175 悲鳴が聞こえたような気が。気のせいだよね?
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《レリトニール公子視点》
「公子様。可愛い女の子と見れば助けるのはどうかと思います」
俺の背後からリビエラ嬢の怖い声が聞こえた。
リビエラ嬢。怒っている。
「可愛くなくても助けろと?」
「公子様!」
「すいやせーーん」
まぁ、こんな感じはいつものことだ。
違うのは、場所。
そう。ここは空の上だ。
俺を乗せてくれているのは第四龍騎士隊の騎龍である。
他のよりも俺の乗った騎龍は二回りほど大きい。
なぜか、俺が乗ろうとすると他の小型の騎龍が怖がるのだ。
俺、賢王、剣王、暗殺王、始商王、大聖女の六人はどうしても小型の騎龍ではダメで、俺は特に大きな騎龍しか乗せてくれなかった。
めちゃくちゃ怯えるので可哀想になって気が萎えたよ。
騎龍は全部で300ほど。そのうち10匹ぐらいの大型の騎龍に俺たちは分乗した。
「メリエール隊長さん。みんな遅れているよ?」
俺たち大型の騎龍はスピードが速いようで、小型の騎龍が次第に遅れだした。
「承知しております。一刻も早く龍帝陛下、龍王様のお二人をお連れしたいのです」
メリエール隊長が答えた。
確かに皇帝が不在なのは心配だろう。
ん? まだ見えないが向こうの方から何か飛んで来る?
「リビエラ嬢。なんか飛んで来るよ」
俺が教えてあげた。
「そうですか? わたくしは何も感じませんが?」
「あっちの方だよ。かなりの大物だね。ミズチかな?」
「あ。なるほど。方角を絞って頂けたのでわたくしも感知できました。そうですね。この距離ですとまだ余裕があります」
「すみません。ミズチと申されましか?」
メリエール隊長が勢い込んで尋ねた。
「そうだね。数は六百? 結構大きい奴らだね」
「ろ、六百!」
メリエールが叫んだ。
「ケーセシャリー帝国は龍の国だよね。ミズチも龍と同族なの?」
俺が尋ねると、メリエール隊長は、首を左右に物凄く振った。
「とんでもありません。龍と蛇を一緒にしないでください。アイツらは六大魔王の手下です」
「そう。なら撃墜しても良い?」
俺は軽い気持ちで尋ねた。
「え? 六百もの大ミズチを撃ち落とすと?」
「ん? あの程度なら、うちの剣王の飛斬で瞬殺だよ。
おーい。剣王アイリス嬢。向こうからやってくる奴ら分かる?」
俺が大声で別の龍の背に乗っているアイリスに尋ねた。
するとアイリス嬢がコクコク首を縦に振った。
「飛んでいる龍の背から別の龍の背に乗る人と話しが通じるなんて!」
メリエール隊長が呆れて呟いた。
ふふふ。大声には自信があったのだ。
お!
剣王が大きく剣を振った。
剣尖から極大の斬撃が飛んで行ったのが感じられた。
「おっ。さすがアイリス嬢。みんなやっつけたね」
「そのようですね。わたくしの極大魔法でも良かったのですよ」
賢王が笑いながら言った。
「六百ですよね? 本当に一撃で?」
「ああ。あの山を超えた辺りにミズチが地面に落ちているのが確認できるよ」
メリエールが眉を顰めて俺の顔を見た。
そう疑わなくっても、直ぐに結果は見えるから。
「ほら、あれが先頭に飛んでた奴」
俺が指差すと、一匹の巨大な蛇が地面にめり込むような姿で落ちていた。
恐らく長さは百メートルを超えるだろう。
「あいつは特に大きかったね。あとはほら、あっちの方に山になって落ちてるだろ?」
俺が指差すと地面に夥しいミズチがおり重なるように落ちているのが確認できた。
騎龍の上からミズチの大群が地面を覆っているのを眺めた。
「あれ勿体無いな。素材として回収してくるよ。後から追っかけるから先に行っててよ」
俺は、そう言うと返事も待たずに騎龍の上から飛び降りた。
なんか悲鳴が聞こえたような気がしたが気のせいだよね?
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