174 決死の防衛線
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《ケーセシャリー帝国のとある大佐の視点》
「我らは一秒でも堪え。後方の市民が一人でも多く逃げる時間を作るのが任務だ。お前達が今までのように早々に突撃すればそれだけここの戦線は簡単に破れ後方の同胞は、逃げそびれると知れ。
簡単に死ぬな。死に逃れるな。一秒でも長く堪えろ。それがお前達の責務だ」
隊員達の表情は不思議なほどに明るい。決死隊などと浮かれているからではない。
自分達の死が無駄では無いと知っているからだ。
能力で劣るならなにか別の物で補えばよい。
塹壕を縦横に堀りめぐらし敵の予期せぬ場所から急襲すれば、いくら非力な我々でも敵の脅威になる。
「大佐。敵が来ました」
部下の言葉に黙って頷いた。
作戦は単純だ。
少しでも足止めし、逃げるのだ。
そこに戦う敵が一人でも存在すれば敗北ではないのだから。
爆発音が各所から起こった。敵の動揺が感じられる。
今まで我が国の兵は、不利と悟ると突撃して全滅していたのだ。そんなに簡単に死んでやらんからな!
(ケーセシャリー帝国の防衛戦がこの日から膠着し、六大塔同盟の前進の速度が鈍化した)
ペリリュー島 中川州男大佐、硫黄島 栗林忠道大将など多くの将兵の皆さんは、どんな思いで日本を守ってくださったのでしょうか。




