170 戻りましょう
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《龍帝リリューシュの視点》
「なんなのあの連中」
わたくしは心からそう呟いた。
「あ奴らはとんでもない存在でした。どいつもこいつも、父上をも凌ぐ強さと思われます」
龍王スーザも大きく吐息を吐きながら呟いた。
「本当ですか? でも貴方の龍眼の能力を信じないわけにはいきまけんね。わたくしも周辺国のことをもう少し調べる必要が有りますね」
「そうです。わたくしは、龍人も竜種もあまりにも強力ですからヒューマンを見下すのは仕方ない事だと思って居ましたが。
ヒューマンがこれほど力をつけていたとは。
魔王、龍帝、妖精王が覇権を争っていた時代はもう終わりなのかもしれません。竜種とヒューマンの融合された理想郷などと自惚れていましたが、あらゆる種族の頂点にはヒューマンが立つのかもしれません」
スーザがそこまで言った時、馬車が急停止した。
「どうしたのでしょう」
龍王スーザリアンが慌てて急停止した馬車のドアを開いた。
扉の前には一人の龍騎士の制服を来た騎士が頭を垂れて跪いていた。
「何事か? 直答を許す。申せ」
「はっ! 第四龍騎士隊長へザンと申します。緊急時ゆえご挨拶など失礼します。
守護龍様が敵と交戦して傷を受けられました。既に南三郡が陥落し恐らく今日にでもエガン辺りに敵が侵攻して来ていると思われます」
「陥落したのが南と言うことは敵は大魔王の一人で良いのか?」
少しイライラした雰囲気を纏わせつつスーザが尋ねた。
「恐らく敵は六大塔の戦力だと思われますが、敵の正体は分かっておりません。宣戦の布告もなく突然の侵攻でしたから」
「ドーネンの守護兵どもは何をしておったのだ。お父上の容態は?」
「守護龍様の損耗は相当酷いようで、深州にて休養されておられます。守護龍様と敵との交戦時、第一から第三騎龍部隊は壊滅してしまいました」
「なに? 守護龍様と三龍騎士隊まで出たのか? しかも敵が誰か分からぬと。
しかしそのような速さで侵攻してくるとなると第六の塔、大魔王シュシャーザンなのでは無いか?
第一の塔、大魔王エグゼランスに救援を申し出たのでは無いのか?」
六大塔には六大魔王が君臨する六つの大塔が存在する。
六大塔の実態などは謎に包まれているが、それぞれの塔の大魔王は互いに牽制しあっていると言われていた。
それゆえに今回のように一人の大魔王が暴走した場合は別の大魔王に支援を求めるのが通例となっていた。
「それが大魔王エグゼランス様は、使者の首を送り返したと。
他の六大魔王の方に送られた使者も一様に首となって送り返されのです。
ここに至り交戦しているの六大塔の同盟軍なのではないか私は想定しています」
龍騎士長へザンの言葉にわたくしは背筋が凍りついた。
六大塔同盟。それは悪夢のキーワードだった。
一人でも絶大な戦力を持つ大魔王だ。その六人が大同盟を結ぶなど考えただけでも背筋が寒くなる。
「それは本当なのか?」
龍王スーザリアンが問いただした。
わたくしはこの瞬間、守護龍ゴーダガルーズがわたくし達をこの地に遣わした本当の理由を悟った。
「良く分からぬ予言。その真意は、あの化け物達に支援を求めよと言う意味だったのですね」
「龍帝陛下。戻りましょう」
龍王スーザリアンが決然とした表情で言った。
すみません。更新が遅くなりました。
少し地図とか整理しておりました。
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