
あっと思った瞬間、そいつに頭を捕まれて持ち上げられていた。
思わず悲鳴をあげたが、次の瞬間未だかつて味わったことのない恐怖が全身を包んだ。
この男のスキルか。
しかし、大魔王様の側近とも言われる俺様にこれほどの恐怖を感じさせるとはどんなスキルなのだろう?
そして気を失ったのだ。
「あいつは化け物だ。大魔王様に報告せねば」
俺はそう呟いて塔に戻ることにしたのだった。
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